鮮血のRelease vs.骸・雲雀 「…行くよ」 僕がそう声を出すと、にんまりと白金鎖が笑った。 …何がそんなにおかしいの? まぁ良いさ。ボンゴレに歯向かうのなら全部咬み殺す。 足に力を込めてアイツ等がいる方向に走る。すると直ぐにチリッとした痛みが腕に走った。 その痛みは瞬間的に全身へ広がる。 なに、これ。 *** 雲雀恭弥は何かを考えてから白金鎖に走った。 彼が何を考えていたのかはわからないが、直ぐにわかることになる。アイツ等は一歩も動かずに笑っていた。 「雲雀恭弥…!!」 赤く染まる彼の身体。倒れ込むかと思っていたら床に着くかどうかギリギリの体制になる。 …なにが起こっている?! 「凄く速く走って来たねぇ。普通に走ればちょーっと肉が切れるくらいだったのに、ふふふ」 「ワイヤー…。見えなかったんだろうね♪」 「ワイヤー、だと…?」 つまり、この辺りには既に鋭利なワイヤーが張り巡らさせていたという事ですか…! だから、笑うだけで動こうともしなかった。 手足が切断された雲雀恭弥を見る。血が夥しい程流れている。だが辛うじて息はしている。 …勝ち目は…なさそう、ですね。 *** 「あはは!委員長達磨サマの出来上がり!」 委員長サマの胴体に食い込んでいるワイヤーを手で引きちぎる。すると、ドサリと身体が地に落ちる。 「……!!自分の手は切れないのですか!白金鎖!」 「…あのさー。これは私の相棒だよ?ずっと昔から使ってんのに自分で自分を切るわけがないじゃん」 「扱いだした時はそりゃ切ったけどねー」そう言いながらうつ伏せになっている委員長サマの身体を一蹴りして仰向けにさせる。 いいねぇ、その顔! どう?悔しい? 昔散々痛めつけた相手に手を出すことも出来ないって!! 「…っく!」 霧の守護者がサッと右手を耳にあてた。連絡を取るつもりだね。別に構わないよ。 「…聞こえますか沢田綱吉!直ちに此処から遠い所へ逃げなさい!!雷、晴、雲、どの守護者も殺られました!獄寺隼人!山本武!ボスを連れて直ぐに逃げなさい!!」 霧の守護者をチラリと見て、白蘭は私にこう言った。 「逃げちゃうってさ♪鎖チャン、此処は僕に任せて。鎖チャンは沢田綱吉を追うんだ」 「…わかった。心配なんかしないからね。白蘭はアイツよりも何百倍も強いんだから」 「うん、ありがとう♪僕も後で行くよ。…さぁ、君は早く行くんだ」 私は復讐心に突き動かされるまま、霧の守護者の間をすり抜けて走った。 *** 「待ちなさい…!!」 「おっと。あの子の邪魔はさせないよ?」 僕の炎を匣に注入させて白龍を開匣した。勢いよく飛び出した兵器は骸クンの脇腹に刺さった。心臓なんかに刺したらつまらないしね。 「なんですかこの生物は…!?」 「んー、まだこの時代にはないものかなぁ…。ねぇ、鎖チャンの邪魔しないでくれない?」 「ぐっ…!何故そこまであの娘を助ける…!?」 「………そうだ、冥土の土産に聞かせてあげるよ。あの子が沢田綱吉を殺せば心の枷が外れるんだ。過去の弱い自分を葬りさって、完全な鮮血の姫君になる事が出来るんだよ」 「それが…なんですか…?」 「だってあの子の枷が外れるんだよ?今のままでも充分凄いのに。僕はあの子と世界を手に入れる」 「…自分の欲の為に利用、ですか…。…ハッ、報われない子だ」 「それはちょっと違うな、」 確かに出会う前は、その知られざる強大な力に惹かれた。手に入れて利用して、役に立たなくなったらポイしようと思ってたし。 でもあの子と一緒にいる内に、違う気持ちが芽生えたんだ。 全裏表世界の君と過ごす内に愛しいと思うようになったんだ。 だから僕はあの子と一緒に全裏表世界を支配する。王子と姫みたいな感じだね♪ 「鎖チャンの邪魔をする奴は、僕が赦さないよ」 「…僕だって…ボンゴレの邪魔はさせない…!!」 へぇ、まだ立てるんだ♪そうこなくっちゃ。 骸クンが三叉槍を地面に軽く突くと火柱が出現し、辺りを燃やし尽くす。 でも、甘いなぁ。 「白拍手!」 パァン!! この技は全ての相手の技を無効果出来るんだよ。ほら、火柱が消えちゃった♪骸クンなんて、ショックでへたれ込んでいる。 「……化け物には化け物がお似合いですね…」 だから鎖チャンの傍にいるんじゃないか。 わかってないね。 「…バイバイ」 ボンゴレ匣が生まれたあの世界も、もう少しで手に入るようだね。Ghostクンがとても良い働きしてくれてるようで、嬉しいなぁ♪ 力がみなぎって来るよ。 そろそろ鎖チャンは沢田綱吉の所に着いたかな? 2010/07/06 [*前へ][次へ#] |