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小説
大好きだよー後篇ー
心の向かうまま、政宗が辿り着いた場所、そこは。
「ま、政宗どの。」
「真田、幸村。」
 それは、甲斐だった。
しかも偶然というのはこのことか。城から少し離れた小川に、一人そこにいるのは、鍛錬の最中らしき幸村。川に膝まで入り、木刀を一心不乱に振っていた。
馬の軽快な足音に、幸村は敏感に反応して顔をこちらに向けた。そして、思いも寄らぬ訪問者に、体全体で盛大に驚く。
暑さのせいか、上半身裸になった幸村の、露わになった少し小麦色に焼けた肌に、数え切れぬ汗が幾筋も流れ落ちている。
「何故、ここに?来られるという話は聞いておらぬが。」
「別に、俺が勝手に来ただけだ。連絡を入れなくても良いだろ。」
「今日、お館さまはご不在でござるが?」
「いんや、別に良い。」
 馬から飛び降りると、愛馬を木陰にと休ませるように配慮か、手綱を木の幹に巻く。
 そして、振り返って、幸村に視線を戻す。
「あんたに用があったんだ。」
「某、ですか?」
 きょとんとした目をして、自分を指差す幸村に、政宗は一度頷いた。
「では、まずは、お茶でもどうでござる?某も今休憩しようかと思ったところで。」
「ああ。」
 政宗の返事に、幸村は嬉々として川原に上がると、どこからともなく表れた風呂敷包みを、両手で大切そうに抱えてきた。
「なんだよ、それ。」
「はい、召し上がれ。」
 その包みからずずっと目前に差し出され、幸村の掌に鎮座するは、大きな大きな黒い何か。甘い甘い砂糖の香りを伴ったそれの、濃い紫色の表面には粒粒が見える。
「何だ、この物体は。」
「おはぎでござるが。佐助のお手製でござるよ。」
「おい、すっげえ甘そうだな。」
―――おいおい、こんなでかいの食えるかよっ。
 甘いものが苦手な政宗は眉根をひそめ見るなり嫌そうな顔をしたが、逆に甘いものが大好物な幸村には、全くもってその心の叫びは届いていない。ますます、無邪気な笑顔でずいずい鼻先まで近づけて勧めてくる。
「お一つ、遠慮なく、どうでござる?」
「・・・頂きます。」
 幸村の好意という名の、強引さに屈した政宗は、どっと肩を落とす。
 まずは、そうだ、これを目の前から消そう。
 そう決心した政宗は、一気に口に詰め込むように、ぱくぱくと食べきった。
「政宗どの、そんなにおはぎが好きでござったか?そんな勢いで食べきるとは。まだまだあるので。」
「もう、いい。」
 確かに、まだまだいっぱいありそうな予感。幸村の傍らには、まだ山のような黒いおはぎの軍団。
 喉に甘ったるくつかえるおはぎに対処するので精一杯な政宗は、喉をどんどんと叩き涙目で、幸村のせっかくの申し出に対し、首を横にブンブンと振るしか出来ない。
「そうでござるか?」
 残念そうに顔をおはぎに戻した幸村は、すでに四個目のそれを、さも美味しそうに食べて、そればかりか名残惜し気にあんこの残る指先まで、ペロペロしゃぶっている。口の周りは、あんこの残骸がつきまくりだ。その大きな図体の子供みたいな幸村に、横に座る政宗は目を細めていたが。
―――やっぱ結婚するなんて嘘じゃねえの?こんなまだまだ子供が、嫁さんをめとって、しかも、子供を作るなんて・・・。
 そして、子供をこさえるには、その女と・・・。
 そこまで凄い勢いで考えて、ぐっと喉からせり上がる強い吐き気が、再び政宗を襲う。 
 アルコールは当の昔に、俺の体から浄化されたはずなのに。
 鼓膜に届く、川のせせらぎが、こんなに清清しくて気持ち良いのに。
―――俺の心は、決して、晴れない。
「なあ、祝言をあげるって本当なのか?」
 とうとう、政宗は、目的の質問を低く問いかける。
「・・・え。」
 自分が口を付けた竹筒を政宗に寄越しながら、幸村は少し面食らった顔。 
「わざわざそのために奥州からこちらへ来られたか?ありがとうございます。」
 先ほどのあんこをほおばる時より、数段に違う満面の笑みで、幸村は肯定した。
 まるで、この世の春、と言わんばかりに。
「早めにお便りをだそうと思っていたのですが。」
 ぽりぽりと頭をかきながら、照れくさそうに話す幸村の語尾に畳み掛けるように。
「それでその女が、凄く綺麗だって?」
 政宗は、そう言いながら、その声が自分のものじゃないような、誰か違う人物が自分の口を通して話しているような錯覚に陥っていた。
「はあ、それが至極勿体無いほどの美しさで・・・・。」
 そこから先は、幸村の声が、耳に入らなかった。
 こんなに近くで聞いているのに、まるで意味が分からない異国の言葉みたいに、脳に全然届いてこない。
―――ああ、これは、俺自身が、拒絶しているのか。
 何故、何故なんだよ。
―――幸村が、結婚するくらいで、俺、なんでこんなに。
「あの、政宗、どの?」
 ぼんやり考え込み、自分の世界に入ってしまった政宗の顔を、不思議そうに覗き込む幸村。
―――こんなに、泣きそうなわけ?意味無く大声で、わめきそうなわけ?
