何気ない日常から留守番
今日はまず爽やかな目覚め。昨日比較的早めに眠ったからだろう。何時も下手に寝過ごしたりはしないが。
起きて直ぐに製作途中の魔法陣を描きにかかる。時間が時間だけに数本の線しか描き上げられない。
次に洗面所に向かって、水を被って顔を洗う。冷たくて心地が良い。
そして下の階へ。既に胃腸に優しそうな柔らかい料理の香りが漂っている。
「……おはよう、サイ君っ…」
「おはようございます…」
料理担当の鳥人からコーヒー入りのカップを渡され、適当なパン類他と共に朝食。
色々露出しているのに料理に毛が一本も落ちていないのは素直に称賛しておく。
「……お早うさんっ」
既にパンをかじっていた虎人にも挨拶。朝からそんな肉を食べて大丈夫なのか。
「……うーすっ…」
たった今入り込んできた竜人にそれなりな声の挨拶。タイトルが短い小説から目を離していない。
「………おはよぉさぁあん……」
「おはよっ」
だらけたスーツの狼人とその隣には垂れ耳の兎人。何で同じタイミングで同時に来たのかは言わない。
ずれはあるものの皆が適当な最近の話題と共に朝食開始。
殺人鬼がいてまた昨日4人殺した事が知ったが、全く知らない町での話だった。
「さて、前言った通り、本日は依頼だ……」
「……………」
何でも魔物が森から沸いて出てきたので、何とかして欲しい、という話だ。
今の所、家の柱が壊されたり等、怪我人は出ていないらしい。
避暑地として有名で何人ものお金持ちが別荘を建てている町らしく、報酬には期待出来るようだ。
「……っつー訳で、ロッシュ、ヤクト、レザラク……と俺な。用意は良いか?」
「勿論」「おうよっ」「了解っ」
自分の名前が珍しく呼ばれなかったが、新入りにはこんなものだろう。今までが多過ぎただけ、と思う事にする。
「サイ、フーガ、留守番よろしく…」
「分かったっ」「はーい…」
かくして皆は依頼へと向かう。魔物の形を想像しながら、自分とフーガさんは手を振って見送る。
さて、これからをどう過ごそうか。
とりあえずは、魔法陣の完成だ。食べ終えたら自室へと向かおう。
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