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小説
<4>
 そして、現在に至っていた。
 前を歩いていた慶次がふいに歩みを止めたため、幸村は鼻から彼の大きな背中にぶち当たる。
「ここでいい?」
 指差されたのは、雑居ビルみたいなラブホテルの前。
 赤くなっているであろう鼻頭をさすりつつ、幸村はビルを見上げた。
 休憩○○千円の横断幕が垂れ下がっている。
 どんより曇り空に、なんだかピッタリのロケーション。
「ほら、幸、カップルのふりするよ。」
 慶次は、ぐいっと幸村の身体を引き寄せ、ぴったり密着する。幸村は、慶次の厚い胸板に顔を埋めた。
 フロントは、顔を合わさなくていいように、手がやっと入るような小さな小窓。
 館内は、わざと明かりをそうしているのか、どこもかしこも暗い。それが、幸村の背徳感を、むくむく増幅させていた。
「どの部屋がいい?ベッドが回るのとかもあるよ。これなんて温泉つきだって。ねえ、幸。」
「・・・どこでも。」
 顔を首まで真っ赤にした幸村は、蚊の鳴くような、か細い声で、その一言を絞りだすのがやっとだった。
 手馴れた様子でチェックインする慶次に先導され、部屋に足を一歩踏み入れる。大きなベッドがまず目にドンッと印象的に飛び込んできた。
 窓は無く、代わりに趣味が悪い毒々しい色のステンドグラスの壁。そして、浴室がガラス張りなのが気になる。
「シャワー、先に浴びてくる?」
 こくりと幸村は、言葉少なく人形のごとく頷く。
「出てくるとき、これに着替えてね。」
 手渡されたのは、真っ白なバスローブだった。それを抱え込み、そそくさと幸村はその場から去る。
パタンと後ろ手で浴室の扉を閉めると、少し緊張感から開放される。でもよく考えると、ここも慶次からよく見える場所だった。
 着ていたシャツのボタンをひとつひとつ、震える指で外してゆく。あっという間に洋服を脱ぎ捨てて、裸になった幸村は、身体を清めるために、シャワーの下へと急ぐ。蛇口を捻ると、シャワーから温水が滝のごとく噴射されて。
「・・・ね、どの・・・。」
そして、流水の音に掻き消された幸村のつぶやき。