「政宗どの。お疲れか?」
 こんなに今、すぐ近くにある幸村の顔。体。声。そして、心。
―――全部全部、俺のモンだったらよいのに。
 全部残さず全て、ずっと一生、俺の・・・。
 そこまで考えて、政宗はやっとこさ、この心を縛るもやもやの原因を理解した。
―――ああ、そうか、俺。
「政宗どの、城に戻りましょうぞ。少し休まれた方が良い。」
 前かがみになってずっと動かないでいる政宗の、その広い背を摩ろうと伸ばされた幸村の手。
「幸村。」
 それは、不意に政宗に奪いとられ。
 次の瞬間、幸村の視線は一瞬宙に浮き、そして、空を仰いでいた。
 眼前で火花が飛び散ったかと思うほどの、後頭部を襲った強い衝撃と、それと同時に来た激しい痛み。
「痛っ?」
 政宗は無防備だった彼の両手首を拘束し、腰の辺りをまたぎ自らの全体重をかけ、荒い砂利に幸村の半裸の背中を貼り付けていた。
「あんたの結婚なんざ、俺が、ぶっ壊してやるよ。」
 幸村の耳元に唇を寄せ直接囁いた言葉は、物騒なそれだった。
「はい?」
 突然の展開に思考停止に陥っている幸村は、目を白黒させる。
「もう、結婚できねえ体にしてやるよ。」
「ちょっ、政宗どのっ。んんっっ。」
 噛み付くように、幸村の唇を強引に吸った。
 顎を持ち、無理やりに口を大きく開けさせて、逃げ惑う舌を絡め、口内を隅々まで犯してゆく。
じたばたと体の下で必死に抗う肢体を押さえつけ、貪るようにキスを繰り返す。
「ふあ・・・んんっ・・。ふっ・・・。」
 全て、全部、奪いたい。
―――そうだ、俺、幸村を欲しくて欲しくて、誰にもやりたくないくらい。
「それぐらい、好きなんだよ。」
 泣きそうな声で、絞り出すように、政宗は、感情を吐露した。
 


「心の底から、好きなんだよ、あんたのことが。」
 長い長い、呼吸さえも止めそうな濃厚なキスの後、名残惜しげに唇を離すと、政宗は感情のまま、うなだれる幸村の耳元へと直接、熱く情熱的に囁いた。
「まっ、まさむね、どの・・・。」
「誰かに奪われる前に、あんたを、俺だけのものにしたい。」
「ひあっ・・・あっ・・・。」
 思いもかけぬ相手、政宗からの告白に、幸村は何かを言おうと口を開いたが、与えられた鋭い刺激に、それは意味を持たない音に変わる。
 政宗が、無防備に白日の下に晒されている両胸の飾りに手を伸ばし、きゅっと押しつぶすように強く摘み上げたからだ。そして、指は乳首をひっぱり捏ね繰り回すようにリズミカルに動く。
「あっあ、ふあっ・・・。」
 鼻にかかった、砂糖みたいに甘ったるい声が、幸村の懸命に食いしばる口の端から小さく漏れる。その感じ出した声を聞いてしまっただけで、欲望が波のようにせり上がってくる。
「あんた、こうするの、初めてなのか?」
「あっ、あたりっ・・・まえっ・・・。」
―――例のフィアンセとやらと、性交は無かったという事か?
