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小説
ふたりぼっち-中編−
佐助は一瞬見惚れて、動きを止めていた自分に気づく。
そして、そのまま花に誘われる蝶みたいに、引き寄せられるように顔を寄せ、健康に焼けた肌に鮮やかに色づくピンク色の突起を、反応を試すように、そっと口に含んでみた。
「…ッ。」
 突然襲った鋭い感覚に、幸村はあげそうになった声をグッと堪え、とっさに両手で口元を押さえた。
「…どうしたの?ここ、感じる?」
 佐助はもっと声を出させようと、右手の指先で、もう片方の突起をキュッと摘み上げ、指の腹を押し当てるように摩る。そして、口に入れたままの乳首を舌先で執拗に嬲った。
 先程まで柔らかかったソレは、硬く痛いぐらい立ち上がってきている。
「ん…ヤッ…。…ア…。」
 二重に重なった掌の隙間から漏れた声は、鼻から抜けるような甘い音も混じっていた。
 それを確認し、佐助は体を下へずらすと、視界の中、邪魔な幸村のズボンと下着に両手をかけた。
「やッ…!だ、…め、だっ。駄目、さ、すっけ・・っ。」
 幸村は咄嗟に佐助の手首を持ち、今回初めて抵抗らしい抵抗をして見せた。
「どうして、脱がないと汚れるよ。」
 それでも駄々をこねるように抗おうとする両腕を捻り、佐助は右手で床に押さえつけた。普段の十分の一も力がこもらない腕は、片手でも簡単に持つことが出来た。そして、先に脱がせ足元に転がっていたトレーナーの袖部分で、幸村の両腕を後ろ手でぐるぐる巻きにし拘束した。
「離して…、ッ。」
 そして、下腹部を隠す布を踝まで一気に引き下げると、下半身が露になる。
「・・・ッ。さすけっ。」
薄暗い照明の下でもはっきり分かるほど、幸村自身は感じきったように、立ち上がりかけていた。
たまらず、幸村は即座に顔を背ける。
 そんな淫らな自分を佐助に知られたのがショックすぎて、幸村は酷く泣きたくなってきた。ジッと一点を、その身を焦がすように見ている佐助の視線から逃れるように、幸村は膝を内股に折り曲げ隠そうとするが、逆に大きく足を開かされてしまう。
「も、…やめて…。」
 あまりの羞恥から、とうとう堪えきれず幸村の目から、涙が一筋零れた。
 しかし、次の瞬間、もっと過酷な試練が彼を激しく襲う。
 佐助は、ためらいも無く、先走りの液で濡れる目の前のソレをパクッと生暖かい口に運んだのだ。
「―――何…ッ。」
 考えても見なかった佐助の行為に、幸村は意識が一瞬飛んでしまった。
 全身を一気に貫くほどの、息苦しいまでの快感。
「も、…ッおねがッ…やめ…て、放して、く…ッ。」
 懇願するように短く乱れる吐息の中で、幸村はなんとか伝えようと声を出す。
 それを佐助は無視し、口内に招き入れた状態のままで、しごく様に頭を上下に動かし始めた。
それでも幸村は、自由の利かない腕の戒めを、悶えるように体を動かすことで解けようと努力するが、その僅かな振動さえも自らの張り詰めた下腹部に辛いほどの刺激を与えるだけだった。
「あ…も、ヤ…。」
 口を窄めて吸い上げたり、先っぽをチロチロと舐め上げる。
 幸村は、腰へ直結する甘い刺激に、完全に力が抜けたように背中がズルッと壁紙をずり落ちると、カーペットの床へとぐったりと倒れこんでいく。今まで感じたことの無い焦躁感。自らの手に負えそうにないほど、恐ろしく迫ってくるとめどない疼きに、完全に意識を今にも手放しそうになる。
もう何がなんだかわけが判らなくなってきて。
佐助に対して何か言いたかったはずなのに、もう言葉が頭に浮かんでこない。それでもなんとか両目をこじ開けようとするが、酸欠で脳が働かなくなったのか、景色がぼんやりとして鮮明さを欠き、視点が定まらなくなってきた。
(熱…い。)
 吐き出す息の熱さも、自分の体温も、風邪をひいたときみたくずんずん上昇しっぱなしだ。
「あ…んッ。ア…や、だ。」
涙が、止まらない。涙の跡は乾く間もなく、とめど無く新たな涙が生まれてくる。嗚咽のような激しい息遣いと、決して聞きたくない自分の、女性のような嬌声。
「いいよ、旦那、出して。」
 そろそろ限界が近いのを察知し、佐助は強く吸うことで促した。
「―――やだ…ッ、放して、お願…ッ。」
 頭を何度も振るたびに、汗ばむ髪が顔に張り付く。
「お願い…さす…け…。アッ…。」
 リズミカルに吸い上げる動きを早くすることで、更に追い立てる。
 ―――絶対、嫌だ。
 佐助の口の中で射精してしまうことだけは避けたい。
なんとか我慢をしようと、体を捩り、足のつま先を折り曲げ床に押し当てるが、何の役にも立たなかった。
 前歯で甘噛みしたその刺激に、理性は簡単に脆く砕け散った。
「あッ…ん。もッや…。アア…ッ。」
 ―――。
 階段を一気に上り詰め、その全てを開放した瞬間、目の前が真っ白になった。
ゴクッとその白く濁った液を飲み下すように、佐助の喉が密かに上下した。
幸村は、ぐったりと疲れきった身を投げ出し、カーペットに横になる。
佐助は、幸村の摩擦で赤くなった腕を開放し、まだ余韻が収まりそうに無い、ガタガタと震える肩を、宥めるようにさすりながら待つことにした。
(これから、どうすればいいのか?)


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あきゅろす。
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