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小説
その9
 風呂上りにアイスを食べながら、仲良くソファに並んで座って、レンタル店で借りてきていたアクション系DVDを観ている。その映画が思ったより面白くなかったのか、それとも、ただただお子様体質でご飯を食べたから眠いだけなのか、ちょっと退屈そうに幸村は小さく欠伸をして、チラと隣の政宗へ視線を流してきた。
「先輩が食べているのも、すごく美味しそうでござるなあ。」
 幸村の食い意地センサーが敏感に反応した。
 2つのある内から自分が選んだ苺のアイスをとうに食べ終えていた幸村の視線の先には、その政宗の舐めている新商品のチョコがたっぷりかかった、コーンアイス。
 その欲張りかつ熱心な視線に、映画に集中していた政宗は、えっと、自分の手元を持ち上げる。
「え?これ食うの?」
「え?貰えるので。」
 一口貰えると喜んで、尻尾があったらブンブンふる感じで、ワンコのようにすり寄ってくる幸村を横目に、政宗はアイスをそのまま噛り付いて口に含む。
「え?」
 その思いがけない政宗の行動に、悲しそうに固まる幸村の顎をクイッと持って、その唇を政宗は自分の唇で塞ぐ。そして、半開きだった隙間から、ねっとりと舌を差し込んで、幸村の舌の上に痺れるくらい甘いアイスを届ける。
 アイスの味など堪能する間もなく、くちゅくちゅと激しく絡まる2人の舌の上で、アイスが溶けてしまった。
「んんっ!」
 溶けてしまっても、政宗は、幸村の甘い口内を隅々まで堪能していく。
 幸村は、喉に溜まってゆく、クリームと唾液が混ざり合ったものを、苦しげにコクンと飲んだ。舌と舌が離れた瞬間、透明な糸が引かれる。
「ふああ…。」
 酸素不足と、キスに慣れた政宗に翻弄されまくりな自分への悔しさで、涙目な幸村は、俯いて大きく息を吐く。
「美味かったか?」
「うう…、もう、わかんない。」
「俺は超美味かったけどな。苺もなかなか良かったぜ。」
 つんつんと、幸村の微妙に不服っぽく尖らせた唇を突いて、顔を寄せたまま政宗はエロく囁く。
「なあ、幸村。俺の部屋のベッド行こうぜ。」
「ふえ?」
 まだ激しいキスの余韻から冷めていなかった幸村は、ぼんやり顔を上げる。
「もう、準備出来ただろ?」
「まだ、む、むり!!!」
 幸村はブンブンブンと首を激しく横に振る。キスだけでこんなに腰砕けになってしまって、これ以上なんてまだ無理だと、幸村は泣きそうに顔を歪ませる。そんな幸村に、しょうがねえなと、政宗は幸村のシャンプーしたての良い香りのする頭をわしゃわしゃと撫でくって。
「じゃあさ、今から我慢大会しようぜ。」
「な、何故、突然、そんなこと?」
 戸惑う幸村に、政宗は滑舌良くすらすらと説明する。
「俺が今からすることに、幸村は声出すのを我慢すること。我慢出来たら、今夜は最後まではしねえ。幸村は声を出さなければ良いだけだから、簡単だろ。」
「…う…。」
 とりあえず、まだしぶる幸村を、リビングの3人掛けのソファに押し倒す。
「ええ?」
 間近で見ても上機嫌な政宗は、鼻歌交じりみたいに、幸村のハーフパンツを手際よく下ろしてゆく。
「えええっ!ま、まってくだ…!やめっ!」
「駄目だって。大きな声、出すなよ。」
 しーと唇に立てた指をかざして、楽しげに政宗は幸村の耳に直接吹き込む。
「でもでもっ!リビングでなんて、お父さんとお母さんが帰ってきたらどうするのでっ。」
 こんなところ見られたらシャレにならない。言いわけのしようが無い。自分は押し倒された上に、下半身丸出しなんて。
 狼狽えまくりの幸村の唇に、フレンチキスを落とすと。
「2人とも今日も夜勤だって。うちの両親は、今救急病院で勤務してるから、忙しいんだよ。」
