小説
その11
さすがにそのまま姫だっこで家まで行くのは三成の体力的に無理だったので、途中で下された幸村は、イルミネーションに装飾されて1年で一番華やかな街を、無言で手を引かれながら歩いていく。カップルや家族連れの楽しげな顔を横目に、足早にそれらを通り過ぎてゆく。
途中いきなり立ち止まった三成は、外は寒いからと、三成は自分の着ていた学校指定のコートを幸村の肩に羽織らせて、また、再び歩き出して。
「お、おじゃまします・・・。」
自宅マンションの玄関を開けて、スタスタと他に目もくれず、どこに直行するのかと思ったら、三成の自室で。
「ええっ!」
有無を言わさず、そのままの状態で、ドサッとベッドの上に押し倒された。その2人分の体重の衝撃でマットのスプリングがぎしぎし揺れる。
急かされるように、三成は学生服の首元を緩めると、眼鏡だけ外してサイドテーブルに置き、上から幸村に覆い被さる。
「幸村・・・。」
吐息交じりに呼ばれて、その端正な顔を近づけられて、幸村はドキドキで心臓が爆発しそうになりながら、泣きそうな顔でぎゅっと目を閉じる。
チュッと一度弾ませるように触れるだけのキスをすると、深く口を開けて、すっぽりと塞いでしまう。幸村の下顎を持ち、空いた口の隙間から、熱い舌を差し入れて、深く絡み合わせてゆく。
「ちょ…っ、んんっ・・・。」
何度も何度も角度を変えて口づけられて、舌を吸い上げられて、頬の裏までねっとりと舐め上げられて。
「・・・ふ・・・んんっ・・・ぁっ…ん!・・・ふう・・・。」
ちゅっちゅっと、音を立てながら、幸村もたどたどしく動きに合わせてゆく。
酸素不足と、舌で口の中を探られる気持ち良さで、うっとりと目をトロンとさせた幸村は、頭の芯が痺れたようにボーッとしてきた。
唇を外し、幸村の口内から舌を抜いた途端、とろりと唾液が幸村の頬に落ちて、それを三成は指先で拭きとる。
すごく間近にある、綺麗な三成の顔、今日は余裕が無いように見える。
そうこうしているうちに、コートを脱がされ、魔法少女の衣装の後ろのジッパーを下ろされて、胸元だけ肌蹴られた。
熱い唇で柔らかい耳たぶをハムッと挟まれて、舌でちろちろと敏感なそれを嬲られて、みぞおち辺りに熱が急速に集まってきた。目元を朱に染めて、くすぐったげに幸村は声を小さく漏らす。
「ひあっ、ふぁ…、いぁっ・・・。」
ここまできて、やっとこれから何が起ころうとしているのか、遅ればせながら気付いた幸村は、うわあと酷く慌てだす。
「あのっ!」
またキスしようと唇を寄せてきていた三成を、ゆるく両手を突っぱねて押し戻す。
「?…どうした?」
「俺、その…風呂入ってないし…あの…。」
目を伏せて、おずおずと幸村は小さく言葉を紡ぐ。
「別にいい。」
チュッと鎖骨にきつく吸い付いて、薄い肌に内出血の跡をつける。
「んっ!そ、それに、この格好は…。」
「この格好でいい。」
むしろ、この格好が良いと、何かヤバイ方に覚醒してしまった三成は強めに言う。
「でも、これ、あの、借り物・・・なので。」
「元親から言い値で買い取る。」
「えええっ。」何故そこまでっと、幸村は驚きを隠せない。
「もう待てない。これ以上、我慢出来ないから。」
もう一度枕に深く押し倒して、肌蹴ていた胸元に手を突っ込んで、裸の胸をいやらしく円を描くように揉む。
「えっ、ふあっ・・・ぃあっ!」
「欲しいんだ、全部。」
もう堪えきれないと、かすれ声に近い、そんな甘い声と熱っぽい表情で言われたら、何も言えないし、抵抗なんて出来るわけない。
「うう…。」
唇は首すじを滑り徐々に下りていき、胸の真ん中にある、少し立ち上っていたピンク色の尖りを、じっと視姦するように眺めて、フウと生温かい息を吹きかけた。
「可愛いな、ここも。」
「や・・・だっ…ぁ。見ないでっ、くださっ・・・」
乳首は、寒さのせいなのか何なのか、フルフルと震えている。
「んんっ。」目の端を真っ赤にした幸村は、ビクンッと背筋を震わせる。
「あっ…。」
可愛い乳首にチュッと強めに吸い付いて、唾液を絡めて尖らせた舌先でくすぐるようにチロチロと舐めた。
「ふあっ!」その背筋を走り抜ける様な強い刺激に、幸村は高い喘ぎ声を上げる。
もっと感じさせようと、すでに固く立ち上がっている乳首を親指の腹で摘まみながら、もう片側の尖りを同時に苛めるように、ちゅくちゅくとわざと大きめの音を立てて吸い上げる。
「あっ、だっ、だめっ…あっ…ああっ…ひあ!」
興奮してきたのか、甘い嬌声を喉の奥から出しながら、背を反らせて、ますます胸を突き出すような姿勢を取ってしまい、幸村はぎゅっと三成の学生服の肩にしがみついた。
