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小説
番外編 その1
 ■ご注意■完璧な落ち無しネタな上に、三成が変態的です(笑)ごめんなさいです☆

☆☆☆☆番外編☆☆

 1月半ば。この冬一番の冷え込みと言われたその日。1年生の教室へ寄ってみると、寒さなんてなんのその、明るく朗らかに笑っている後輩を見つける。
「おーい、幸村。」
「あ、元親先輩。お久しぶりです。」
 3年生は部活動を引退しているので、会う頻度はかなり落ちていた。元親は剣道でエスカレーター式に大学部への推薦入学が決まっているので、今は免許を取りに行ったり、アルバイトをしたりと、他の同級生たちの受験に向けての追い込み中なそれとは、別世界に住んでいる位に、余裕綽々だった。
 HR前の忙しなく皆準備している今時分、笑顔でこちらに手を振る幸村は、空いている手に何故かカステラを握っている。またなんか食ってやがる、と、苦笑しつつ、机と椅子の狭い隙間をぬって、後輩の傍に寄ってゆく。
「俺、幸村に、お願いがあるんだけど…。」
「え?」
 お願い?と、きょとんとした幸村は首を傾げる。その横で、宿題中の元就が胡散臭そうな顔をしている。そんな小姑みたいな元就を無視して、元親は大きい体を折り曲げて、幸村にこそこそっと耳打ちしてきた。
「お前の大事なあいつの話なんだけどさ。」
「え、…どうか、されたので?」
 幸村も誰のことか、はっきり分かってしまって、小声になりつつも、椅子から身を乗り出す。
「このままだと、あいつ、大学入試、落ちるかもしれないぜ。」
「な、何故でござるかっっ。」
 今まで小声だったのに、声を張ってしまって、教室中に響いてしまう。おまけに椅子から立ち上ったので、クラスメイトの視線を一身に浴びる。
 確か、ランクを落としたので、余裕に受かると話していたはずなのに。
「幸村、馬鹿っ。」
 横で頭が痛いとおでこを押さえた元就が、立ち上がった幸村の腕を強く引っ張った。

☆☆☆☆
 学校帰り部活を終えると、そのまま、学校と駅の真ん中にある三成の家に寄っていた。
 学生服姿の幸村は、広々リビングの高級そうな革張りソファでちんまりと大人しくしている。
「ほら、ホットチョコレート。」
 マグカップから湯気が出る熱々のそれを、火傷するなよ、と注意しながら両手を差し伸べてきた幸村に渡す。
「……。」
 ペコッと頭を下げてお礼を表すけれど、声は出さない。
「どうした?今日は元気ないんだな。最近寒かったから、風邪でもひいたか?」
 難しい顔して黙りこくる幸村の座るソファの隣へ滑り込んできて、幸村からコップを奪ってテーブルに一旦置いて。
 コツンとおでこ同士をぶつけて、熱は無いよな、と三成は確認する。
「幸村?」
 おでこを付けたままの輪郭がぶれるほど近い距離で、三成は甘く優しく問うて。
 そのまま流れるように、幸村の顎辺りを持って、チュッと、頬と唇に音を立てて啄む。幸村の甘い唇を吸って、しばらく弾力ある感触を楽しんでいた。
「せ、…先、輩。」
「ん?」
 決心したのか、幸村は、すうっと息を飲んで。
「先輩…、俺達、受験が終わるまでの一か月は、会わない方が良いと思うのでっっ。」
 両拳を握った幸村は、声をリビング中に響くぐらい張り上げた。
「え?」
 三成は、左手で幸村の頬をすっぽりと包んだまま、普段涼しげな目をぱちくりと真丸にする。そして、その驚き顔でショックのあまり固まってしまった。まさか、そんなことを、幸村から言われるとは思ってもみなかったから。
「だって、俺と会っているせいで、全然勉強がはかどっているように見えないから…。」
「…そ、それは…。」
確かにそうなので、反論出来ない。
 幸村と会いたいがために、そこばかり優先させて、勉強をおろそかにしている事実。でも、幸村にはそんなそぶりを見せていなかったはずなのに、何故バレタんだろう…。
 うーんと三成は考え込んで、落ちてきた眼鏡をクイッと持ち上げる。
「俺、来年も先輩と一緒にいたいでござるっ!そのためには…。」
 学生服の腕辺りに縋って、懸命に言ってくる。
「そのためには…少しくらい離れることになっても、しょうがないでござる…。」
 目を伏せた三成は、ふうと、観念したように溜息をついた。
「分かった。幸村にそこまで心配させるのなら…合格発表まで一切会わない。私も、来年もその先も、ずっとずっと傍にいたいから。」
 幸村の上半身を引き寄せて、ぎゅっと自分の懐に納めた。背を丸めて、幸村の柔らかい髪の毛に頬を埋める。
「そのかわり、合格したら、私の願いを一つ、聞いてくれるか?」
「え?」
「幸村にしか出来ないことなんだが。」
「…。」迷わずコクンと幸村は頷く。
「…可愛いすぎる。」
 抱っこしたままの幸村の頭をなでなでしながら、耳元にちゅぱっと吸い付く。
「んんっ…。」突然の鋭い感覚に、幸村は息を詰まらせた。
「今日は、目いっぱい充電させてくれるんだろ?」
 いつも冷静沈着なカッコ良すぎる三成の、こんなデレまくりの状態を、学校の女子が見たら、どんな反応するんだろう。
「ふえ?」
 三成の手は、幸村の学生服とシャツのボタンを器用に外し、その隙間から手を忍ばせていた。男性の手にしては細くて長い指で、幸村の平たい胸をわざといやらしく触ってゆく。
「あ!」
「幸村の、その可愛い声と、蕩けるぐらいに可愛い顔、覚えておきたいから。」
「そ、そんなの…っ、恥ずかしいでござるよっ…!ひあっ!」
 敏感な乳首を指で摘まみ上げて刺激されて、顔を真っ赤にした幸村は腰をもぞもぞと捩る。
「それを糧に頑張る…。」
「ぁっ…んんっ。」
 濃厚なキスを交わしながら、ソファにゆっくりと押し倒されて、幸村は観念したのか、覆い被さってきた三成の首に両腕を回し、ぎゅっと縋った。


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