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小説
その13
「んんッ、せんぱ…、もう、俺…ッ、お願いで…。」
―――体が、火が点いたみたいに、熱い。身体の内側から、じくじくとした熱に侵されていて、息苦しくてたまらない。
 薄暗い部屋の中で、Tシャツの裾をじれったげに皺になるほど掴んだ幸村は、熱っぽく潤んだ両瞳で政宗を見る。そんないつもは性に疎い清純な幸村の、らしくない煽情的な態度に、政宗は密かに喉を鳴らす。幸村からこんなにも強請ってくるなんて珍しい。これは存分に楽しまないと、と、ドSな本性丸出しの政宗は内心思い、人知れず低く笑った。
「さっきまで、今日はもうエッチすんのいやだって言ってたのは誰なんだよ。」
「だって…俺ッ、体が…、もう…、もうッ。」
 欲情しているのか、目元を赤らめ、ハアハアと熱く乱れた息を吐き出しながら、政宗の筋肉質な腕をしっかりと掴んでくる。
「もう、何?」
「もうッ、身体が…疼いて、仕方がないのでござるよッ…。」
 困ったように眉毛をハノ字にしている幸村は、必死さを込めて言ってきた。
「やらしいなあ、幸村。そんなに、俺の、欲しいのか?奥を激しく突いて欲しい?」
 政宗は、幸村のTシャツを脱がすと、中のタンクトップをたくし上げ、形の整った唇を、いじられすぎて腫れ上がったピンク色の突起に寄せる。生温かい唇で包まれ、チュクと水音を立てて吸われて、幸村はヒクンッと鋭く体を揺らし、顔を歪ませる。
―――こんな男前の先輩が、俺の胸を吸ってるなんて…。
「んんッッ…まさむね、せんぱッ…。」
くすぐるみたく舌の上で突起を転がされて、感じまくった幸村は清潔な白いシーツの上で身体をのたうたせた。乱れた息遣いの合間に、甘く短く可愛い喘ぎ声を挟む幸村に、政宗も体温を急上昇させてゆく。敏感な胸をちゅくちゅく吸われている間、幸村は、ベッドに座っている尻を、じれったげに身じろがせている。政宗が胸から唇を離した途端、透明な線が、桜色の突起と政宗の紅い舌との間にツツーと引かれて、それを見止めた幸村は、身体を火照らせて、ますます欲望に苛まれてゆく。
「んあああ…ッ。」
「すっげ可愛い幸村、俺以外の誰にもそんな顔見せんなよ。」
 顔を胸から上げた政宗は、微熱の時のごとく、目を蕩けるふうにトロンとしている幸村の顔に顔をぐっと近づけて、コツンと額を軽くぶつけてきた。
「先輩こそ…、俺以外の誰とも、こんなことしないで欲しいでござる…ッ。」
 ぎゅぎゅっと縋るみたく政宗の広い背中に両手を廻した幸村は、舌足らずにたどたどしい口調で言ってくる。
「だから、するわけねえだろ。幸村だけだって、誓って…。」
敏感な耳たぶを舐めながら、鼓膜に直接言葉を滑り込ませる。そんな良い声で胸を打つ言葉を言われて、幸村は堪えきれない涙を、ポロリと零した。
―――今、このベッドの中の時間は、先輩は、自分だけのものでござる。誰のものでも無い、自分だけのもの。
「そんなに欲しかったら、ほら、机の脇の棚の三段目にチューブがあるから自分で中を解かせるんだよ。」
「そんな…むりでッ…、やだあッ…。」
 両目をしっかり閉じて、フルフルと何度も拒絶するみたく頭を振ると、パサパサと髪の毛が肩に当たった。
「むり、じゃねえだろ。」
 ほら、ズボンと下着脱がしてやるから、と、政宗は、先ほど穿かせたGパンを無理やりみたく足首まで剥がしてゆく。
「あッ…、やだあッ!」
 中心の布がきつそうに押し上げられているボクサーパンツの腰辺りに両手をやられ、一気に脱がされると、そこは物欲しげにフルフルと震えて、既に先走りの液がトロリと零れて濡れていた。
「ここもしっかり立ってんな。しかも、こんな先端から恥ずかしい液滲ませやがって。」
 人差し指でグリグリと先端の窪みを突かれて、幸村は電流のごとく背筋を駆け上がった鋭い快感に、感じ切った悲鳴に近い声を上げる。
「ひああッツ、そこ、やめッ…んんッ…。」
「ほら、早く、幸村。」
 おねだりするみたく促されても、羞恥心と闘っていた幸村はしばらく押し黙っていたが、観念したのか、重い腰を上げる。
