[携帯モード] [URL送信]

Rire-
始まり(BY、カズさん)
5月のある日、高額時給に釣られて始めたこの住み込みバイト

彼、三津井亮貴(ミツイリョウキ)は、短く仕事内容を説明されて、早速この小さな孤島連れてこられた。

島のほとんどは木で覆われていた。どうやら無人島のようで、辺りに村などはない。
道も、亮貴の職場となる施設へと続くところだけが舗装されていた。この時点で、この島にはこの施設に関係するものしかないことがわかる。言い換えれば、この島はこの施設のためだけに存在するのだ。
施設は、門を越えると大きな庭があり、そこを進むと施設の入り口がある。という構造だった。大きさはかなりのもので、一体施設内で何が行われているのだろうか。




施設内には入らず、ただ不審者がいないかだけを見張っていろ。




雇い主に言われた仕事内容はそれだけ。
しかしあれから二週間たったが、不審者はおろか『人間』すら見かけないまま、ついに任期終了日を迎えてしまった。




任期終了日の朝7時

亮貴は、けたたましい目覚ましの音で覚醒した。
「ふあぁ〜あ」
まだ眠たい眼をこすりながら、布団から這い出る亮貴。

ここは宿舎。とは言っても部屋がたくさんあるにも関わらず、亮貴以外の人間はいない。

そして今日は住み込みバイト最終日。亮貴は嬉しくて仕方がなかった。
なぜなら、仕事は8時〜20時まで施設の入り口の見張りなのが、亮貴は正直つらかった。
一応警備の仕事だが、よく考えればこんな無人島に不審者などいるはずもない。実質、ずっと外で突っ立っているだけの仕事だ。
それ故に、毎日足を棒のようにして帰ってきては、すぐに就寝する。


「12時間立ちっぱなしなんて人間にさせることじゃねぇよ」
朝食にパンをかじりながら、一人愚痴る亮貴。
ここで亮貴は重大なことを思い出した。


「給料・・・」


そう、受け渡し方法などの説明は向こうからはいっさいされていない。
「銀行の口座番号とか教えてないから、手渡しだろうけど」
しかし、前述の通り亮貴は初日の仕事説明以外で人には会っていない。
そうなると亮貴は、本当に給料を払ってくれるのかどうか不安になってきた。

亮貴は残ったパンを急いで食べ終え、本部に電話をした。


「・・・・・」





出ない。それどころか呼び出し音すら鳴らない。
番号を確認するが、間違ってはいないようだ。

「ちょっと・・・マジかよ」


不安は拭い去れないままだが、このままでは8時に間に合わない。


その後、昼食におにぎりを3つ作り、身支度を済ませて施設へと向かった。



宿舎と施設はほぼ隣接しており、亮貴が警備する門までは、徒歩で1分あれば着く。
その日もいつも通り、立っているだけの仕事が始まった。














やはり誰も現れない。
警備員を雇うぐらいなのだから、不審者の一人や二人現れてもいいぐらいなのだが、そんな気配すら見せない。
今まで気づかなかったが、亮貴は施設を出入りする人や車すら見ていなかった。

他に入り口があるのか・・・

そうも考えたが、ざっと見回したところ入り口はここだけのようだ。地形の問題で、施設の裏側にあるとも考えにくい。

しばらく考えていると、亮貴は気味が悪くなってきた。

「早く給料もらって帰ろう」





そして、亮貴は最終日も何事もなく仕事を終えた。
いつものように足を震わせながら、宿舎へと戻った。



いつもならここですぐに寝るのだが、今夜はそうはいかない。
給料の件については聞いとかなければならない。
亮貴は再び受話器を手に持った。






しかし、結果は朝と同じ。


「ったく何様のつもりだ!!」
受話器を乱暴に置き、私服に着替えてある場所へと向かった。
そう、立ち入り禁止である施設へと。




亮貴は仕事の疲れをものともせず、歩いた。

窓があれば明かりが見えて、人の存在を確認できるが、なぜか施設には窓が一つもな
い。
亮貴は、人がいるのかさえ疑く感じた。
そして門に着いた。




施設内には入らず、ただ不審者がいないかだけを見張っていろ。



ここで雇い主のことばが脳裏によぎった。
一瞬躊躇った亮貴であったが、そんな考えを払いのけ、門を越えた。


広い庭をまっすぐ進み、ついに施設の入り口にさしかかった。
亮貴はさっきのように躊躇う様子を見せずに、一気にドアを開ける。






施設内はかなり明るく、亮貴は反射的に目をつむった。
目をあけるとそこはエントランス。
施設内は洋式のようで高い天井にはシャンデリアもある。広さもかなりのもので、正
面突き当たりには横幅が広く途中で左右に枝分かれした階段があった。
また入り口から少し進んだところに、左右に通路があるが、入り口付近にいる亮貴に
はどんな通路かはわからない。


