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小説
番外編 その3
 静かな室内に、ちゅぱっちゅぱっと唇を啄む音がする。
 三成の家に帰った途端、幸村はリビングのソファに押し倒された姿勢で、飽きることなくずっとキスを交わしていた。
「ふあ…んんっ…、んっ…ぁ…。」
 キスしすぎて、唇も脳みそもフヤケテきそうだ。三成の長い綺麗な指は、幸村の後頭部に回されていて、もうすでに紐が解かれた柔らかい後ろ髪を弄ぶように梳いている。
 ぼんやりしてきた意識の中、ピロローンと電子音が微かに聞こえてきた。
 気持ち良すぎて、大きな目をトロンとさせている幸村の腕を引いて起こすと。
「湧いたみたいだな、幸村、風呂入ってこいよ。」
 身だしなみをきちんとしているいつもとは違って、シャツを上から2個目まで開けている三成は、火照っている幸村の頬に手を添えて、優しく告げる。胸ポケットに差していた眼鏡をかけた。
 帰宅した時、いつのまにか、三成がお風呂の追い炊きボタンを押していたらしい。
「え?あの、一緒には、入らない、ので…。」
 真っ赤になって俯きながら、もじもじとした幸村は、ぷつんぷつんと声を途切れさせつつ、単語を出す。
「夕飯作るから。後で、ゆっくり一緒に…。」
 と、そこまで言って、三成も、白すぎる肌がはっきりわかるほど真っ赤になる。
 しーんと静まり返った空間に、微妙な空気が2人の間に流れた。

☆☆☆☆
 洗い場に入ると、パシャッとお湯を肩にかける。脱衣所が寒すぎて冷え切った体に、お湯が心地良い。
「着替えここに置いとくからな。」
 擦りガラスの向こうで、三成が告げる。
「あっ、ありがとうございます。」
 扉の向こうに三成がいるだけで、丸裸の幸村は、背を丸めてドキドキしてしまう。
 泡を生クリームみたいに角が立つほどもこもこ立てて、よいしょ、と、左腕から洗ってゆく。
 体を、綺麗に洗わないと…今日はこのまま…。
―――ううっ、今、俺、何を考えたのだ。
 破廉恥すぎると、火照った頬を清めるように、ばしゃばしゃと勢いよく顔を洗いまくって。
 誰もいないはずの浴室内で、なんだかドキドキ鼓動を速めながら、体を隅々まで丁寧に洗い終えると。
「ふあー。」
 湯船に肩まで浸かって、お年寄りみたいに声が出た。やっぱり寒い時にはお風呂に限る。
 浴槽から見える所にテレビがはめ込んであって、興味津々に見てしまう。こんなところにテレビがあったら、夢中になってのぼせてしまいそうだ。
―――やっぱり、お金持ちは違うな。
 物珍しげにボディーシャンプーの裏やらをしげしげ眺めていると、随分時間が経ってしまった。
 十二分に温まって、肌から湯気を立たせながら、風呂場から出る。
 誰もいないと分かっていても、そろりと、猫背になって扉を開けてしまう。
脱衣所に来て、篭の中身を見てビックリする。ハラリと腰に巻いていたタオルが落ちたのも厭わず、幸村はそれを手に取って。
「ななななな、何なのだ、これぇっっ。」
 ビロンと着替えを広げて、素っ頓狂な声を出してしまう。
 自分の着替えと、すり替えられている。しかもこれは、紛れも無くセーラー服。しかも下着もピンク色で女性物だ。
―――こんなの、こんなのっ着れるわけないでござるっっ!