冷静に告げながら、起き上がろうとする幸村の、その抵抗を上から押さえつけてトランクスをずらしてしまう。言葉とは裏腹に、すでに感じてしまっていたのか、幸村自身と太ももまで脱がされたトランクスの間に、白い液でつつーと糸を引いてしまった。
「ふーん、幸村の体はヤル気まんまんみたいだけどな。」
「は、恥ずかしいっ、からぁっ…。」
 幸村は自らの二の腕で赤くなり過ぎた目元を隠しながら、泣きそうに訴える。
「もう、腹くくれよ。ここまで来たら。じゃあ、声、我慢しろよな。」
 ニヤリと、政宗は芝居っぽく意地悪く笑う。
「えええっっ!」
 液で粘つく幸村の欲望の塊を右手で包んで、同じ男ということでどこを触ったら気持ち良いか分かりすぎている政宗は、慣れた手つきで強弱をつけつつ、上下にしごき始める。
「ふ…んんっ!んーっんんーっ。」
 幸村は自分の口を両手で密封するみたいに呼吸ごと塞いで、必死に声を漏らさないようにするけれど、細くくびれた腰は、政宗の手に押し付けるかのごとく淫らに揺れる。
「さあて、いつまで、こらえられっかな。」
 政宗は、次に、幸村のとって信じられない行動に出る。その下腹部を襲った腰全体を覆う重くて甘辛い快感に、幸村は呆気無く声を出してしまう。
「っひあああ!んあああっ…だめっ、そっ…あっ…。」
 我慢していた分、いっそう、大きく悲鳴みたいに甘い声が、反らした喉から盛大に漏れ出た。
 政宗は綺麗な唇を寄せて、先走りの液ごと肉棒を頬張ってしまったのだ。袋の部分を優しく包んで揉みつつ、喉に当たるくらい深く銜え込んで、強めに吸い上げる。
 幸村は、喉の奥に溜まってしまった唾液を飲み下しながら、嗚咽みたいに声を漏らす。
「ふあっ…もっ…ひっ!あっ、あん!」
 感じすぎて、生理的な涙が漏れてぼやけた目の前が二重にブレる。もう限界に近い。
「声、出しちゃったな。」
「んんっ!はなしっ、しちゃっ、あっああっ…もおっやあっ!」
 掌の中にある袋の刺激と連動しつつ、ちろちろと赤い舌先で先端の窪みを舐められて、信じられないほど激しく襲ってくる快感に、幸村は、もはや嬌声を堪えきれない。
「せんぱ…っ、おっ、おれっ…もお…ふああっ…だめえ…。」
 初めての経験に、抗う術をしらない幸村は、簡単に上りつめてしまい。
「ひあああ!」
 政宗の口内にあっけなく射精してしまった。
 涙を浮かべながら、はあはあと大きく肩で息をする幸村を横目に、政宗は汚れた口元を拭いながら、ゴクンと、口の中の精液を飲み込んでしまった。
「これで幸村の負けな。ほら、俺の部屋行くぞ。」
 手を引っ張って立たせようとするけれど、未だ射精の余韻で、脱力気味でぐったりしている幸村を、政宗はしゃあねえな、と、一つ苦笑を零して。
「え?」
 ソファと幸村の隙間から、背中と太腿裏に腕を差し入れて、そのまま反動付けて軽々と抱き上げてしまう。
「行くぞ、このまま。」
「えええ?」
 いきなり宙に浮いた幸村は、その不安定さから、慌てて政宗の首に両腕をまわす。
 部活を引退してしばらく経つというのに、全然体力は衰えを知らず、下半身丸出しの恥ずかしそうな幸村を抱えたまま、2階の自室へ向かって階段を軽やかに昇ってゆく。
そして、ベッドに下ろした幸村へ、意気揚々と上から圧し掛かる。
 ちゅっちゅっと音を立てて、角度を変えながら、長めに幸村へキスをしつつ、幸村の脱ぎ掛けだったTシャツを完全に脱がせて、フローリングの床へ邪魔っ気に放る。
「ふあ…んん…、…ん…。」
そのまま平たい胸に円をかくように掌を動かした。中心の尖ってきた乳首に、掌の肉厚な部分で触れると、幸村は小さく感じ切った声を漏らす。
「んっ…あっ。」
「四つん這いになって、尻ちょっとこっち向けて、突き出す姿勢で。」
「え?や…やっ…恥ずかしいで…。」