****

 カタンという物音で慶次が振り返ると、バスローブ姿の幸村が、戸口で突っ立っている。
「おいで。」
 優しい声に引かれるように、幸村はふらふらと慶次の元へゆく。まだ乾ききってない、びしょびしょに濡れた髪をそのままに、幸村は差し伸べられた慶次の手をとる。
「ここに座って」
 言うとおりに、ベッドの上に足を投げ出して座るけれど、落ち着かない身体は、変に強張る。
 爆発しそうに、激しく波打つ鼓動。隣の慶次にまで聞こえてしまいそうだ。幸村はバスローブの襟元をしきりに合わせる。
「幸村は、オナニーしたことあるよね。」
「オナニ?」
「自分の股間を、自分で触るの。」
「そんなっ・・・そんなの、したことないでござる。」
 真っ赤になった幸村は、少しすねた態度でぷいっと横を向く。
「えええええええっ。」
 慶次は天然記念物を見つけたくらいの、衝撃を受けた。高校生といえばあれだろう、そういうことばっか考える年代じゃないのか??
「そうじゃ、一から教えてあげるね。」
 ビデオを手身近なテレビの上に固定させて、慶次は着ていた上着を脱ぎ、幸村の目の前に座る。
「今日試してもらう試作品はこれ。ローターっていうものなんだけど。」
 白い紙袋から取り出した、小さな丸い形のローター。
 試しに、線で繋がったスイッチを入れると、丸い部分が小刻みに律動を始めた。
「・・・じゃ、始めるよ。」
 密かにゴクリと一度つばを飲んだ慶次は、幸村のバスローブに手をかける。
「んっ・・・。」
結び目を解き、タオル地をはだけると、きめ細かい肌があらわになる。程よくしまった、まだ発展途上の体型。つつつと割れた腹筋から、股間へと、指を扇情的に滑らす。
「・・・っ。」
 まだ完全に生え揃ってない毛。その先には・・・。
「あれ、もう勃起してるね。こんなに、白い糸までひいちゃって、何か色々想像したの?」
「・・・もっ、そんなこと言わないで下されっ。」
 慶次は既に起ち上がって、物欲しげに震えるそれに指をかけた。先走りの液で先端はトロトロ状態で、上下にさする指が、にゅるにゅると滑る。
「っっ・・・。」
 背筋にぞわぞわと何かが這い上がってきて、幸村は浮き足立つ腰を、もぞもぞと落ち着き無く動かしてしまう。
「で、ここを同時に触ると、すごく気持ちいいんだよ。」
 親指と人差し指で、上気している肌に色づく桃色の突起をきゅっと摘む。
「あんっ・・・。」
 おもわず口から発せられた、自分の声とは思えない高い声に、幸村は驚き、歯を食いしばり嬌声を飲み込んだ。
「ねえ、声、たくさん聞かせてよ。」
駄々をこねるように、プルプルと横に首を振るけれど、容赦なく慶次は、乳首を爪でひっかいたり親指で潰したりして、丹念に、そして執拗に愛撫する。
「やっ・・・やっだっ・・・あああっ・・・。」
 噛み殺しきれず、自分の意思とは反した、甘ったるい鼻にぬけるような声が、切れ切れに歯列から零れる。
「可愛い声。もっとだよ、幸村。もっと聞きたい。」
手首まで唾液で濡れるくらい、慶次は自らの指をまんべんなく、ぺろぺろ舐め始める。息を荒げる幸村は薄く片目を開けてそれを目撃するけれど、何のためなのか、想像が付かない。
「んんっ。」
 次の刹那、慶次の指がとんでもないところをまさぐり、くっと力を込めた。そして、幸村の秘部に第一間接を入れ込んだ。
「いっ・・・。」
 与えられた異物感と鈍い痛み。
 頬をシーツに押し付けた状況の幸村は、キュッと両目を閉じ、眉間にしわを寄せる。
「幸村、いい子だから、もう少し、足広げて。」
 幸村の太ももに手をかけ、ピンク色をした双丘の奥を覗き込む。幸村の其処は、乳白色の精液がたれて、それが愛液のごとくとろとろに濡れ、そして、ひくひくと物欲しげにひくついている。
 ゆっくりではあるが、着実に慶次の指は前進してゆく。
「あっ・・・慶次どの・・・。」
「もう少し力抜いて。ね、大丈夫だから。」
 恐怖からか、少し萎えていた肉棒に手を沿え、慶次はそれをゆるゆると上下にしごき始める。
「はあっ・・・んん。」
 幸村が一瞬力を抜いたのを見計らい、指を二本に増やし、内部を広げ解かしてゆく。
「そう、上手だよ、幸村。」
 問題のローターは幸村の突起に、押し当てられていて、そこをひっきりなしに刺激している。乳首は痛いほど隆起していた。
「あっ・・・んんっ・・・ふう・・・っ。」
 幸村はシーツの端を5本指ですがるように持ち、何度もやってくる快楽の波に耐えようとしていた。 
「確か、この辺だと、思うんだけど。男でも後ろで感じる場所。俺も男の子は初めてだから、雑誌の受け売りというか、見よう見まねというか・・・。」
 くちゅっくちゅっと不規則に動く指。それは、少し硬くなった、前立腺の裏へ目指し、やがて慶次は、お目当ての場所にたどり着いていた。
「いっああああっ・・・。」
 瞬間、ビクンと幸村の両足が飛び跳ねる。
「ビンゴ。」
 見つけた慶次は、嬉しそうに声をあげた。
そして、快楽のツボを、集中的に指で押して刺激する。
「ひっ・・・やだっ・・・やだあっ。あああっ。」
「ねえ、これ、入れてみようか。幸村のいい場所に当ててあげるね。」
 慶次はローターに口づけしながら、卑猥に笑った。 
「やっやめっ・・・あああっ。」 
 後ろに退き、ずれようとする幸村の足首を掴み、こちら側に引き戻す。
「やああっああっ・・・っあんっ。」
抗う幸村の動きを無視し、小刻みに振動するローターの先が、つぷんと、いとも簡単に内部に飲まれてゆく。
「そっこっ・・・やっあああああっ。んんっ。」
 口からは、とめどなく喘ぎ声が出てきて、もう訳が分からなくなってきた。
「ねえ、幸村、ほらっ。」
 慶次が指差した先には、大きな畳二畳はありそうな鏡。
 力なく、幸村は顔を上げると、自らの中に、ローターが完全に埋め込まれてゆくさまが映し出されていて。それを、ありありと目に焼きつかせてしまう。
「やめっ・・・ああっ・・・。」
 侵入した無機質のローターが、しこりに当たったそのとき。
「あっんんっ・・・もうっだめっだめえ・・・っ。」
 もう限界に近かった幸村のそれを、間髪入れず、慶次は口に含む。
「ひいっ・・・っ、あっ、あああああああっ。」
 きつく数回吸い上げられ。
 怖いくらいの快感のるつぼ。
幸村は達した後、意識を完全に飛ばしていた。 


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