鮮血のRelease
vs.山本・獄寺
…笹川達が殺られた時点で逃げていればもう少し時間が稼げたかもしれない。
でもアイツは、きっと何処までも追いかけて来るんだろうな。
…あの時アイツを拒絶しなければこんな未来にならなかったのかもな。
此処は俺と山本がせめて数分、数秒でも食い止めます、十代目。
だから貴方は新しいボンゴレを起こして下さい。
一歩ずつ確実に近づいて来る足跡。室内が静まり過ぎていて、床板が軋む音と自分の心臓の音がやけに身体中に響く。山本とアイコンタクトをとる。
「…来やがったな」
***
薄暗い廊下を走っていると、1つだけ光が溢れている部屋を見つけた。此処だね。
鍵がかかっていたが態々開けるのもメンドイしワイヤーで粉々に砕いた。粉塵な中から見えた2つの人影。…2つ?
「チャオ♪」
「………久しぶりだな、白金。端末から聞いてたが、10年でこんなに変わるなんて、思ってもみなかったぜ」
「久しぶり獄寺君。貴方も相変わらず物騒な顔してるね」
「あぁ!?」
「そんなことよりも、ツナ君は何処?久しぶりにお話したいなぁ」
「ツナは逃がしたぜ。お前は俺達が倒す」
ボンゴレ2トップでも敵わなかった私を貴方達が倒すって?笑止!
というかツナ君逃げちゃったんだ…。まぁ探さなくても大丈夫そうだね。だって…
「何がなんでも十代目を守り抜く!これが守護者の務めだ!!!」
「行くぜ獄寺!!!」
獄寺と山本の攻撃が降ってくる。あはは、やっぱり遅いよ。委員長サマと黒曜生も遅かったけど、貴方達の方がもっともっと遅い。
ニタリ
「!!!(避けねぇのか!?)」
私の居た場所はまるで山が噴火した跡のように凹む…はずだった。私へ降り下ろされたダイナマイトや刀はワイヤーによってバラバラに切り刻まれた。
「遅いんだよ、ノロマ」
刀を失った山本は床にへたり込む。フン、イイ気味!このまま殺ってしまおうか。
さぁ、もう1つ過去の清算だ。
手にワイヤーを絡ませ山本が居た辺り一体を粉々に砕いた。
***
何が起こったんだ?
山本が居た辺りを見れば砂煙に混じり血飛沫が飛んでいた。
山本が死んだ?嘘だろ?白金はこんな奴だったか?
10年前のお前は…
お前は…
「こんな奴じゃ…なかった…」
俺が言った言葉が気にくわなかったのだろうか。白金がギロリと紅い瞳で睨んだ。その視線だけで急に温度が下がった気がした。なんだか身震いがする。
白金は急に口元を歪ませる。
「あははは!"こんな奴じゃなかった?"そりゃ10年もすれば人間…いや、化け物でも変わるよ!最も…貴方達が私を裏切らなければこんな風にはなってなかっただろうけどね」
返す言葉がなかった。
そうだ。俺達はあの時白金を拒絶した。普通の人間にはないものを彼女が持ってたり、流したりしたから。
もしあの時、普段通り一緒に居てやれてたら…。
「こんな未来には、ならなかったよ?」
…俺が最後に見たのは今にも泣き出しそうな白金の顔と十代目のお姿だった。…十代目?
何故ですか。貴方は遠くへ逃げたはずでは…?
あぁ、きっと幻覚だ。俺は幸せですね十代目…。最後に貴方に会えて…獄寺隼人…一緒…着いていきま…す……。
***
「やっぱり見てたんだ♪」
「…わかってたの?」
「気配でね。もろバレ」
「そっか。…"何で此処に来た"のかは聞かない。聞いててわかったから」
「守護者を見捨ててまで盗み聞きって、ねぇ…」私がそう言うと、沢田綱吉はバツが悪そうに眉間に皺を寄せた。
言葉を濁すものだから、「何で此処に残ったの?逃げれば良かったのに」と止まった思考を動かそうとした。逃げてもまたいつまでも追うけどね。
「…それは……」
2010/07/10
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