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小説
番外編■ダテサナ編*8/22無料配布
 俺は、伊達政宗。
 職業、トップアイドル、クリィミィユッキーの、マネージャー。
 私生活では綺麗で優しい彼女もいて、仕事も順風満帆、人生をそれなりに謳歌していた。
 されど、そんな最近の俺を悩ませている事、それは・・・。


 
 来月発売の新曲の宣伝も兼ねた歌番組の収録後、楽屋に戻ってきた幸村の様子がなんだかおかしかった。壁に寄りかかり、ノースリーブから健康的に露出された肩を自らの掌でしきりに摩っている。それは、か細い自分の体を抱きしめている風にも見て取れた。
「おい、ゆき、どうした?」
 異変に気づいた政宗は、次のスケジュールを確認しようと開いていた黒い手帳を閉じテーブルに置くと、幸村に近づいてその火照った顔を覗き込む。
「ふえ?」
観察するように凝視すると、密かに体が小刻みに震えていて、おまけに、問いかけに応え、上目遣いにこちらを見たその眼は、普段より二割増水分多めでウルウルと潤い、そして白目部分がウサギみたく充血している。
(これは、もしや。)
「なんか、頭が、朝から痛くて。」
 重いのか右手で支えた頭をもたげながら、幸村は少し擦れ声でとにかくしんどうそうに、そうとつとつと告げた。
(ご名答、風邪だ。)
「ちょっと、そのまま、じっとしてろよ。」
「んんっ。」
 政宗は自分の長めの前髪を右手でかきあげ額全開にすると、幸村のおでこにそれをぶつけた。触れ合った場所から、じんわりと熱が伝ってくる。
「あ〜、これは熱があるな。次の雑誌の取材、予定変更してもらって病院行くぞ、ユッキー。」
 自分の監督不行き届きを反省し、細くて長いため息をついた政宗は、畳みの上にペタリと座り込んでいた幸村の、自分より一回り以上細い手首を掴み、上に引っ張り上げようとする。
「いっ嫌でござるっっ、病院はっ。いーやーだっっ。」
「だぁ―めぇーだ!」
 無駄に抵抗し、子供みたいにふくれっ面でわめく幸村に、間髪いれず、政宗は捲くし立てる。
「今が大事な時期なの知ってるだろ、幸村。シングルの後はアルバム、そして全国ツアー。先半年の予定は詰まってる。インフルエンザだったらどうすんだよ。」
 政宗は心配げに眉間にしわを寄せた顔で、へたり込んだままの幸村の視線に合わすために座る。
「でも・・・、まさむねマネージャー。」
 舌足らずに名前を呼ばれ。
 とうとう熱がチョコレートのごとく脳を溶かすみたいに、全体に回ったようだ。ふにゃりと体の力が抜けてきた幸村はコテンと寄りかかるみたく政宗の肩口に額をぶつけてきた。
「ちょっ・・・。」
 不意に、自らの肘に、びっくりするほど柔らかい感触。ふくよかな胸の形がひしゃげるくらいに、当たっている。
 しかも今日の衣装は、普段よりも露出度高めの、胸元全開の白のキャミワンピース。
―――見ないように、見ないように。
 念仏のように唱えて、わざとらしく目線をそらしてきたのに。
 嗚呼、駄目だ、と思った。
 何かが自分の中でガラガラと音を立てて崩れていった。
 それは、理性か、そして世間体か。
―――最近の悩みの原因、それは。
 実際、もうつきあって五年になる彼女もいる。何より自分は、幸村の担当マネージャー。そんな対象で見ること事態がご法度。アイドルは恋愛禁止の建前。
 それなのに、自分は、きっと会ったときから、それが破滅を招く禁忌だと知っていても。
―――幸村に恋をしていたんだ。

 風邪を拗らせてきたのか、きつそうに眼を伏せ気味で、無抵抗の幸村の顎を持ち、少し顔を上に向かせると、ちゅっと軽い音を立てて唇を啄ばんだ。
いつもすぐ傍に無防備にあって、密かにキスしたいと願っていた幸村の唇は、ケーキよりも甘く感じた。
「んん、政宗どの・・・どうして?」
「熱、あるんだろ?あんたは病院行きたくないって駄々こねてる。だから、ここで、熱を下げるから。」
「マネージャーが?」
「ちょっと荒療治だけどな。」
 熱に苛まれた幸村の、紅潮して汗ばんだ頬に手を添える。
「なあ、舌、出して。」
「んん・・・。」
 うまく思考が働かない幸村は、素直に赤く染まった舌を、あっかんべーをするようにペロリと出した。唇を寄せた政宗は、それを見せつけるようにゆっくりと自分の舌で舐め上げて、粘着質に絡めて、ずずっと吸い上げて。隙間無くくっつけた幸村の口の中を余すことなく蹂躙してゆく。貪欲にディープキスを繰り返す。