 政宗はしっかりと洋服を着ているのに、自分だけ全裸で、そんな破廉恥すぎる格好をするなんて、と、躊躇する幸村の尻へ手を伸ばし。
「大丈夫だって、可愛いよ。小ぶりで張りがあって。」
 すべすべな臀部を、いやらしい手つきで撫でられて、ひああっと、幸村は、体を震わせて泣きそうな上ずった声を上げる。
「ううう、そんなこと、言わないでくださっ…。」
 顔を真っ赤にしながらも、幸村は言われた通りに、腰を政宗の方へ突き出す姿勢をとる。羞恥心に負けそうになりながら、なんとか逃げ出さず、下唇を噛んで持ち堪える。
「ちょっと冷たいかもしれねえけど、我慢してろよ。」
政宗は体を伸ばして、床に置きっぱなしになっていたドラッグストアの袋から例のブツを取り出す。ドレッシングの容器みたいな形のそれから、透明でトロトロな液体を、上から豪快に、自分の指先にも幸村自身の尻にもたっぷりかけてゆく。まるで、本当にドレッシングを料理にかけるみたいに。
「ふあああ!先輩っ…、これじゃシーツが…汚れるのでは…。」
「大丈夫、後で洗うから。」
 幸村が腰砕けになるくらいに気持ち良くするためだから、と、ローションが絡んだ一指し指と中指をねちゃねちゃと音を立てて広げてみせる。
「ひあっ、やだあ…。」
 その粘着質な音に反応して、幸村は、拒絶するみたいに両目をぎゅっと瞑る。
「んん!」
 そして、次の瞬間、ビックリしすぎて息を飲んだ。お尻を揉んだりしてその柔らかな感触を楽しんでた指が、にゅるっと、とろみを伴って中へ入ってきたからだ。
「ふあ…、あ…んんっ…。」
 幸村は、気持ち悪さに顔を顰めるけれど、何故か中を探られていると、くすぐったくて、変な感じになってくる。
「あっ…んん、あっ…ふああ…。」
 内壁が勝手に動いて、政宗の指をもっと奥へ誘う。そして、もっと激しく突いてと言わんばかりに、腰が淫らに左右に振れる。
「あ…あんっ…ふあ…あっ、あっ…やらあ…。」
「大丈夫?」
 チュッと政宗は、幸村の背中に口づける。夏休み中だから大丈夫だろとふんだ政宗は、堂々と、自分のものと言わんばかりに、強く吸い付いて鮮やかなキスマークをつけてゆく。
「んんっ!俺、ばっかり…なんか…。」
「良いの、俺が幸村を気持ち良くさせたいんだから。」
「だって…変な声が出て、恥ずかしいし…。」
「良いんだって、俺が聞きたいんだから…。」
「やぁだっ…、あん…あ!ふあ…。」
「幸村、こっち向いて。」
 一度幸村から手を抜くと、仰向けに寝かせて両足を大きく開かせて、もう一度指を内部に埋め込んでゆく。合わせて政宗が、痛いほどに立った胸の尖りをチロチロと舐めると、途端、乳首を刺激されると弱いのか、幸村は、息を乱して小さく喘ぎ始める。
「顔、見たっ、ら…、いやで…、恥ずかしい…っ。俺、変なかお…してるし…。せめて、電気、消して…くださっ…。」
 蛍光灯の眩しい光が、自分達を煌々と照らしている。
「隠しちゃ駄目だって、幸村の可愛い顔、見たいんだから。」
 反らしきれずに、パッと目が合って、幸村はふと違和感を覚えて、おずおずと聞いてくる。
「先輩、そういえば、何故今日は眼鏡じゃないので?」
 家では大体眼鏡をかけているはず、風呂も入った後だというのに、なんでコンタクトのままなのだろう。
「幸村のエロい姿とか、乱れる可愛い姿とか、しっかりよく見えるようにだよ。」
「!!!!!」
 その返事に、即座に、幸村は横を向いてしまう。
「顔背けんなって。俺の顔見ろよ。」
「ふえ…。」
「俺も、すっげえ、テンパってんの、分かる?俺だって、ドキドキしてんだよ。」
「え?せんぱいも…?」
「あったりまえだろ。幸村が大好きなんだから。大好きな相手とこれからH出来るって思ったら、ほら…心臓バクバクだぜ。」
 幸村の手をとって、政宗はシャツ越しの自分の胸に、その掌を押し当てる。確かにトクトクトクと規則的な鼓動がとても早く感じられた。