 うううう、と、泣きそうな表情で、全裸の恰好の幸村は恥ずかしそうに、ベッドから降りると、政宗の机まで突進していき、ガサガサと乱雑に引き出しを漁り始める。
「男同士なのに、そんな恥ずかしがって、かわいすぎっだろ。」
 政宗は高みの見物みたく余裕綽々の態度で、懸命にローションのチューブを探す幸村の様子をベッドの上から観察している。前屈みで引き出し内を探すことで、こちらに突き出された小ぶりの尻が、プリッと上向きで形が良くて、本当にそそられてしまい、政宗は大きく唾液を飲み下した。
「あッ、あったでござる…。」
 戻ってきた俯き加減の幸村は、片膝立ててじっと待っている政宗の向かいに座ると、躊躇しつつもおずおずと足を広げ、チューブから透明な液をたっぷりと右手の中指にとる。チラッと政宗を盗み見すると、政宗は視姦するみたく、じーっと自分の裸体を熱心に眺めていた。
「やぁッ…、あんまり…みないでくださッ…。」
 ひああと泣きそうな声を上げた幸村は、それだけで、またもや息を乱す。
「なんで?俺に見られるとどうなるんだよ。」
「まさむねせんぱいに、みられると…ッ、おれ…、なんか…、こし、むずむずしてくるッ…ので…ッ。」
「なら、もっともっと、見てやらねえと、な。」
 恥じらって、たまらず顔を背けてしまう幸村の顎を無理やり持って自分へ向かせると、端正な顔を近づけて政宗は不敵に微笑む。
「おい、そんなそそる顔してっと、まじ食っちまうぞ。」
 幸村のくしゃくしゃになっている前髪をかき上げつつ、その半開きの唇をベロンと舐めながら、政宗は官能的に響く声で酷く楽しげに言ってくる。
「んんッ…。」
 そして、本当にまるで唇から食べてしまいそうに、幸村の唇を覆い、甘い唇を吸い上げ、開いていた隙間から舌を捻じ込んだ。その強引な口づけに翻弄されながらも、幸村も懸命に舌を伸ばして絡めて行く。
 長いキスの後に唇を開放され、ハアアと熱い息を吐くと、幸村は自慰の行為に意識を集中させてゆく。
「んんッ…。」
 激しく脈打つ鼓動を諌めながら、両眼をきつく閉じて、蕾へと中指を宛がうと、少し力を入れただけで指は簡単に内部へ埋め込まれてゆく。クチュと水音を立てながら、指は付け根まで飲み込まれた。そして、指を内部の敏感な襞に当てるように、指を出し入れしてゆく。
「ッあ…、んあッ…、んんッ…。」
 眉間に切なげに皺を寄せた幸村は、カクンと喉を反らせると顎を上げて、小さく喘ぎ始める。政宗はもっと秘部がちゃんと見えるようにと、幸村の膝を持ち、広げた形で固定してしまう。
「んあッ…、あッ…、や…、ああッ!…やらぁ…。」
 中で感じ始めたのか、腰を密かに蠢かせ、ぐちゅぐちゅと蠢く指の動きが早く荒くなってゆく。それと連動して、幸村の喘ぎ声も甘ったるいものに変わってゆく。
「…ふああッ…あんんッ…や、やらあ…、そ、そこお…あーッ、だ、だめえッ…。」
 もう幸村の頭からは、隣の部屋に政宗の母親がいることは完全に忘れ去られていた。部屋中に響く声で、感じ切った声で、大きく喘ぎ始める。
「おいおい、まだ1週間くらい前には、俺の前で裸になるのでさえ、破廉恥って言いまくっていたのに…。」
「んああッ!ひんんッッ!もッ、もおッ…、あああッ!」
 とうとう、幸村の腰が淫靡に大きく揺らめく。内部の怖いくらい感じる部分に指が辿り着いたらしい。
「あの初心で純情な幸村は、どこにいったんだよ。」
 フーッと赤く染まる耳たぶに息を吹きかけながら、自分も幸村の熱が移ってきたみたく鼓動を早めてきた政宗は、少し苦笑を滲ませて呟く。
「んあッ…。」
 我を忘れ、感じる部分に指を突き入れ、快感を貪っていた幸村の手を、政宗が掴んで静止する。そんな政宗に、幸村は、不思議そうな視線を送る。
「ま、まさむねせんぱッ…。」
「俺のでイケよ。」
「んん…。」
 指を引き抜かれた幸村は、その内壁が不用意に擦られる刺激にさえも、ブルブルッと大きく身震いした。
「こっちおいで、幸村。」
優しく呼ばれて、政宗へ飛びかかる感じで、その首に巻きつくように、両腕で全力で抱きつく。