初めてにしては、かなり感度の良い体。こんな体で、果たして女を満足させられるのか。政宗は脳の端で、そんな幸村にとっては大きなお世話なことを考えた。
政宗は、幸村のほうへ覆いかぶさる体制で上体を倒すと、堅く立ち上がってきている突起にちゅっと吸い付いた。すこし汗ばんだそこは、少し塩辛い味がして。そして、唇で愛撫しているそれとは逆の薄い胸板を、円を描くように掌で揉んでみた。
「ひんっ・・・っあッ、んんっ、まっ・・・さ。」
あまりに返ってくる反応が良いので調子に乗った政宗は、敏感な乳首にカリッと軽いタッチで前歯を当ててみる。
「あッッ、いっああっ・・・。」
 瞬間、噛み殺しきれない声が、反動で大きく溢れた。せつない嬌声は、真っ昼間の、もしかしたら普通に人が通るかもしれないそこら中に響き渡ってしまい、幸村の体をますます羞恥心で熱くさせてしまう。
「あんた、ここ弱いみてえだな。女みたいに、乳首で感じちゃってんの?」
膝を立てた足は、与えられる刺激に素直に反応して、ビクンビクンと小刻みに揺れている。
「ちがっ、あああっ・・・。」
 女みたいと揶揄されて、キッと反抗するように睨んだ、その幸村の、理性と欲望が入り混じった双眼に、政宗はゾクッと背筋を震わせる。その眼がもっと快楽にまみれた状態が見たいと、政宗はじゅるじゅると乳首を強く吸いこむ。
「ひあああっ・・・、や、だめでっ・・・。」
乱れていつのまにか脱ぎかかっている、下を覆っていた邪魔な袴を脱がし、そこいらに放り投げる。そして、ふんどしの下で、はちきれんばかりに存在感を増している幸村のそこを見咎めて、政宗は下にすっと手を伸ばした。少し湿った白い綿布を避けて、先走りの精液が滴りトロトロに濡れそぼつ肉棒を取り出すと、白昼の太陽光の下へと曝け出した。
「あっ、だめっっ、だめでっ・・・。見たら、だめでござっ・・・。」
「こんなにパンパンにして、何が駄目なんだよ。」
 吸われ過ぎて痛いと訴え、体をそらして逃げようとする幸村を確認しながらも、執拗な胸への愛撫をやめようとせず、それと同時進行で、にゅるにゅると粘つく陰茎を上下にしごく手の動作もひっきりなしに続ける。
「あああっ、・・・も、でっ。」
 こんな、お天道様の下で、自分は何をしているのか。
 その背徳感が、ますます、幸村の性欲の増幅に拍車をかけてゆく。
 今にも達しそうな限界に近い幸村に気づいた政宗は、亀頭のくぼみに、爪をひっかけてみた。
 そのピリッと焼けるような鋭い痛みに、目の前がスパークして真っ白になる。
極限まで上り詰めている幸村は、それ以上の刺激を求めて、無意識に自ら腰を政宗の手にぐいぐい押し当ててしまう。それに答えるかのごとく、政宗の手の動きは早まってゆく。
「あああっ、いいいっくう・・・。」
 水中で酸素を求めるように、白い喉を反らせて、喘ぐ幸村を横目で見ながら、政宗は幸村自身の付け根から先端まで、一気に、射精を促すように力を込めてしごいた。 
「ひああッッ。」
 瞬間、悲鳴に近い声をあげ、幸村は体を弓なりにすると、政宗の掌に勢いよく吐き出していた。
内部に残った精液を全て搾り取るように、肉棒を握る政宗の掌は動く。
感じすぎて、涙でぐしゃぐしゃになった幸村の顔に、愛しそうにキスの雨を降らせ。
政宗は、がっくりと人形みたく体の力が抜けた幸村の体を起こすと、四つんばいという屈辱的な格好をさせて、こちらに引き締まった筋肉質の尻を向けさせる。
幸村の放った生温かい白濁のそれを、たっぷりと後ろの蕾に塗りこみ、そして左手の親指と人差し指で穴をこじ開けると、誰も触れたことの無い聖域へ、右の中指をグッと差し入れた。
思いも寄らぬ場所を触られ、我に返った幸村の体全体が、仄かに朱に染まった。
