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小説
眩暈-後篇-
「いっ。」
 いつの間にやら、ふんどしも外され、下半身を政宗の眼下にあらわにされて。
だいだい色のとろっと、とろみのついた液体を、先ほどの接吻で既に気が早く立ち上がりかけた股間の陰茎に躊躇無くドボドボとかけられたのだ。
「何でござるっ?」
「これか?」
 凝視する視線に気づいた政宗は、指に残った液体を人差し指ごと、おびえを隠せない幸村の口に無理やり押し込む。
「・・・んんっ。・・・ああ、甘い!?・・・。」
「あんたにやろうと思って、蜂蜜を持ってきていたんだ。あんた、甘いの好きだろ?」
「好きで、ござるがっ・・・あっ。」
 たっぷりの蜜をまとわり付かせた五本の指でゆるゆると肉棒を上下にしごかれて、たまらず幸村は自分でも信じられないほど高い声を上げてしまう。
「・・・っ。」
 その自らの声に驚いた幸村は瞬間、両手で口を塞いだ。
「聞かせろよ、あんたの声。」
「いやっ・・・だあっ・・・。」
 怪我人とは思えぬほどの強い力で、抵抗する幸村の両腕を頭の上に張り付かせると、そのまま自らの着物の帯でぐるぐる巻きにし、手錠をかけるかのごとく拘束してしまった。
「お堅いあんたの本性、見せてみろよ。体制なんざ、かなぐり捨てろ。」
 政宗は、さおへ不規則に刺激を与えながら、袋をやわやわと揉みしだく。
 すでに陰茎は、なんだかもとの形からは想像付かぬほどグロテスクに変貌し、切なげにふるふると震え、先走りの液を先端に滲ませていた。
「あっ・・・・やっ・・・・ああああっっ・・・。」
政宗は上体を倒すと、幸村の胸のあたりに、顔を寄せる。
 薄いピンク色をしていた乳首は、幸村の体温の上昇で、濃い桃色に可憐に色づき。
その突起を口に含み、舌を絡めて、強く音を立てて吸い上げた。
 左手は逆側の、立ち上がった乳首をリズミカルに摘み、こねくり回す。
「ふっ・・・ひっああああっ。」
 歯を食いしばって、声を体内に飲み込もうとするが、逆に我慢した分だけ、悲鳴に近い大きな声が反射的に出ていた。
「もっっあああっ・・・ひっ・・・だめでっ・・・っ。」
 自分で慰めるそれとは比べ物にならない、強すぎる快感に、幸村はハアハアと呼吸を荒げていた。
 蜜の緋色の液に混じって、白い乳白色の液が混じってきて。その割合が次第に増えてきて。
「あんたのここ、綺麗だな。乳首と同じ色してる。」
 政宗は左掌で幸村の太ももの内側を掴み、大きく開いた股ぐらに右手を伸ばし探る。するとそこは、奥の秘部にまでぬるぬるとした液が零れて落ちていて、まるで女性の愛液を連想させるぐらい、ぐっしょりと濡れていた。その切なく収縮を繰り返すそこへ、指をぐっと一本入れると、初めてとは思えぬほど、容易に飲み込んだ。
 それを見た政宗は思わずヒューと口笛を吹く。
「簡単に入っちまった。あんたの身体は、かなりの好きもんだな。」
「いっ・・・。」
信じられない場所に指を埋め込まれ、幸村は反射的に逃げようと身をよじる。でもその不用意な動きで、ますます自分を甘辛く苦しめた。
「あっ・・・や、めっ・・・っあああ。ひっ・・・」
 感じきっている幸村の恍惚とした表情、そして切なく甘く喘ぐ声を聞いていると、次第に股間が我慢できないほど熱くなってきて。
政宗も尋常じゃなく、鼓動を速めてゆく。
 早く繋がりたいと急かす気持ちからか、一本の指が容易に出し入れ出来るのを確認すると、早急に、後ろを愛撫する指を追加していた。
「ああああっ、もおっ。」
 声の感じから絶頂が近い幸村を察知し、政宗は、もっといじめたいと思ってしまった。
 ―――俺を、俺だけを、欲しがればいい。もっともっと、もっとだ。
政宗は、幸村の後ろ髪の毛を束ねていた紐を解き、幸村のそそり立ち切なげに震えるそれの根元を、射精をせき止めるように、その紐できゅっと縛った。
「いっやっ、だ、めっで・・・ござっ・・・。」
 辛抱たまらず、幸村は涙目で訴える。
「ああっ、おねがっで・・・ひもっ・・あっ・離しってくだっ・・・あっ・・・ふうっ。」
 首を何度も横に振り、乱れた髪の毛が、ぱさぱさと畳にあたる。
気が狂いそうなほどの、濁流みたいに激しく身を襲う快感に、これ以上は耐え切れず。