「でも…、先輩…、俺より前に…、女の人と…。」
 すねたみたいに、口を尖らせてぶつぶつ言っている幸村に、政宗は苦笑いするしかない。
何だよ、幸村。意外にやきもち妬きなんだな。まあ、すっげえ嬉しいけど。と、1人ごちた政宗は、幸村の火照った頬に手を添えて、鼻頭に羽毛のようなキスをして、宥めるように優しく甘く声を出す。
「幸村だけだって、言ってるだろ。俺のこと、信じられねえの?」
「…男の俺より、胸が大きい女の人の方が、良いんじゃないので…。」
 そうだ、政宗の彼女は大体胸が巨乳で、年上の色っぽい人が多かった。両方ともどんなに願っても叶わない幸村は、内心、それを未だに根に持っている。
「だからー、俺が自分から告白したのは幸村だけだよ。ずっと、こんなに馬鹿みてえに本気でずっと大好きなのは、幸村だけだって。」
「本当にで?」
「どんなにいい女が100人来ようが、幸村1人に全然敵わねえってこと。幸村が傍にいなくなったら、俺、息も出来なくなるかも。」
 幸村の前髪を全開にして、幼さが残るおでこに自分のおでこを、コツンとぶつける。
「幸村こそ、今後一切、俺以外の誰かと、こんなことすんなよ。」
「すっ、するわけないでござるよ。」
 こんな破廉恥すぎることなど先輩とじゃ無かったら…、と小さく呟いて、むむっと口を一文字に締める。
「俺、すっげえ、嫉妬深いからな。今日ので分かっただろ。」
「ふえ?」
 ぷうと膨れていた幸村の頬を、左手でムニッと摘まんで、政宗は微笑む。
「幸村が女と仲良くしてんの見るだけで、はらわた煮えくり返りそうになった。俺、嫉妬に狂ったら、何すっかわかんねえよ。」
 その笑顔の裏に、怖い本心が見え隠れして、ひっと声を漏らした幸村は少し恐怖を覚えた。
「そ、そうだったので…、ごめんなさい…。」
 わかったらよろしい、と、素直に反省して謝る幸村の頭を、よしよしと囁きながら、その声と同じく甘やかす調子で撫でて。
 なんかあっちいな、と、ぼやいた政宗はシャツを脱いで、今日の海のゴタゴタで小麦色に焼けてしまった、筋肉のほどよくついた均整の取れた上半身を露わにする。その綺麗な体に、ぼーと見惚れていると、政宗の声が飛ぶ。
「ほら、続けっぞ。集中、集中。」
「…あ…、あっ!…んん…ふあ…。」
 政宗は体を下にずらして、羞恥心でか、小刻みに震える幸村の乳首を親指で潰すように弾く。そして、同時進行で、くちゅ、と、内部に埋めた2本の指を左右に割り開くように蠢かした。
「んっ…んあっ…、ふああっ…んっ、そこ、…なんかやらっ…。」
 背を反らせて胸を突き出す姿勢になった幸村の乳首を強めに、赤ちゃんみたいにちゅくちゅく音を立てて吸いながら、意地悪く笑いを含ませて言い放つ。
「「やだ」じゃなくて、「気持ち良い」の間違いだろーが。好きなんだろ、おっぱい刺激されんの。」
「ちが…!あん!…もお…ふああっ。」
 正直な、政宗の腹にさっきから当たっている幸村自身は、固く立ち上がってさっきから先端の割れ目から液をドロドロと零しているのに。
「あっ…ふあ…ああっ…あんっ!」
 敏感すぎる胸と下を同時に刺激されて、幸村は目に涙を溜めながら、体を震わせて悶える。
「そういや、幸村、肌、あんまり焼けてねえな。ここも、ピンクで可愛いし。」
 ぷっくりと立ち上がって、自分の唾液で更に鮮やかに桃色に色付いている乳首を眺めて、もう一度、包み込むように、口に含んでしまう。
 自分のストーカー的情報収集にて発覚しているのだが、幸村はこの夏休みに入って、友達と海やらプールやら頻繁に行っている。俺以外の男に裸を見せるなんて、それが、政宗としては本当に面白くなかった。
「さすけ…がっ、んんっ…日焼け、止めを…ふあ…っ、ひあっ…。」
「…あいつ。」