「ひっ。」
「こんな晴天の下で、あんたのここ丸見えだぜ。綺麗なピンク色。物欲しげに動かしちゃって、なあ。」
「らっ、めえっ・・・、みないで、くだされっ・・・。」
 荒い呼吸の合間に出る喘ぎに合わせて、ひくひくっとそこが麻痺したように収縮を繰り返す。
 ゆっくりと「の」の字を描くように中を押し広げ、じわじわと奥へ奥へと指を突き動かしてゆく。
「ふあっ・・・あんんっ。」
 指と内壁の擦れあう部分から、耳を覆いたくなるほど卑猥な水音が聞こえてきて。
「ふあああ・・・っまっさ、ね・・・どっ、ああっんん。」
 幸村の開けっ放しの唇の端からは、飲み下しきれない透明な唾液がつつっと伝っている。
「あひっああ・・・ああんっ・・・っ。」
 指はいつの間にか、三本に増やされていて、それぞれの指が意思をもっているかのごとく不規則な動きを繰り返し、幸村の内部を解し、容赦無く犯してゆく。 
「いっひいいっっ・・・。」
 そして、ある一点を爪で微かに擦った瞬間、幸村の腰が尋常じゃないほど、ビクンと跳ね上がった。
「ここ、か?良いの?」
「だっだっ、だめええっ・・・そこお・・・だめっ、変になっ・・・いあああああっ。」
 腰を振って甘い責め苦からたちまち逃れようとするけれど、その動作が逆に色んな角度から攻める形になってしまって。
 そんな、普段、性とは無縁の幸村の痴態を目の当たりにした政宗は。
「もう、我慢できねえ。」
 そう熱っぽい息と一緒に声をボソリ吐くと、早急に袴と下着を取り払った。
柔らかく解れてきた、誘うようなそこに、自分の限界まで膨れ上がったソレをあてがって、そのまま躊躇無く、太い亀頭部分をじっくりと、ズッポリ埋め込んでゆく。
「いっ、たあ。」
「きっつ・・・。」
 指で丹念に広げたはずなのに、大きさが格段に違いすぎたため、どこか避けたらしい幸村は、両目を眉間にしわが寄るほどきつく閉じて、歯を食いしばって、与えられる痛みと衝撃に必死に耐えている。
 先の見えぬ恐怖心からか、収縮気味に萎える幸村のそれに手を伸ばし、しゅっしゅっと数回扱いてみると、少しだけ堅さが復活してきた。
「力抜け、幸村・・・。」
「む、りで・・・、ふあっ・・・。」
 ゆるりと前方に手を伸ばし、幸村の触りすぎて赤くなっている胸の突起に指をスライドさせると、幸村が頭を振って懇願する。
「あっ、そこぉ、だめっ・・・。」
 涙目で政宗に訴えるけれど、政宗は逆に引っかいたり摘んだりして、幸村の反応を楽しんでいるようだった。
「あああっ、ふうっ・・・いや、だあ・・・。」
 快楽に溺れてきている幸村はだんだん強張っていた体から力を抜き始め、内部の出し入れが少しスムーズになってきた。それでも、両手を地面に突いている幸村は、砂利を掴み、何とか快感の波にさらわれない様に、意識を飛ばさない様に、耐えている。
 結合部分ぎりぎりまで肉棒を抜いて、そのまま奥まで突っ込む動作を繰り返していると、幸村の表情がなんとも言えぬ艶めいた表情に変貌してきた。
「あああん、あんっあんんっ・・・まっまさ・・・むね…どのおっ…。」
 感極まった顔で、甘く名前を呼ばれて、政宗は、心の奥が焼けるように疼く感覚を覚える。
「好きだ・・・、幸村っ・・・。」
「ふあああっ。」
もっと深く混ざり合うくらい繋がろうと、一度、名残惜しい、ずっとこのまま居座っていたいほど気持ちの良い幸村の内部から、ずるりと肉棒を抜いた。そのモノを引き抜く刺激にも、幸村は強く反応して、背を大きく反らす。