 固く帯で縛られた腕は、外そうと抗う力を込めすぎて、こすれた場所が赤くみみず腫れに跡になっていた。
「本当に初めてなのか?あんたのなか、すっげえ指に絡んで吸い付いてくるぜ。」
「やっだっ・・・もおっ・・・・ああっゆるっして、くださっ・・・れえっ・・・。」
 息も絶え絶えに懇願してくる幸村に対し、聞かぬ振りを決め込んだ政宗は、体内を犯す指を増やし、よりいっそう強い快感を与え、彼を悶え苦しめる。
 快楽も強すぎると、地獄のごとく。
 自我を飛ばさないよう、幸村は必死に足の爪を床に突っ立てていた。
政宗は、唾液で濡れそぼつ突起に吸い付き、舌で何度もなぶる。
「ひいっっやあっもっ、おかしくなって・・しまいっ・・・ま・・・.」
「おかしくなれよ、俺と同じくらい。」
三本目の指を入れて、中をぐちゃぐちゃにかき混ぜるように犯す。 
「これ以上はっ・・・だめっ、だめでっ・・・あんんっっ」
烈火のごとく燃えるように熱い体内で、少し硬く指を押し返す場所を見つけると、政宗は、指を折り曲げて爪で引っかいた。
「なっにっ・・・あああああっまさっ・・・あああっ・・・。」
 明らかにはっきり、びくんっと、幸村の体が一度麻痺したように大きく波打った。
「ここ?ここなのか?」
何かで知った、男の身体でも、酷く感じてしまう場所。
「ひっ・・・っだっだめっえっ・・・・そこはっ、あんっ・・・。」
 逃げ腰に畳をずり上がろうとする幸村の身体を、政宗は自分の体重で床に押し付けると、見つけたそこを、執拗に三本の指の腹でこすり、刺激し続けた。
「ああああっもおおっ・・・。」
 こらえきれない涙がぽろぽろと零れ、床に小さなシミを作ってゆく。
「おか・・・しくなってっ・・・しまっ・・・。」
「泣くな・・・。」
固く縛っていた帯をほどき、拘束していた腕を開放すると、幸村はすがるかのように、政宗の首元にガバッと両腕でしがみついてきた。
「幸、村。」
そんな幸村の仕草が愛しすぎて、政宗は焦がれるように唇を合わし、もう一度深いキスをする。幸村も拙い動きながら、見よう見まねで舌をからめてきた。 
「ふっんんっ・・・まさっ・・・む、ね・・・どのおっ・・・。」
 名残惜しげに唇を離すと、お互いの間に透明な線が伝わり、そして消える。
根元を縛っていた紐をしゅるっと離すと、幸村の射精を促すように数回肉棒をしごいた。
「いっああああああああっ・・・。」
より甲高い声を上げた幸村は、数回ぶるぶるっと身震いすると、白濁した液体を体外に放出していた。



「幸村。」
幸村の両足を極限まで広げると、その右足を肩にかつぎ、ぬるぬると蜜と精液とで滑るそこに、自分の、すでに勃起し、たぎり爆発しそうな肉棒をあてがった。
「政宗どの?」
 これから自分の身に何が起こるのか分からない幸村は、不安げに仄暗い闇の中、彼を呼んだ。
「大丈夫だから、力抜け・・・。」
 政宗は、掠れた声でそう告げると、自らの体重をかけ一気に根元まで入れてしまった。
「ひっ・・・ああああっ・・・。」
 焼石のように熱く、指とは比べ物にならないほど質量がある政宗のそれに貫かれて、幸村はひときわ大きく声を上げ、政宗の背中に両腕でしっかとしがみつく。
 ひどく狭くて、全てを吸い取るかのごとくうごめき、全体で絡み付いてくる幸村の内部。
「くっ」
 政宗は、今まで感じた事ないすさまじい快感に、軽く眩暈まで感じ、うめいた。
「ああっ・・・まっさむね・・・どのっ・・・。」
「大丈夫か?」
 問いかけに、幸村は目をきつく閉じたまま、こくこくと頷いた。
「動くぞ。」
「あああっあああっっ、まさっね・・・ど・・・っ」
 抜かれては、また入れられる激しい抽出運動に、幸村は翻弄されるまま、抗う事も出来ない。
 体内が、政宗で完全に満たされて。
 それに対して嫌悪じゃない逆の、幸せな感情で、心が満たされて。
 もう羞恥心なんて、理性なんて、今、ここでは必要無くなっていて。
 幸村には、快感に任せて、喘ぐしかすべが無くなっていた。
「あああああっあああっ・・・んんっ・・・ああっ・・・っ。」
「声・・・、でけえよ。俺は、いいけど、あんた、周りに丸聞こえだぜ。」
「あああっ・・・んんんっ。くっ・・・ああっ・・・。」
「もう、今更だけどな。」
 政宗はいったん先端まで抜いてしまうと、再度ぐぐっと腰を進める。