「もう、欲しいか?」
 腕で幸村の裸体を包み、顔中にキスをしながら甘い感じで問うてくる政宗に、幸村はコクコクと何度も頷く。
「んんッ…、おれ、欲しいでござるよぉ…。」
「なあ、何が欲しいんだよ。言えって。」
「…ま、まさむねせんぱいのがッ…、欲しいので。まさむねせんぱ…ので、おれを…おれのなかをいっぱいにしてほしッ…。」
言っていて恥ずかしさが頂点に振り切ったのか、幸村の剥き出しの肉棒、その先端の割れ目からじわっと白濁の液が、また滲んだ。
「可愛い、幸村。愛してる。」
「お、おれも…まさむねせんぱ…、だいすきッ、もう、すごくだいすきでござる…。」
 チュッと音を立てて、お互い突き出した唇を軽く触れ合わせる。
「あんたさえいれば、他に誰もいらねえよ。」
「お、俺もでござるッ…、おれのなか…、せんぱいだけでッ…。」
 顔を傾けて、舌を深く絡め、ちゅぱちゅぱと音を立てながら濃厚な口づけを続ける。
―――頭のてっぺんから…、まっしろになってゆく…。
 政宗のキスは魔法のごとく、幸村を夢心地にさせて行った。
「じゃ、俺のに跨って、騎乗位でいやらしく腰振れよ。そしたら、好きなトコに当たるだろ。」
「んあッ…。」
 政宗の下着から取り出されたそれは、凶器に近い感じで腫れ上がっていた。
 コクンと小さく息を飲みながら、幸村は、おそるおそるベッドの上に座る政宗の腰辺りに跨る。躊躇いがちに、政宗のぬるつく肉棒の先端を自身の解れた蕾にあてがうと、自らの体重をかけてずぶずぶと飲み込んでゆく。そのきつすぎる快感に、入れた瞬間、幸村の前部分の割れ目から液が勢いよく零れた。
「…んくうッッ…ああああッ!!!」
「ふッ…。」
 政宗もきつく自身を閉められて、思わず顔を顰める。
―――やっべえ、今、イクかと思った。
 内心焦りながら、政宗は密かに苦笑した。
「んああッ!あんッ…、だ、だめえッ…、んあんッッ!」
 待ち焦がれた太く熱いそれで、極限まで穴を広げられ犯される感覚に、幸村は耐え切れず背筋をブルブルブルッと震わせる。
 生理的に零れる涙でおぼろげに滲んだ視界の先には、優し気な眼差しの政宗がいて、息が止まりそうなほどに切なく、愛しさが強く募ってゆく。
「あッ…あッ…、んああッ…。」
括れた幸村の腰が、勝手に淫乱に大きくグラインドするみたく蠢く。柔らかな内壁も政宗のそれに貪欲に絡んでゆく。
「んあッ…、んああッ…、やらあ…、ああんッ…。」
「…やっば…、きもちよすぎッ…。」
 たまらずベッドに横になっていた政宗は、背中を浮かせて起き上がると、幸村の腰を両側から持って固定させて、快感を貪るみたく、下から抉るように腰を進めた。
「ひあああッッ!」
 最奥をズンズンと深く重く突かれて、その度に幸村は、アーッアーッと、切なげに感じ切った声を迸らせた。
「そんなきつく締めんな。も、俺がもたねえって…。」
「あッ…あああッ!ひんんッ、…んあッ!」
「前、触らずに、後ろだけでイケよ。」
 幸村の前部分は、もうすでに頭をもたげて、爆発寸前まで滾っている。
「ひああんッ…、おッ、俺、もお…、もおッ…いきそ…でッ、ああッ、せんぱッ…!」
 敏感すぎる奥を何度も何度もしつこく刺激され、もうすでにイキそうになっている幸村は、感じすぎて泣きじゃくるみたく声を発する。
「俺も…、我慢の限界…。」
 内壁でもったりと締められて、政宗もクッと息を切らせ、額に汗を滲ませる。
「しっかり俺の肩に掴まっとけよ、幸村。」
 耳元で囁くように言った政宗は、幸村の腰を軽々と持ち上げ、そのまま何度も激しく奥へ打ち付ける。感極まってきた幸村は、政宗の背にきつく縋りつきながら、身体を震わせる。
「んんッ…、あああッッ…、もッ、やあッ、おれッ…、だめッ、だめえッ…、んああああッ!」
 甘い嬌声を喉から絞り出した幸村は、ひくひくっと体を硬直させて達し、同時に中へ政宗の熱い迸りを受け止めていた。


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