 けれど、素っ裸で出ていくわけにもいかず。
「せ、先輩っ!!!!」
 バンッとリビングに繋がる戸を荒々しく開け放った。
「やっぱり思った通り、似合うな。」
 包丁片手にエプロン姿の三成は、振り返って薄く微笑む。どうやらカレーを作っていたらしい。
「うううう、何で、こんなセーラー服…。」
 顔を真っ赤にした幸村は、律儀にセーラー服を着ている。女性物のMサイズがぴったり合ってしまったのも、なんだか恥の上乗りみたいだ。
「それが、私のお願いなんだけど。」
「えええええ?」
 前回のクリスマスパーティの影響で、完璧に変態な方向へ目覚めてしまったようだ。
「可愛いな、幸村。」
 包丁を置き、エプロンを脱いだ三成は、戸口に立ち尽くす幸村に近寄って。
三成に腕を手前に引かれ、腕の中にぽすんと飛び込むと、愛しげにぎゅうと抱き閉められて、鼓動を早めた幸村は、何にも言えなくなる。
「夕飯より先に、幸村が欲しい…、いいか?」
「んんっ…。」
 その細い腰に手をやったまま、幸村の顎を持ち上げて、口を甘く吸い上げる。
「スカート、自分で捲り上げてみて。」
「え、ええ?」
 小さく、お願いと言われては、聞かないわけにもいかず。
 恥ずかしげに頬を赤らめて、幸村は泣きそうな顔で、両手でスカートの裾を掴みあげると、そろりと徐々に上げてゆく。
「下着…、履いてくれたのか?」
「いあっ、見たら、駄目でっ…。」
 スカートを手で押さえて隠そうとするけれど、その動きより俊敏に先回りして、三成がスカートを捲り上げて、幸村の下半身を丸見えにしてしまう。
「可愛い、幸村。可愛すぎる。」
 じいっと、下着を押し上げるそこを、熱視線で見つめられて。
「や、見ないで下さっ…。」
 たまらず、ひあっと、幸村はしゃくりあげるように、声を裏返らせる。
「ここ、こんなに立たせてる。見られただけで感じたのか?」
 三成は、下着の中から熱くなっている幸村のそれを取り出すと、数回上下にしごいた。
「ひあっ、だっ、だめっ!!」
 悲鳴みたいな、か細い声を出して、ぶるぶるっと身震いする。直に触られただけであっけ無くイッテしまった。
――――ううううっ!恥ずかしすぎて、死にそうだ!!
「うう…。」
ぎゅうと三成の腕にしがみ付きながら、下を向いて、真っ赤になって下唇を噛み締める。
「もしかして、1カ月やってなかったのか。まさか自分でも…?」
「っっ!」
 幸村は茹蛸みたいに、分かりやすく顔を真っ赤にした。
「可愛すぎるっ、幸村…。」
 たまらないという感じで、ガバッと両手で幸村を引き寄せて、ぎゅうぎゅう抱き閉める。
「んんっ…。」
 そのまま上から圧し掛かるようにして、砂糖より甘そうな唇を奪った。じんわりと感触を楽しんで、それから、舌で上唇、下唇を丁寧に舐めて。幸村の口へ舌を差し入れると、舌を絡め合わせて、くちゅくちゅ音を立てながらキスを交わす。
「んっんっ…ふあ…。」
 幸村も三成の動きに合わせて、拙い動きながらも舌を絡ませる。
三成も顔を赤くして、熱っぽい声で耳に直接吹き込む。
「ベッドに行こう、幸村。」
 急かすみたいに、幸村を横抱きに抱き上げて。
「ふえ…?」
「私のお姫様みたいだな。」
 セーラー服姿の幸村に、三成はご満悦だった。お姫様抱っこで部屋を移動しながら、チュッと不意打ちに頬を啄む。
「ええっ…。」
 そんなことを、全校の女生徒羨望の的の顔と声で言われて、嬉しくて胸を切なく疼かせるなんて、かなり自分は女の子みたいになってしまっている。
 そのまま、三成の部屋に連れてこられて、そっとベッドに下ろされて、スプリングが軋んだ。
「体に跡つけても大丈夫か?」
 剥き出しの首筋に、吸血鬼みたいにちゅくちゅく吸い付きながら、三成は聞いてくる。
「んっ。」と、息を詰まらせながら、幸村は小さく頷いた。