「んんっ・・・。」
「これも、ふっ・・・ん、・・・治療だから。」
 半信半疑の幸村を諭しながら、本当は自分に言い聞かせるように、免罪符のように呟いた台詞。 
 清楚な白のワンピースの細い肩紐を下ろすと、服よりももっと、透き通るくらい白いうなじに唇を寄せ、見えない場所に跡がつくほどきつく吸い付いた。同時に荒い呼吸で上下する胸元に右手を差し入れて、ブラの内側に滑り込ませる。
「んあっ!」
 不意に、無防備だった胸をきゅっと揉まれて、幸村は無意識に甘い声を上げる。もっと声が聞きたいと、もっともっと感じさせたいと、背後から抱きしめるようにして、両方の胸を激しく揉みしだく。
「・・・ふあっ、ああっ・・・んん、あっ。」
 瞼をきつく閉じて、喘ぎ声を小さく漏らし始めた幸村に、政宗は更に大胆な行動に移す。 
 邪魔な布を取り払おうと、ワンピの上半身だけ脱がせたのだ。ブラのホックを慣れた手つきで外し、蛍光灯の元、とうとうその素肌を露にする。小柄で童顔な顔には不似合いの、大きな形の良い胸が、プルンと飛び出すように弾んで、政宗の眼前に露になる。桃みたいな胸の真ん中には程よいサイズの乳輪があって、桜色をしていた。
「やあっ、見ないで下されっ。」
 恥ずかしそうに胸元を隠そうとする幸村の両手首を取ると、自らがしていたブランド品のネクタイを外し、きゅっと頭の上で拘束するかのごとく縛り付けた。
「だ、駄目・・・恥ずかしっ・・・。」
 羞恥から瞳の端に涙を浮かべながら、首を激しく左右にふると、その振動で胸もゆさゆさと揺れた。目の前で堅くなってきた美味しそうに熟れた乳首をきゅっと摘んで刺激を与える。親指で先端をこねて、爪でひっかいてみた。
「あんっ!・・なっ、なんか、変・・・っ。」
 快楽の波に溺れてきた幸村は、もぞもぞと太ももを摺り合わせる。
 気づいた政宗が下着に手を入れると、そこは布がシミになるほど愛液でぐっしょりと濡れ、熱くなっているのを政宗も感じ取れた。
「や、やあっ、・・・んんっ!あっ・・・。」
 むっちりとした太ももを触れるか触れないかの微妙な手つきで、さわさわと摩られて、幸村はむずがる。
「ふあ・・・、んんっ、マネージャ・・・っっ。」
 幸村の体に火をつけてゆくかのように刺激を的確に与えてゆく政宗の指は、秘部に近づいたと思ったら、遠くに離れてゆくを繰り返す。
 今か今かと幸村は腰を突き出すように蠢かし、甘く蕩ける蜜のような快感を与えてくれる場所へ早く触ってくれとせがむのだ。
「あんんっ!・・・いあっだあ・・・、ふあっ…。」
 刺激を望む場所にわざと外しているのか、手がゆかないもどかしさに幸村は首をそらして、下唇を噛んで涙を浮かべる。
「腰、動いてるぞ。」
 自分から誘導するみたいに、ゆらゆらと妖しく振る細い腰を、意地悪く手で止める。
「あっ・・・、もお、お願っ、変になっちゃっ・・・。」
「どうすればいいの?」
「さ、触って、くださッ・・・ああッ。」
「OK・・分かった。」
 ちょっと意地悪しすぎたか。
 幸村のおでこに優しくキスを送る。
 ふるふると収縮運動を繰り返し、期待に震える秘部に指を突き立てるみたくズブっと付け根まで入れてしまった。
「ひんっ!、いああッ・・・んんっ、ああッ。」
チュグチュと音を立てて指で内壁を探ってみると、トロトロに排出された液のためか、抵抗は全く無く、逆に蕾の中は政宗の指をもっと奥に飲み込もうと、吸い付いてくる。二本に増やした指を不規則にかき混ぜるみたいに音を立てて動かした。
 やっと与えられた、その直接的な刺激に、幸村の足先は、はっきりと跳ね上がる。
「やあっ、ああっ!・・・んんっ・・・やらあっ…。」
 パンティを足首まで脱がして、畳に押し倒した幸村の足を大きく開かせる。まだ誰も見たことの無いそこは、穢れを知らぬ綺麗な桃色をしていた。
「ここ、誰にも見せた事、無いんだろ?・・・。」
「あ、当たり、前えっ・・・ああんっ!」
幸村は何が自分に起こっているのか分からず、ただただ素直に与えられる刺激に反応するしかない。
 もうすでにその場所は、ぎっちりと三本の指を美味しそうに銜え込んでいた。
「ここがお留守になってたな・・・。」
