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小説
セツナレンサ−後編−
 <12月24日 PM11:21>
バスタオルでぐるぐる巻きにした幸村を、キングサイズのベッドにそっと壊れ物を扱うように降ろして。
 薄暗い間接照明の温かみのある緋色の灯りを頼りに、目の前の、その少し濡れた何故だか甘く感じる唇に、啄ばむように触れるだけの優しい綿菓子みたいな感触のキスをした。
 ベッドの上にちょこんと座り、ちゃんと両足が地に付いた状態なのに、全裸で肌寒いのか、それとも全裸だから、羞恥心で恥ずかしくてたまらないのか、バスタオルを肌蹴て幸村は、自分の裸体を政宗の目線から隠してしまうように、彼の首にぎゅっと縋り付いてきた。
 隙間無く密着した体から、早まる鼓動がはっきりと伝わってくる。
どくんどくんと早鐘のごとく打つそれは、同じ高みにまで上り始めている。
「ほら、幸村。」
 見てと言わんばかりに、政宗は右腕で幸村の丸くなる背中をしっかりと抱いたまま、自分の左手を幸村の目の前に差し出す。何故だか、手の向きは甲。そこには、何よりも輝いて、幸村の薬指にあるものと同じものが在った。
「おそろいのマリッジリング。」
 嬉しげに語尾を上げて、政宗は目を糸みたく細めて囁いた。
「まさむねどの。」
「あんたを、一生、俺だけのものにしたい。」
 瞳を閉じた政宗の、眼全体埋め尽くす長い睫が、幸村の視界の中で仄かに揺れる。無抵抗の幸村の左手をとり、薬指を上唇と下唇とで、はむっと柔らかく挟む。
「あんたを俺の元から離れられないように縛りたかったから。何か、証が欲しかったんだ。」
「そんなの・・・。」
 どこか痛そうに喉を詰まらせ呟いた幸村は、想う。
 こんなのあってもなくても、自分は、彼だけのものなのに。
 この壊れそうな心も、この熱い体も。何もかも残さず全部。
 こんなにも、こんなにも、馬鹿みたいに、彼にだけに、縛られているのに。
「幸村?」
 たまらなくなった幸村は、両腕を伸ばし、もう一度政宗の首にクロスすると、自分から政宗の唇に、焦がれるみたく、そっと自分のそれを重ね合わせた。そして、高ぶった感情のまま、政宗の半開きだった唇の隙間から、躊躇無く自らの舌を滑り込ませて政宗のそれを激しく絡み取った。
「んんっ・・・。」
そのままそれは、互いに激しく求め合う、息を止めそうなほど、気が遠くなるほど長いキスに変わってゆく。
 政宗の骨ばった5本の指が、幸村の髪の毛をくしゃくしゃに撫でくり混ざるように動く。
「・・・ふっうっ・・・。うんっ・・・。」
 その間も、唾液の交換のごとく深い接吻は続き。
「まさむねどのお・・っ。」
 名残惜しい唇をいったん開放すると、両頬を林檎みたく真っ赤にして、両目を惚けたようにトロンとした幸村が、誘う感じで舌足らずに名前を呼ぶ。
 可愛い、と政宗が胸を高鳴らせてしまうほど。
「も、早くうっ・・・っ。」
 恥ずかしげに目を伏せた幸村の裸の腰が、何かをしきりに我慢する仕草でシーツの上を蠢く。幸村の骨ばった指は、シーツを乱暴に掴み、それをくしゃくしゃに乱れさせて。そして幸村の中心の分身は、すでに頭をもたげ始め、幸村の欲望をはっきりとそこに示していた。
 辛抱たまらず政宗は、幸村をベッドに押し倒すと、耳元に艶を含んだ声で、直接言葉を滑り込ませる。
「望みどおり入れてやるから、足、開けろよ。」
 膝を立てて開いた幸村の股の間に政宗は体を滑り込ませる。ほどよく締まった筋肉質の尻を、ぎゅっと乱暴に鷲づかんだかと思えば、今度は両手で、もみもみと桃尻をリズミカルに揉みしだく。
「まさむねどのッ・・・。」
そして、右手を伸ばし双丘の奥をそっと弄ると、その蕾は驚くほど体温以上に熱くなっていた。つつつーと穴の周辺を指の腹で撫でると、幸村がむずがるような声を上げる。
「いあああんんっ、つああッ・・・。」
 上体を起こした政宗は、手首まで透明な液が滴り落ちるほど、自らの指を赤い舌を出して寝そべっている幸村に見せ付けるかのごとく、べろべろと嘗めている。いつしか指はてろてろに扇情的に輝くほど、唾液でぐっしょりと湿っていた。
「ふっっ・・・。」
 それを目の端に留めただけで、これから起こる事への強い期待感からか、幸村は上がった息と一緒につばをゴクリと音を立てて呑んだ。
「力、抜いとけよ。」
「んっ・・・。」
 紅く熟した蕾を分け開き、唾液を纏わせた指を、ズブッと容赦なく鋭く突き立てる。
 待ち望んだそれで一気に貫かれると、幸村の内部は歓喜をあげるかのごとく、ざわざわと蠢き、立てた膝は小刻みにびくんびくんと、はしたないくらい数回痙攣した。
「ひっいああああんっっ・・・っ。」
瞬間、ぴゅぴゅっと先走りの白濁した液が幸村の先端から飛び出た。
政宗はもっと狂わせようと、ぐちゃぐちゃに内部を、円を書く風にかき混ぜる。