 三成は、セーラー服の裾から、ひんやりとした右手を入れ込んで、幸村の膨らみの無い平たい胸を、円を描くように強弱をつけて揉む。
「ふあ…、あ…んん…。」
 幸村は、コクンと小さく喉を鳴らして、唾液を飲み下した。いやらしい手つきで、胸元を刺激されて、幸村は甘い嬌声を少しずつ出し始める。
 コリコリと固くなってきていた乳首を摘まみ上げると、幸村の腰が切なげにヒクンと跳ねた。
 三成は、幸村のセーラー服を首元まで肌蹴て、薄ピンク色に色付くそこを両方、しつこく可愛がる。その刺激がむず痒すぎて、よがって逃れようとしても、許してくれなくて。
「いあっ!んん、そこばっかり…、やらっ…あっ…。」
 生理的な涙を滲ませる幸村を、ますますベッドに深く押し倒した。
「下も可愛がって欲しいのか?」
 三成はそう言うと、スカートを捲り上げ、両膝を立たせて、桃色のパンツを脱がせる。もう三成も余裕が無いのか、かなり乱雑な動きで、用意していた透明なジェルを指先にとろりと零すと、そのまま右手を、小刻みに震えている幸村の太ももの間に差し入れ、最奥の秘部に進めた。
「んああっっ!」
「あつっ。」
 思わず三成が声を上げるくらい、くちゅりと水音を立てながら指先を入れた内部は、かなり熱くなっていた。何度も過去三成を受け入れてきたそこは、容易に指を飲み込んで、ぎゅうぎゅうと締め付ける。
「こんなに熱くして、待っててくれたの?」
「いあっ…、んんっ!」
 三成のシャツの肩に皺が出来るくらいに強く縋って、幸村は声を詰まらせた。
 幸村の弱点を知りすぎている指は、内部で巧みに動いて、幸村の息を簡単に上げてゆく。
「あんっあっ…。」
 感じ切った声を出しながら、シーツの上で、くびれた腰を波打たせる。
 第一関節を折り曲げた指で、グリッと内部を刺激した。
「あっ!だめっ…いああっ。」
 その鋭い刺激に、腰がビクンと跳ね上がる。
「やめていいのか?」
「や、やだあ、やめちゃ…っ、もっと、ひあっ…んんっ…。」
 ぐちゅぐちゅと解けてきた内部を、割り開くように蠢かせる。
「こんないやらしい顔、私以外に誰にも見せるなよ。」
 幸村の目の端に浮かぶ涙を吸い上げて、三成は耳に直接甘く吹き込んだ。
「そんなのっ…あるわけな…っんんっ。」
 途切れ途切れにも、そうはっきり言った幸村に、そうか、と、三成は心の底から嬉しそうに微笑んだ。
「どうする?ここから。」
 幸村の甘ったるい喘ぎ声、普段の純情すぎるそれとはかけ離れている痴態に、背筋がぞくぞくする。三成は、何故かサドっ気が湧いてきて、こんなことを言ってしまう。
「入れて欲しいか?」
「ん…っ。」
 両目に涙を沢山溜めて、うんうんと頷いて見せる幸村に、三成はねっとり耳たぶを舐めながら。
「じゃあ、ちゃんと言って。そうだ…、今、セーラー服着てるから…。」
「え?」
「わたしの中に入れて下さい、先生って言ってみて。」
 耳元に、芝居がかった声で囁く。
「ええっ…んんっ…む、無理…。」
「何でなの?」
 三成は甘えるように聞いてくる。
「はずかしっ…からあっ…、ああっ。」
 セーラー服の上をたくし上げて、平べったい胸の尖りを左手で摘まんだりして弄ぶ。
 幸村は火が出そうなほど火照っている顔を、両手で隠した。
「大丈夫だから。隠さないで、全部見せてくれ。」
 ぐちゅっと内部を掻き混ぜて奥に指を進めると、わざとこりこりと固い部分を擦った。
「ひあっ…だ、だめっ…。」
 視界の中で、がくがくと、幸村の細い膝が笑う。
「いあああっっ!」
 感じすぎるそこを容赦なく何度も何度も攻め立てられて。
「早く言わないと…、このままだぞ。」
「いあ…っ、あんっ…。」
 ゴクリと幸村は唾液を飲み込んで、震える唇で、幸村はたどたどしく、言葉を喉から押し出す。
「あっ、せんせっ…わた…しっの…なかっ…入れて…くださっ…んんっ!」
「よく出来ました。」