 切なげに震える胸の先端に吸い付いて、舌で何度も何度も嬲る。
「ふああっ!・・・ああっっ、んんっ!・・・あっ。」
空いている方の乳首も指で押しつぶして、絶え間なく刺激を与え続ける。
「いああっっ!・・・やああ!そっそこっ!ああんっ…。」
 甲高い悲鳴みたいな喘ぎ声を上げて、ビクンと跳ね上がり、幸村の体が床から数センチ浮いた。
「ここ?」
 幸村のGスポットを見つけた。
 政宗は、卑猥に微笑む。
 そして、容赦なくそこを執拗に攻め立てる。
「ひああっ!、らめえっ、そこおッ・・・ひんっ…。」
 あまりに感じすぎて怖くなった幸村が、泣いて嫌がっても、そこから狙いを外さない。
「あんっ!、ひあああっ、ら、らめえっ・・・っ。」
 三本の指で突き立てるみたく、擦りあげた。
「んあっ、いっちゃうう・・・ああああっっ。」
 秘部が痙攣を起こしたみたくビクンビクンと数回動いた途端。
「っあひっ!あああああっっ!・・・んんっ。」
 壁を隔てた辺りにまで響き渡りそうな甲高い喘ぎ声を上げて。
 糸が切れた操り人形みたく脱力した幸村は、縛られた手のまま、ゆるゆると政宗の首に抱きついてきた。
「幸村・・・。」
 放心したままの幸村の体を持ち上げ、状態を四つんばいにさせると、尻をこちらに突き出す姿勢をとらせる。
「太もも、ぴっちり、くっつけとけよ。」
 そして、その太ももの間に、すでに完全に堅く勃起した自らのそれを挟ませる。
「んあっ!・・・、いあっ!・・・休ませってッ・・・ふあっ。」
 熱く滾った政宗自身で、幸村の割れ目を刺激する。幸村の上からのしかかる姿勢をとった政宗は、揺れる二つの乳房に手を伸ばし、乱暴に揉みしだいた。
「ああ・・・っ、なんか、変っ!・・・ああっ、あつっいっ・・・。」
 幸村のクリ部分を左人差し指で刺激をしながら、腰の動きを早め、再び追い立ててゆく。
「らっ、らめえっ!・・・ああっ!激しっ・・・っ。」
「ゆ、き・・・。」
「いあっ!・・・ま、またいっちゃっ・・・あああっ!んんっ。」
 感極まった泣き声混じりの幸村の喘ぎ声を、すぐ耳元で聞きながら、政宗も上り詰めて達していた。



 意識を飛ばしてしまったらしい幸村は、その場にうつ伏せに倒れこんだ。白濁の液で汚れてしまった幸村の体を自分の着ていたシャツで拭うと、そっと壊れ物を扱うみたく、繊細に抱き上げる。
 その裸体を自分のスーツの上着で包むと、ギュッと抱きしめ、政宗は泣きそうな顔を隠そうと、肩口に顔を埋めた。
「政宗・・・マネージャ・・・。」
 睫毛を数回瞬かせ、重い瞼をゆるりと開けた幸村は。
 肩を丸め、眼を伏せる政宗の頬に手を伸ばして、慰めるかのごとく、ゆるゆると摩った。
「ゆき、起きたのか。」
「なんか、熱、下がったみたいでござる・・・。」
 力なく微笑んでみせる幸村に、政宗は自分の犯してしまった罪の重さを実感し、胸は抉られるみたく鋭く痛んだ。
「幸村、ごめんな・・・。」
「何故、謝るので?おかげで楽になったでござるよ・・・。」
「・・・幸村・・・。俺、あんたのマネージャー失格だ。」
 大事な、大事なあんたを、こんな酷い形で汚してしまった。
 マネージャーとしてじゃない、人間として、誰よりも大切で、ずっとずっと見守ってきたのに。
「ごめんな。」
 立ち上がろうとした政宗の腕を、幸村はどこにそんな力が残っているのか、という位、強い力で引きとめる。
「幸・・・。」
 ビックリした顔で、政宗は名を口の中で呟いた。
「これからも、傍に、いてくれるのであろう?」
「いいのか、俺なんかが、あんたの傍にいて・・・。」
「いてくれなきゃ、困るでござる・・・。」
 少し頬を膨らまし、そして、頬をほんのり赤らめて、幸村は言うのだ。
「ずっと、ずっと、ずっと先まで。」
 そう甘く囁いて、幸村は政宗の頬に小さく優しくキスをした。
「・・・約束、する。」
 政宗はたまらず、幸村の体を手繰る寄せ、ぎゅっとその胸に抱きしめる。
「あんたを、愛してるから。」
 政宗は飽きることなく、誓いの言葉を幸村に囁き続ける。
「何を失ってもいい、あんたさえいてくれたら・・・。」
 幸村は嬉しそうに、政宗の首に両腕を回した。
「俺も、俺も、大好きでござるよ・・・。」


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