[携帯モード] [URL送信]

main
4話
4話 注意とお礼と微笑みと



















『はい!どうぞ』

そう言ってさしだされたのは静雄の煙草

「まじか。」

『まじです・・・まじだ!』

思わず思ったことを口にすれば同じように帰ってくる返事

報酬はいらないよ〜なんてふざけた口調でいうまや

それを静雄に渡すと背伸びをしながら口をひらく

『これ、壊れた噴水の瓦礫の下にあったよ』

くすくす笑いながら言う

「ああ、あんときか」

『あんときて…、モノは大事にしようよ、シズ』

「そうだな、って、シズってなんだ、シズって」

『ニックネーム!!』


どやっ、と声がきこえそうなくらいにいい顔をして言うまやに、思わず頬が緩んだ

なんか、いいな…
こういうの


人となるべく関わらいようにしているつもりでも、
関わりたくない気持ちとは裏腹に、
関わりたいという気持ちも、ないわけではなくて、
池袋最凶などと謳われている自分に、普通に接してくれるまや。

こんどこそ傷付けない、絶対に護ってやると思った



『?シズ、どうした?』

「なんでもねえ、言っとくが、後に絶対、ちゃん、をつけるんじゃねえぞ」

『え?ちゃん?あとに?・・・シズ・・・ちゃ』

「言うなっつったよなあ・・・?」

先ほど受け取った煙草の箱がみしりと音を立ててつぶれる

そんな静雄にごめんごめんと笑いながら言い
そんなにいやなのか?ときくまや。

静雄はつぶれた煙草の箱を胸ポケットに入れ
軽く青筋をたてながら、静かに言う

「・・・アイツを思い出しちまうからやめろ」

『アイツって、・・・もしかして折h』

「ノミ蟲だ」

『ノミ蟲か』

そんなに嫌いなら無視すればいいのにーなんていいながら静雄の隣に座るまや

一方静雄は複雑な表情をうかべ
思案するように目を伏せる
そしてゆっくりと横にいるまやを見て、言う

「まや、アイツには、関わるな」

まやはきょとんとした顔をし、静雄の真意をわからないまま、え、と声を発する

さすがに、なんで?などという返答はしなかった
関わるなといったときの静雄の顔が、真剣そのもので、すこし悲しみをまぜた色をした目が、それでもなにか、強く心に決めたように、まやをまっすぐに見つめたからである


「アイツに関わると、ろくなことがおきねえ」

『・・・わかった!』


まやもまっすぐ静雄を見、返事をした

「ああ、もし会っちまったら、無視しろ、それか逃げろ」

『逃げたら余計・・・、でもさ、たぶん会うことはないと思うぜ?』

「いや、あいつは俺を殺そうとしてやがるからな、俺のそばにいるヤツを、ほっとかねえだろ、たぶん」

『ふうん、まあ、気を付けるよ』

にこっという効果音がふさわしいような笑みで言ったまやに、気が抜けそうになる静雄

「・・・おい」


『それよりさ、シズ』

立ち上がり、静雄の前まで移動してきて静雄を見下ろし、にやりと口を歪ませるまや

『言うことがあるんじゃないかな!』



・・・?・・・いうこと・・・・・




まやのいったことの意味がわからず、
首を少し傾ける静雄

そのまま少し考えるようにしていると、



まやが静雄の胸ポケットを指差す



ああ、




と、わかったというように、静雄もにやり、というよりはすこし穏やかな笑みをうかべ
まやをまっすぐ見る





そして言う

















「ありがとな」




















































注意とお礼と微笑みと

(ちゃんといえよな〜)

(手前、口悪くなってきたな)

(こっちが本当ですきりっ)

(口でいうな馬鹿か)













[*前へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!