小説
<12>
どのくらいの時間が経ったのだろうか?
けだるい倦怠感が身を襲い、ぼやけた意識の中で、パシャパシャという軽いシャッター音が聞こえる。おぼろげに開けた僅かな隙間から入ってくる、何度もたかれるフラッシュの閃光が、暗闇に慣れた眼に眩しい。
「これで、幸村を、完全に俺のものに出来るね。」
慶次が薄暗い闇の中で、ひどく嬉しげに囁いて、幸村の額に張り付く前髪を払った。
そしてそこで、自分の意識は、完全に深い深い沼の底へと、とんだ。
―――今、すごくすごく、彼に会いたい。
−第一部完−
※第二部へ続きます!!
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