 俺に海で日焼け止め塗るのはあんな渋ってたくせに…。ちょっと恨めしく、記憶の中の佐助に目を眇める。まあいいや。これから、幸村の裸は、2人きりでこうやって見放題だしな。俺だけの特権だと、政宗は、ほくそ笑む。
「あ…っ、んあ…せんぱ…んん、ふあ…あ、ああ。」
 政宗は、さっきから何かを探すみたいに幸村の内部を探っている。少し進んでは指先で擦って、少し戻ってはまた擦って。WEBで調べたら出ていた、男でも女みたいに感じることが出来るという、その場所を、まさに手探りで探す。
「あ…ん…あっ…ふあ…ああっ…。」
 指をクッと釣り針みたいに折って、また内部を軽くひっかくように擦ると。
 ひあ!と幸村が息を飲んで、体を大きくビクンと痙攣したみたいに震えさせる。
「いあっ!やあ…!やらあっ…あっ。」
 いやだと幸村は泣きながらうわ言みたいに繰り返して、錯乱したように激しく首を左右に振っている。
「みっけた、ここか?」
 内部で固く盛り上がった場所を見つけると、幸村の逃げ惑う腰を押さえつけて、指先でくすぐるみたいにひっかく。
「あっ…あんっ!もお…や…あっ…。」
 すがるように見てきた幸村の水分多めの眼は、本人はその気は無いのだろうけど、まるで誘うかのごとく、とろんとしていて、見ていると酷く興奮してきてしまう。天性の魔性とか、そういうものを秘めていそうだ。
「いきたいの?いっていいよ。」
 幸村の汗ばんだ額と頬にキスをして優しく告げると、幸村自身に手を添えて軽く絞り出す動きでしごいて、促すみたいに刺激を与えた。
「あっ…ひあっ…あああ!…んん。」
 ふるふるっと身震いして、幸村は政宗の腹部分に液を放ってしまう。
 その、顔を赤らめて達する幸村の表情だけをおかずに、自分は何度もイッてしまいそうだ。当の幸村は、自分だけ2度も簡単に達してしまって、恥ずかしそうに背を丸めてしまったけれど。
「もうそろそろ良いか。」
中は幸村の体温で溶けてきた透明なローションと、幸村の液と絡んで、ぐちゅぐちゅに 蕩けるように解れてきて、逆に政宗の指をぎゅぎゅっとしめつけてくる。政宗はこれで自分をここに埋めてしまったら、と想像して、ゴクンと生唾を飲む。
 そして、名残惜しげに、幸村の内部から手を引き抜いてしまった。
「ふああ…。」
 その指を引き抜かれる刺激でさえ、体全体を真っ赤に火照らせて性感帯みたいに過敏になっている幸村は、反応して体をビクンと大きく震わせた。
 もう我慢の限界にきている政宗は、早急な動きでゴムのパッケージを歯で噛み切ると、パンパンに腫れ上がった自分自身に先端部分から根元までゴムを装着させる。
「ちょっと痛いかもしれねえけど…、ごめんな。」
 くったりしている幸村の頭を両側から包み込んで、汗ばんだ額に、啄むキスを送る。
 蛍光灯の元ではっきり露わになっている、忙しなく収縮している薄ピンク色の蕾に自身を宛がって、少し力を込めて内部を割り開くように、ズズッと入れ込んでゆく。先端を埋めただけで、幸村の内部は熱くて、終いには、蕩けてそこから同化してしまいそうだ。
「痛くねえ?」
「は…はい、だいじょうぶ。」
 ローションたっぷりで解されたおかげで痛みは全くないけれど、異物感とむりやり内臓を広げられる圧迫感はあって、少し眉間に皺が寄ってしまう。ふあと、眼の端に生理的な涙を溜めた幸村は小さく息を吐いて、政宗を献身的に受け入れようとしている。そんな姿も、愛おしくて愛おしすぎて、切なさが爆発しそうだった。
「とりあえず、全部埋めるけど、気持ち悪くなったら言って。」
 腰を進めて、ゆっくりゆっくり幸村の中に侵入してゆく。奥へ奥へと進んでゆくたびに、熱くて柔らかな幸村の内部に包まれて、気持ち良すぎてクラリと眩暈がしてきた。
 経験豊かな政宗だったが、体と同時に心までが満たされてゆく、そんな生まれて初めての心地良さだった。