そして、政宗は、胡坐をかくように砂利の上に腰を下ろすと、幸村の体をそのまま自分の上に座らせる体制をとる。幸村の引き締まった腰を両手で持ち、政宗のそれによって与えられる、熱く悶える刺激を待ち望んでいるかのごとくピクンピクンと麻痺する蕾を分け開き、白濁の液がしたたる陰茎を、今度は躊躇無く一気に納めてゆく。
「んああッ、ひああっっ、あああんッ・・。」
腹の中が、政宗で埋め尽くされて、いっぱいになった。
 そして、幸村の自らの体重で、奥深くまで届いたようだ。
「あ、ああああああんっっ・・・。」
 びくうっ。
 途端、幸村の体が大きく後ろへしなって。 
 先ほど、指で触れただけで、見ている政宗までもが恥ずかしくなってしまうほど乱れまくった場所に、指とは質、熱量、どちらも格段に違うそれが、ぐりっとえぐる風に当たったのだ。
「あふあああ・・・、んんっ・・・。」
「ここか。」
 ニヤッと口の端をあげて妖しく笑った政宗は、下から容赦無く突き上げ、ウィークポイントに何度も猛々しい肉棒を擦り付けるように、絶え間なく抽出を繰り返す。
「あんっあんっあっいやっだあ・・・ああんっ・・・。」
 ひっきりなしに甘ったるい喘ぎ声が途切れ途切れに、だらしなく半開きの幸村の唇から漏れている。
「ああんっあんんっ・・・・ふああ・・・もっ・・・。」
 痛いほど隆起し、震える乳首を口に含み、ぢゅっと数回吸い上げる。
「ひいっ、そこは・・・だめえっ・・・。あんんッ・・・いたあっ・・・。」
「そんな、もの欲しそうな顔して、痛いだけじゃねえっ、だろ?」
 幸村の腰を掴み、体を上下に揺らし、下からも激しく打ち付ける。
 ぐちゅぐちゅう。
 結合部分から、動きと共に粘着質な音が聞こえてくる頃には、幸村の目は蕩けて、夢心地な、なんとも言えぬ表情に変貌していて。
 もっともっと自我を無くすくらい気持ち良くしてやろうと、政宗は、執拗に突起に滑った舌を絡め、舌先で乳頭のくぼみにちょろちょろと刺激を与える。
「まさ・・・むねどのお・・・っっ・・・あああんッあんんっ・・・あんんッふう・・・ひあんっ・・・。」
「幸、村・・っ。」
「もお、だめええっ。・・・いくっ、いっちゃうっ・・・あああんんっ。」
  腰を打ち付けられ、強く激しく触れられただけで腰砕けそうなソコに肉棒を擦り付けられて、幸村は、絶叫に近い喘ぎ声と共に、今日二回目の絶頂を向かえて。
 それと同時に、最奥に熱い灼熱に近い衝撃を受けていた。


 全てが終わったあと、ガックリと突っ伏した幸村を抱き上げると、そのまま木陰に休ませ、清らかな川の水で濡らした布で体を清めながら、政宗は、ピクリとも動かない彼を目に移し、緩やかに、けれど確実に、現実へと引き戻されて。
押し寄せてくる後悔と、そして、言葉では表現できぬほどの虚無感に襲われていた。
「ごめんな、幸村。」
 こんなことをしても、幸村は手に入らないと分かっていたはずなのに。
 けれど、止められなかった。
 じんわりと何か、温かい液体が碧眼の目の端に溜まり、視界がぼやけて、大切な幸村まで、何も見えなくなる。
「泣きたいのは、俺じゃねえよな。」
 政宗は、絶望的な感情のまま、独白する。
―――幸村のほうが、何倍も泣きたいはず。
 けれど、つつーと頬を伝うそれを、自分の意思では、もう止められない。
「政宗どの。」
 瞼をゆっくりと開けた幸村は、そんな打ちひしがれた政宗を目の当たりにし、驚愕の表情を浮かべた、そして。
 ふわり。
 うずくまる政宗の肩を、自分の両腕で、温もりを分け与えるかのごとく、包み込むように優しく覆っていた。
「幸村。」
「泣かないで下され、政宗どの。政宗どのが泣いていると、某も辛い。」
「俺は、あんたに酷いことをしたんだぜ。」
 慈しみ溢れる幸村の言葉に、ますます政宗の心は苛まれる。
「政宗どのは、某の事を好きと言ってくださった。だから、良いでござる。」