 ニッと三成は唇の端を上げて笑うと、指を一気に引き抜いて、幸村の激しく収縮する秘部に、自分の猛り立った凶器みたいな肉棒を当てがって。
「いああ!!だ…だめ…、あっ!」
 鬼頭部分をぐにゅと押しいれただけで、はしたなく、ピュッと先走りの液を勢いよく出してしまった。内部は三成のそれをきゅうきゅうと締め上げる。その、失神しそうなくらいの鋭い快感に、少し眩暈を起こしながら、三成はたかが外れたみたいに、腰を進めてしまった。
 ガンガン激しく攻め立てられて、人形みたいにガクガク体を揺らす幸村は、目の前が真っ白になってきて。
「あっ…ああ…ふあっ…はげしっ…いああっ!」
 体内を熱くして待ち侘びすぎた幸村は、呆気無く上り詰めてしまった。
 
☆☆☆☆
「んんっ…ふあっ…あっ…ああっ!」
 密封された風呂場に、幸村の淫らな声が反響する。
 浴室の洗い場に直に座った三成へ、向かい合うように上に乗った幸村は、下からガンガン激しく突かれていた。
薄い両尻を指が食い込むほどに手で持ち上げられ、動かないように固定されて、逃げようがなくひっきりなしに喘がされていた。
 もう何度も何度も達して、三成の熱い液も中に受け止めて、飲み込め切れない白い液がトロリと幸村の脚を生々しく伝う。
「あっ…ふあっっ、ああっ…だ、だめっ…あ。」
 腰を揺らされて、下から荒々しく突き上げられて、繋がっているとこから生まれる、熱を持った身悶えるほどの快感に、幸村はどうしていいか分からなくなって、翻弄される。
 甘ったるい女の子みたいな声が浴室内に反響して、幸村は耳を塞ぎたくなるけれど、抗えることも出来ず、もうどうしようも無く、三成の動きに合わせるしかなかった。
 信じられないくらい気持ち良すぎて、たまらない。
 何度も突かれた体の奥から、痺れるほどの狂わしい快感が生まれている。
「いあっ…ひあっんっっ!」
 三成は目の前にある、吸い付きすぎて赤く腫れている乳首を、舌を絡ませてぢゅっと吸い上げた。
「いっ…あ…っ、おかし…く…なっ…ふあっ。」
「気持ち良すぎて?」
 うんうんと何度も頷いた幸村は、ぎゅうと三成の首に強く縋りつく。
「しっかり捕まってろ。」
「ふあっ…あっ…も…ああっ!」
 さらに激しく何度も何度も奥を突かれて、幸村は感じ切った声を漏らすしか出来なかった。
 
☆☆☆
 若気の至りか、何度も行為に及んでしまって、もう指一本動かすのも億劫なほどになってしまっていた。お風呂の中でその気持ち良さにまどろみながら、幸村は無意識に三成にもたれかかる。三成はそれを受け止めて、ぴったり吸い付くようなきめ細やかな肌の感触を、密かに楽しんでいた。
「いつかは、一緒に住みたいな。」
 幸村の肩にかいがいしくお湯をかけながら、三成はぼんやりと言った。
「え?」
 眼鏡を外し、流れてきた汗を拭いながら、三成は言葉を続ける。
「医大を卒業して、医者になることが出来たら…、部屋借りて一緒に住もう、幸村。」
「う、…せんぱっ…。」
 不意に、ポロッと、幸村の大きな目から涙が零れた。
「ど、どうした?幸村…、何故泣く?」
 なんか言ってしまったか、と、突然前触れなく泣き出した幸村に、三成はらしくなく取り乱してしまう。どうしていいか分からなくて、とりあえず、ぎゅっと、おぶさるみたく後ろから抱き閉める。
「もしかして…嫌か?」
「違いますっ、俺、嬉しくて…嬉しすぎて…。」
 幸村も、回ってきた三成の腕をしっかりと掴んだ。
「…そこまで喜んでもらえたら、私も嬉しいよ。」
「俺も…ずっと傍にいたいでござる…。」
 チュッと幸村から頬にキスをされて、三成は面食らったように目を瞬かせたけれど、お返しみたいに、今度は唇にキスを送った。
「愛してる、幸村。」

☆☆☆つづく☆


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