それに合わせて、もっともっと奥深くまで欲しいと、自ら誘うように、幸村は無意識に腰を揺らめかせてしまう。やがて、くちゅくちゅと粘着質な水音が政宗の指と内部の結合部分から聞こえて、幸村の聴覚まで犯していた。
「あああんんっ・・・んんっああああひあああっんんっ・・・っ。」
 もうすでにそこは、4本の指の根元まで容易に飲み込んでしまっている。その指をばらばらに不規則に、内部を広げるように動かすと、下半身全体を覆いつくす、何とも言えず深く鈍い快感が腰の奥から生まれ出てきた。
幸村は呼吸を乱れさせて、ひっきりなしに甘い喘ぎ声を上げ始める。
「ああああっっ、あんんっっああああっ、ひああっ・・・ふっうんっ。」」
 幸村本人以上に、知り尽くした幸村のその体。
 幸村の良い場所を見つけるのは、至極容易だった。
「ひいっっあああっ。」
 よりいっそう高い声を反った喉からほとばしらせ、幸村の体がビクンと大きく跳ねた。
その、気が狂いそうになるほど感じてしまう幸村のウィークポイントを探り当てると、快楽が強すぎて逃げる腰を押さえつけ、集中的に指で押すように攻め立てる。
「あああああんんっんんんっ・・・っああああっ。」
 口を閉じる間もないほど、恥ずかしいほど大きな嬌声が出てしまい、静かな室内に反響する。
「もおお、ゆびっじゃ・・・やっ・・・だあっ・・・あんっ。」
 ぽろぽろと涙を零しながら、ぐしゃぐしゃの顔で幸村が哀願する。
「何が、欲しいの?」
「いっ・・・。」
 理性が僅かばかり残っていた幸村は顔を背けて、我慢する風に下唇を噛むけれど、また激しく攻め立てられて、その砦は儚く解ける。
「いああっふああああっひい・・・。」
「教えてくれねえと、このままだぜ。」
 サドッ気があるのか、政宗は口の端を上げて不適に笑う。
「まっさ・・・。」
 後ずさりする腰を引き戻しベッドに押さえつけ、指で容赦無く抉りまくる。
 幸村は腰を捩じらせ、その快楽地獄から何とか逃れようとするけれど、無駄な足掻きで。
 ―――じれったい。じれったくてたまらない。
もっともっとぐしゃぐしゃに壊れるほど、この熱くてたまらない内部を、粘膜を、その硬い肉棒で壊れるほど、かき混ぜてほしい。一緒になって溶け合うくらい、何も分からなくなるほど、ぐしゃぐしゃにして欲しいのに。
「欲しっ・・・、まっっ、まっさむねど・・・があっ、ほしっいい・・・っ。」
 息も絶え絶えに、とうとう幸村が切れ切れに言葉を発する。
 それを聞き、満足した風で喉を鳴らすと、政宗は幸村の内部から指を引き抜いた。
 その内臓がずり下がるかのような刺激にも、感じきっている幸村は体をくねらせてしまう。
「あああんんっ・・・っ。」
「じゃ、このまま座れ。」
 政宗は、下着の下で張り裂けんばかりに爆発しそうだったそれをそっと出す。
ぐったりとひれ伏す幸村を起こすと、向かい合って座らせて足を跨がせ、勃起したそれを自ら体内に飲み込むように指示した。
「っ・・・ふうっ。」
 従順に従うと、深く長く息を吐きながら、幸村は政宗のそれを自らの待ちわびるごとく収縮を繰り返す蕾にあてがった。そして、腰を徐々に下ろしてゆく。 
 最初その質量に慣れるまでは、腹を割きそうな圧迫感と異物感に襲われるけれど、一番太い鬼頭の部分さえ飲み込んでしまうと、後はスムーズに体内へ収めることができる。
 自らの体重の重みで、ずぶずぶとそれは飲み込まれてゆき。
やがて奥の奥、最奥まで届いていた。
「ひいっ・・・っ。」
 とうとう全部埋め込んでしまい、内部が隙間なくみっちりと政宗で覆い尽される。
「ふああッ・・・も、ああああっ。ああああああっ。」
 あまりにも気持ち良すぎて、脳がスパークしたように意識が真っ白になってきて。
 政宗がそっと動いただけで、それだけで幸村は歓喜の声を上げてしまう。
「気持ち、いいのか?」
「あ・・・・ああああんっっ・・・っ・・・きもち・・・いいっよおっ・・・。」
 ガクンガクンと体を人形みたく揺らしながら、快楽に支配された幸村は、我を忘れて腰を振り続ける。
「もっとおっ・・・おっくうっ・・・っ。」
「っ・・・。やべっ・・・。」
 その幸村が乱れる光景に、腰が砕けそうになった政宗は、下から鋭く突き上げて、自分の肉棒で乱暴に幸村の奥を犯す。
 そして、先ほどの指で弄んだ幸村の良い場所に、政宗の先端がえぐるように当たり。
 その鋭い刺激に、白い喉をしならせて、幸村が悲鳴のごとく声を漏らした。
「いひあああんんんんんっっ・・・っ。もっだめえっいっちゃっ・・・っいくっ・・・うっ。」
 瞬間、幸村の内部がきゅっと政宗の全てを吸い取るみたく収縮して。
「くっ・・・。」 
「あっあっつい・・・ああああっ・・・。」
 二人同時に果てていた。



−エピローグに続く−

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あきゅろす。
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