「・・・」

亮貴は驚きを隠せなかった。てっきり、地味な研究施設かと思っていたが、かなりエ
レガントだった。

「すげぇ・・・なんだこ―――」
(バタン!)
いきなり入り口のドアが勢いよく閉まった。
「!!?」
亮貴は少し跳ね上がった。
「まさか・・・」



(ガチャガチャ・・・ガチャガチャ)


開かない。




見事に開かない。




「めちゃくちゃベタな展開じゃねぇか!マンガじゃねぇんだぞ!・・・・・・まぁ
きっとただのオートロックだろう。さすがに施設内には誰かいるだろう。給料もらっ
てさっさと帰ろう」
内側から開けられないオートロックなど聞いたことないが。


そうして亮貴が一歩踏み出した瞬間、施設内はいきなり薄暗くなった。
「え!?」
亮貴が戸惑っていると、どこからともなく謎の声が聞こえてきた。


《・・・入るなっていっただろう?》

「誰だ!?」
亮貴は辺りを見渡しながら叫ぶ。
《フフフ・・・そんなこと聞いても仕方ないだろう?君はもう死ぬんだから》

その瞬間亮貴は背筋がゾッとした。その男の口調に冗談気がまったくなかったからだ。

《さぁ行け。我がしもべよ》

男がそういうや否や、亮貴から見て左側の通路から、なにやら物音がした。



何かが来る



それはわかっていたのだが、恐怖で体が動かない。
やがて

ペタッ・・・ペタッ・・・

と裸足で床を歩くような音が聞こえてきた。
そして姿をあらわしたのは、




人間だった。




亮貴は少しだけ安心した。だが、すぐに気付いた。あれは









人間ではない。
薄暗さでわからなかったが、明らかに歩き方が人間ではない。足元がおぼつかず、フラフラとした歩き方だ。
おまけになにやら触手のようなものが体にまとわりついている。


亮貴は直感的に感じた。




ヤバイ!!



気付けば足が動いており、それがいる反対側の右側の通路へと逃げた。
通路は突き当りまで一本道と、単純な構造だったが、途中左右にはいくつもの扉があった。
亮貴は必死だった。生まれてこの方、ここまで命に危険を感じたことはなかった。
何番目の扉に入ったかわからない。どこでもよかった。とにかく逃げなければ!











どれぐらい走っただろうか・・・
最初、扉を開けるとわりと広い部屋があり、さらに室内にはいくつもの扉があったので、またどれかの扉に入った。

そんなことを何度か繰り返し、今はまたとある薄暗い部屋にいる。
「はぁ!はぁ!」
疲労と緊張で呼吸が荒くなる。しかし、遠くに逃げたぶん少し落ち着いた。見たところ、さっきのやつは足が遅そうなので当分は大丈夫だろう。

「なんなんだよ・・・ここは!」
給料を貰いに来ただけなのに、いきなり閉じ込められ、わけのわからない生命体から逃げて、今ここにいる。


「ここは・・・・・・呪われている・・・」
「!?」
部屋の隅から突如、誰かの声が聞こえた。
「だれか・・・いるのか!?」
「こっち・・・だ」

亮貴は声のするほうへと足を向ける。するとそこには、全身から血を流した一人の『人間』がいた。
「!?・・・お、おい!大丈夫か!?」
その男は見た目は30代前半で、血で真っ赤に染まってしまった白衣を着ている。
「早く治療を!!」
「無駄だ。・・・・・・もう・・・もたん」
「けど!」
「いい・・・かい?君がここに・・・迷い込んだのも何か・・・・・・の運命かもし
れない・・・・・・。頼む・・・世界を救ってくれ・・・」
そういって男は二、三度咳き込み、吐血した。もう亮貴には何がなんだかわからなかった。いきなり閉じこめられて死にかけて、挙句の果てに世界規模の頼みときたの
だ。
「え!いや・・・ちょっ!」
しかし男は気にせず話をすすめる。
「私はかつて・・・・・・ここの研究員だった・・・・・・」








7割ぐらいはあらすじを詳しくしたって感じでしたね。こんな面白くない展開にしか
できなくてすいません。次の方、よろしくお願いします。





―――――――――
Novel Line
携帯ぽけっと書房
∈オリジ裏小説同盟∋
感想を書く

小説を投稿する


[前へ][次へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!