4649 8 「うん…物分りがよくて助かるよ。じゃあ、もう一つ。生徒会には、近づかないほうがいい。」 生徒会。名前からなんとなくどんな会なのかは想像がつくけれど。 近づかないほうがいい、ってどういうことだ? 「詳しいことはまぁ後々わかると思うから省くけど… 人気投票で選ばれた奴らの集まりなんだよ、生徒会っていうのは。 もちろん容姿は抜群に整っているから、親衛隊なんてものが各自にあるし…。」 「親衛隊…ですか?」 何それ。初めて聞く類のモノだ。 「うん。ファンクラブが過激になっちゃたみたいな感じかな? もしかしたら藤原くんにもすぐに出来るかもね。 で、その親衛隊っていうのは、対象に対して近づいた人間を徹底的に排除しようとするんだ。 退学した人も今までに何人かいるよ。だから気をつけて。 ただでさえこの学園に転入してくる人は稀だから…。 藤原君はきっとすぐに生徒会から目をつけられると思うけど、関わらないのが、一番だよ。」 (…会長さまにはもうなんか完璧に目つけられてるっぽいですけどね?) 別れ際に見せた、あのよくわからない、何かを言いたそうな表情が思い出されてくる。 あの人は愉しめる価値がありそうだと思う。 まぁ別に、排除とか物騒な言葉が聞こえたけど、まさか裏のことは関わってないだろうから問題ない。 ただ単純に、いじめとかそういうこと。だと思う。 そいつらの遊びに付き合ってやるのも、悪くないゲームかもしれない。 浮かんできた笑いを必死で飲み込んで、それでも表に出てしまった口元の笑みを、紅茶のカップで自然に隠す。 (…平和すぎて、反吐が出そうだ。) 「ごちそうさまでした。」 音もなくティーカップをソーサーに戻し、渡されたカード型のキー兼クレジットカードを手にして、叶多は寮監室を後にした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |