鮮血のRelease
過去1
「如何なされましたか!??」
「あー、鎖チャンか。大丈夫だよチェルベッロ、久々の外で陽射しにヤられちゃっただけだから。…後で…そうだね、15分くらいしたら部屋に苺のジェラート持ってきてくれるかい?」
「了解致しました」
僕が命令するとチェルベッロは部屋から出ていった。…さて、鎖チャンの昔に何があったのか見せてもらおうかな。
他の世界の君は絶対に教えてくれなかった。
ごめんね
どうしても
君の全てが知りたいんだ
「…愛してるよ。例え、ボンゴレ側に居ても――…」
***
10年前。私は並盛中学校に転入してきた。母の都合だったが特に何も文句はなく。
だって友達居なかったし。
「……………」
「なにあの子ー。スゲー暗いんだけど。近づいて欲しくない感じだよねー」
「転入生だし、馴染めてないからじゃん?」
「じゃあアンタが声かけてやればー?」
「あははは!無理無理!」
耳障りな声をたてて教室を出ていく。煩い煩い煩い。誰も構ってくれなんて言ってない。
廊下を歩けば人々が私の姿をこう罵倒する。
「日本人のくせに紅い目。
…気持ち悪っ」
みんなみんな、得体の知れないこの眼球を気味悪がる。私だって、好きでこうなった訳じゃないのに。なんで私の目は紅いの?
昔から顔を上げれば嘲笑、嘲笑、嘲笑。だから私は紅い目を隠す為に前髪を伸ばして猫背になって、より一層姿が暗くなっていった。
もう3日は経っただろうか?新しい学校でも陰口を言われたり笑われるのが慣れてきた、そんなとき。
次の教室へ行くため、階段の曲がり角を歩いた。丁度誰かの肩とぶつかった。…痛い。
「ってぇな!気を付けやがれ!!」
「ご…めんなさ…い…」
私の姿が見えなかったのはわかるけど、ぶつかって来たのはそっちじゃない。
あぁ教科書が落ちちゃった。
「ごめん!白金さん大丈夫!?」
視界に入った栗色の髪。とっさに落ちた教科書を拾ってくれた。落書きとかされてなくて良かったな、とか思う。…まぁ誰も気味悪がって近寄らないだけだけど。
さっきの爆声とは違い、今度は何だか気弱そうな声が聞こえてきた。…苗字、覚えてくれてたんだ。多分同じクラスなんだろうけど…え、と。だれ?
「俺、沢田綱吉っていうんだけど…。…その、今まで白金さんに声かけづらくて…。困った事があったら何でも言ってね?あ!俺の事はツナで良いよ!」
初めて、相手からちゃんと話しかけてもらえた。
「あぁそうだ!」
「…?」
「白金さんの瞳の色、すっごく綺麗だね!!」
き、れい…?
親にも忌み嫌われたのに。
ましてや自分でも抉りたい程大嫌いなのに。
まるで天使な彼の言葉に、自然と笑みが溢れた。
「…あり…がとう」
それから、少しずつだけれどもツナ君と話すようになった。するとついでに獄寺君や山本君とも話せるようになった。他の人とは話せなかったけど。
沢山楽しい事を教えてくれた。すごくすごく楽しかった。初めて生きてて良かったと思ったんだ。毎日ずっと続けば良いと思ってたんだ。
でもやっぱりそんなのは儚く崩れ去って。
「ちょっと何あんた調子乗ってんの?」
やっぱり私は独りでいる方が良かった。
2010/06/19
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