「何でだよ、意味がわかんねえよ。」
 子供みたく駄々をこねるふうに、力なく頭を振り、政宗は少しだけ声を荒げる。
「そ…それは…、そっ某も、政宗どのを、すっ…すすす、好きだからでっ…。」
「え。」
 恥じらいながら告げてきた、その幸村の言葉に、政宗は、自身の耳を疑った。
 自分の耳は、都合よく事実を折り曲げて取り込む耳になってしまったのかとさえ思う。
 けれど、幸村は、真実だけを語り続ける。
「某も、政宗どののこと、ずっとずっと前から大好きでござったよ。もしかしたら、出会ったその日から。…それに、じゃないとあんなこと許せないでござる。某だって、力はあるほうでござる。本気で逃げようと思ったら逃げておりまする。」
 だって、あんな痛くて破廉恥すぎる事なんて、と、頬を真っ赤に赤らめながら、色恋沙汰に初々しすぎる幸村は、ごにょごにょと語尾を濁した。
「じゃあ、何で。」
 政宗は、幸村の仄かに朱に染まる頬を撫でながら、まだ半信半疑で問いかける。
「何で、俺をおいて、結婚するんだよ。」
「政宗どの。」
「俺を、残して、1人で…。」
 幸村は、未だ半信半疑の表情で、自分の頬を包み込む政宗の手に、自分の人より体温の高い手を、そっと重ね合わせる。
 そして、よく通る声で、はっきりと告げた。
「某は結婚なぞしないでござるよ。だってお慕いする相手がいるのに、するわけないでござる。」
「・・・えっっ。」
 すりと、政宗の手にうっとりと頬を摺り寄せながら、幸村は断言する。
「じゃあ、ガセ?幸村が祝言を挙げるって・・・。」
「祝言は、某じゃなくて、兄があげるでござるよ。来月、兄上が結婚するでござる。」
「ええええええっ。」
 政宗は、本気で驚くあまり、雄たけびに近い声をあげてしまう。
「わざわざ、政宗どの、奥州から兄のためにお祝いを言いに来てくださったのかと思って、とても嬉しかったのですが。」
「あんたとっ!あんたのアニキを間違っていたんだよ。だから、俺は、いてもたってもいられなくて。」
 身振り手振り、必死な形相でそこまで捲くし立てて、それから、あまりの自らの早とちりに、ぷっと政宗は吹き出してしまう。
 そして、大きな声で盛大に笑っていた。それに合わせ、幸村もつられて朗らかな表情に移り変わる。
 ―――そうだ、気づいたのは。
 自分があまりに子供だった事と、そして、子供だと思っていた幸村が自分よりも、もしかしたら大人だという事。
「政宗どのっ、某、政宗どののこと、大好きでござるよ。」
 満面の笑みで、ぎゅっと再び首にすがり付くように抱きついてくる幸村。政宗は、幸村の腰に両腕を回し、強くその背がしなるほど、張り裂けんばかりの愛情を込めて抱きしめ返した。
「幸村、俺も、愛してる。」
 そのまま顔が近づき、どちらからともなく唇が合わさって、舌を絡めあう深い接吻へと変化する。
 そして、唇を離すと、幸村をすっぽりと腕の中に納めたまま、政宗は幸村にいたずらっぽく問いかける。
「なあ、もう、このまま、俺と結婚するか?奥州に来るか?」
「それは、無理でござる。」
 間髪入れない即答に、政宗は内心、ガクッとなるけれど。
「でも、ずっとずっと、心は傍にいるでござるよ。形式的な結婚は出来なくても、この命燃え尽きるまで、一緒にいるでござる。」
「幸村。」
 幸村の与えてくれる言葉一つ一つに、心がポカポカと温かくなって。
「そうだな、その方が、何倍も嬉しいな。」
 政宗は嬉しげにそう囁くと、もう一度、幸せを噛み締めるように、幸村の体を抱き締め直した。


☆おわり☆

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