「あっんんっ・・・はああっ・・・ああああっ。」
 律動を繰り返す鋭く荒々しい動きに、政宗の左腕の傷を塞いでいたはずの包帯が、くるくるとトグロを巻いて床に零れ落ちてゆく。
「ふあっ。」
 薄目を開いた幸村はそれに気づき、その赤黒く血に染まる包帯を、震える両手で傷口に戻すような動きをした。
「あんた、本当は、これが好きなんだろ?」
 傷口が再び開くのもいとわず、政宗は乱雑に包帯を全て取り払い床に投げ捨て、そこを見せてきた。
「あんた、先の戦の時、俺の流れた血を見て、般若みたいに笑ってたろ。」
 まだ塞ぎきっていない傷口からは、源泉みたく新たな血が生まれ出ていた。
 幸村は大きな眼をさらに大きく見開いて、そこを凝視していた。
 政宗の返り血を浴びた自分。戦いの最中、沸騰するかのような血の高揚。それらを鮮明に思い出し、ぞくんぞくんっと、幸村は数回身震いする。
「俺は・・・、あのような姿に、なりたくなかったのにっ・・・。」
 幸村は思わず両目を右手首で隠す。けれど、感情を隠し切れない声は震えていた。
「政宗どのには、政宗どのだけには、見られとうなかったっ・・・。」
「俺も、あんたのそんな姿を見て、欲情していたんだよ。戦場で修羅と化すのはあんただけじゃねえ。」
 幸村の眼を隠す右腕を避けて、その生まれ出た涙を全て残らず吸い取るように、目じりにキスをした。頬、鼻、そして唇に、優しいキスの雨を降らせる。
「・・・政宗どの。」
 初めて自ら、幸村は政宗の両頬に手を添えて、その唇をチュっと啄ばんだ。
「幸村。」
 政宗は、幸村の両足を担ぎ、腰を床から浮かせると、もっと深く繋がろうと動き出す。
 重力に任せ、奥へ奥へと進み、やっとそこにたどり着いた。
「ひっ・・・やっでっ、あああああっ・・・。」
指で刺激されただけで、恐ろしく快感が生まれた場所。
そこを、指とは比べ物にならないほど、熱くて固い先端でグリッとえぐる。
「おくっ・・・あたっ・・あああああっ。」
 もう頭の中が、意識が何も考えられなくなり、無に近く真っ白になってきた。
「ひいいいっ・・・んんっああああっ。」
 汗が滲む政宗の逞しい背中に、幸村はすがるように五本の爪を突っ立てた。
「幸村っ・・・。」
 何度も何度も前立腺の裏をこすり上げて。 
更に激しい動きで、一気に天辺まで上り詰めていく。
「あっあああああああっ。」
 ひときわ大きな声を上げ、幸村は背を弓なりに反ると、二度目の絶頂を迎えていた。
 そしてそれと同時に、自分の最奥に、ほとばしる衝撃を感じた。

 

けだるい事後の脱力感が、2人を襲っていた。
着物を着るのも面倒で、裸のまま布団に横になった政宗は右腕を伸ばすと、幸村をそこに頭を乗せ寝るよう促した。
「大丈夫か?」
 らしくなく心配げに声を発し、幸村の腰を心配げに撫でる政宗に、そんな扱いに慣れない幸村はくすぐったく思う。
「初めてのあんたに、無茶させて悪かったよ。」
「某は、身体だけは丈夫だから大丈夫でござるっ。」
 政宗の口から零れた単語の意味を再確認し、今更身を焦がすような羞恥心に襲われ、幸村は頭まで掛け布団を被った。
 床に乱れた幸村の後ろ髪を指でもてあそびながら、政宗は甘く囁く。
「けど、可愛かったぜ。」
「うううっ・・・。」
 そんなことを真顔で言われて、幸村は恥ずかしくて死にそうだった。穴があったら入りたいほどだ。
「でも」
 政宗は少し声のトーンを低くして、立派な梁が印象的な天井に向けて、ぼそり呟く。
「あんた、これでも、俺となら大丈夫って言えるのか?」
「はい。」 
間髪入れず、考えるまでも無く、幸村は縦に首をふった。
「なんだか幸せな気分だった・・・。そして、今も、心の中はふわふわと温かい気持ちで・・・。なにゆえか、わからぬが・・・。」
 それを聞いた政宗は、愛しさが一気に心を支配して、たまらず裸の幸村の体を自分の懐に入れるようにぎゅっと抱きしめる。
「あー、あんたには、ホント負けだ。俺の完敗だな。」
「何がでござる?まだ対決に決着はついておらぬが。」
「だから。」
 何が何だか分からず、きょとんとしたままの幸村の耳たぶを掴み、直接呟いた。
「俺が、あんたを、好きだってことだ。」 

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