「全部、入った?」
 トクントクンと脈打って、中に感じるそれに、幸村はたどたどしく呟く。
「これで、一緒になれたな。」
 出会って15年分積もった色んな思いが、今実った気がして、本当に感慨深い。
 上気して薄く桃色に色づいている幸村の肩や首筋に忙しなくキスをしながら、政宗は思う。
 幸村に出会えて良かったと、好きになって良かった。そして、俺なんか好きになってくれてありがとう、と。
「せんぱ…、好き…、大好きっ。もっと、もっと深く、俺の、なかに、きて。」
 大きな目を潤ませて、頬を上気させて、両手を伸ばして、幸村は言ってくる。
「俺を…せんぱいで…もっともっと、俺のなかを、まんたんにして…。」
「え?」
 やばい、そんなやらしい顔で、そんな可愛い声でたどたどしく、そんな切なくなること言われたら、なんかいろいろ駄目だろ。理性なんて、どっか遠くに吹き飛んで行ってしまう。
「俺も、…愛してるよ。一生、幸村だけだ。」
 応えるように、ぎゅっと背中がしなるほどの強さで、深い想いを込めて幸村を抱き閉める。
「ちょっと、動くぞ。」
 そして、小さく幸村の腰を揺らし始めた。
「んん…あっ、ふあ…。」
 慎重に幸村の様子を伺いながら腰を動かしていた政宗だったが、痛がる素振りを見せない幸村に、もう少し大胆に、動き出す。
 幸村の汗で滑る太腿を肩に掛けて腰を浮かせると、ズンッと深めに腰を打ち付ける。
「あ…っ、あん…。」
 幸村は政宗の裸の胸元に顔を寄せてくる。
「幸村…。」
 確かこの辺だったような、と、政宗は先ほどの幸村のウィークポイントを探る。
「ふあ…っ、あはっ…ひあああ…。」
「ビンゴ。」
 そこを強めに抉るように結合部分を動かすと、幸村の吐き出される声が、一段と甘さを増してきた。
「あっ…ふあっ…ああ!あんっ!ひあっ…ふっ…あっ…そこお…っ。」
 我を忘れたように、幸村は腰を揺らしながら、甘ったるい声を上げ続ける。もう耐え切れないというふうに、涙を流しながら、身をシーツの上で捩る。
「や!やらあ…もお、ああっ…。」
「幸村、やべえ、すっげえ…、かわいい…。」
 ペロッと政宗はそんな幸村の痴態に舌なめずりして。
「来て、幸村。」
 幸村の二の腕あたりをとると、寝ていた幸村の背を起こして、自分の上に座らせる姿勢をとった。幸村自身の体重の重みで、体内に埋め込まれている肉棒が更に奥まで届いてしまう。
「んんっ!…なんか…ああっ…あんっ…せんぱいっ…おれっ!。」
 その身震いするような、背筋を上ってきた激しい快感に、感じすぎて怖くなってきた幸村は政宗の首にぎゅっとすがる。
「これ、深い奥まで、…あたるから…、いいだろ?」
 傍にある耳たぶを嬲りながら、政宗も息を切らしながら、低く告げる。
「あ!…んあっ!ああっ…ふああ…あん…。」
 幸村の腰骨あたりを掴んだ政宗は、下からガンガン突き上げてゆく。その動きに翻弄されながら、幸村もガクガクと体を揺らされ続ける。
「…んあっ!あっ…だ、だめ…っ、なんかっ…あっ…!」
「幸村、うしろだけでイケる?」
「んっ…。」
 もう限界に近い幸村は、涙目でうんうんと何回も頷く。
「舌出して。」
 ペロッと出した舌にそのまま舌を絡ませて、唾液がポタポタと落ちるのも厭わず、その出した状態のまま、舐め続ける。幸村も必死に絡め合わせた。
「ふあ…、んん!も…もおっ…あっ!ああ!…ふあ…せんぱ…もお、おねがっ…。」
「俺も、ちょっと、限界…。」
 幸村の尻を下から食い込むほどに掴んで固定して、激しく打ち付けた。
「あっ!ひああああっ!」
 幸村の悲鳴のごとき嬌声を鼓膜で直接聞きながら、政宗もほぼ同時に幸村の中で達した。


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