そして、幸村が無意識にもぞもぞと太もも同士を擦り合わせているのに、三成は気づき。
ピンクのふわふわミニのスカートをめくって、白いドロワーズを脱がし、下着を下ろすと、中は先走りの白い液でベタベタになっていた。
「ここ、なんだかんだ言ってぐちょぐちょじゃないか。」
「うーっ。」意地悪く言われて、恥ずかしすぎて、泣きそうになった幸村は下唇を噛む。
「幸村、スカート持っててくれ。」
「ふえ?」言われて、幸村は恥じらいながらも、素直にスカートを自分で持ち上げる。
「ここも、可愛い…。」
三成は、完璧に露わになった幸村自身を、躊躇いも無く、その精液がトロリと滲む先端を口に含んでしまった。
「あっ、きたなっ・・・っ、そんなとこっああっ、やめっ…。」
腰を浮かせて逃げようとする幸村を上から押さえつけて、更に割れ目を舌先でくすぐる。
「ひああっっ、や、だっ…あっ…。」
硬くなったそれを口で深めに咥えられて、悲鳴のような泣き声のような声が幸村の喉から出る。
「くっ…あっ…だ、だめ!」
欲望を煽られて、ビクンッと三成の口内のそれも大きく震えた。
「駄目って言っても、ここ、震えてるぞ。」
「あ、しゃっ…しゃべっちゃ…、ああっ…。」
さおを掌で追い上げるように擦りながら、先端を舌でキャンディーのごとく舐める。
「気持ち良いか?」
聞かれて、親指を噛んでいた幸村は、コクンコクンと何度も素直に頷く。
ヂュッと強く割れ目を吸い上げられて、手で強めにしごかれて、口でされること自体が初めての幸村は、抗うすべも無く呆気無く一気に上り詰めていく。
「あ!ああっ…、はなっ…し、いっちゃ…あああっ。」
切なげな嬌声を上げビクンッと大きく体を身震いさせて、三成の口の中でイってしまう。
余韻に痺れるように、背を丸めて、んんっと、小さく声を漏らした幸村は、ガクンッとベッドに倒れ込んだ。自分が出した精液を、ゴクンと飲み下されて、幸村はいたたまれなって、両手で顔を隠す。三成は汚れた口元を拳でぐいっと拭い。
「じっとして・・・。」
半分脱ぎかかっていた衣装と、ウィッグを丁寧に全部脱がせてゆく。
「ちょっと待ってろ。」
「ええ…。」
裸のままで放置されるのも、すごく恥ずかしくて、幸村は頭から布団を被った。
上半身を脱いだ三成は、持ってきたバスタオルと、整髪剤みたいなチューブの入れ物、平べったい銀の正方形のものをベッドに置いた。
「それ…何でござるか?ガム?」布団で寿司薪みたいになっている幸村は、お菓子の包装紙みたいなそれを、お腹が空いたのか興味津々にじっと見つめる。
「ガムじゃなくて、これは…ゴムだな。」
「ゴム?」
ゴムが本当に何か分からなくて頭の中をハテナマークでいっぱいにしている幸村が愛らしくて、そのまま無垢なままでいてほしいと思ってしまうけれど…けれど、今から手を出す自分がそれを思うのはやっぱり矛盾すぎるか、と思い直す。
「男同士でそのまましてしまって中に出しちゃうと、腹壊すらしいから…。色々、ネットで調べて・・・。」
自分で言った内容に、三成はカアアアアと、顔を真っ赤にして、目元を手で隠そうとする。白い陶器のごとき肌に、頬の朱が目立つ。
(こんなの事前から用意周到に調べていたなんて、恥ずかしい…。)
でもそんな三成の葛藤などつゆ知らず、言っている意味が全然分かっていない幸村は、ゴムを持って、んん?と首を傾げている。
「あと・・・、受ける幸村に負担がかからないように・・・、ローション…。」
しかもどんだけ使う気なのか、大容量のチューブ入り。
「それ、どこで売っているので?」
「両方、通販で買った、けど。」
高校生の分際で、そんなものをこの近辺で平然と買えるわけなく。
(21日に注文したなんて言えない・・・そんな早くから不純な目で見ていたなんて。機会があればあわよくばなんて思っていたなんて…、やっぱ恥ずかしすぎだっ。)
「もう、いいから!」
羞恥心から頭がパンクしそうになった三成は、取り繕うと、無理やり幸村の口を唇で塞いでしまう。
「んんっ・・・ふぁ。」
口の中まで愛撫するように丹念に口づけながら、その間に幸村の膝を立たせて股を大きく開けさせる。
痺れるような口づけでうっとりと夢心地になった幸村を、布団に寝かせたまま、チューブの中から、透明なものを中指と人差し指にたっぷりと滴るくらいに出すと、その右手を、股を開いた幸村の奥へ忍ばせる。
「このまま、力抜いとけよ。」耳元で囁いて。
まずは指を一本、第一関節まで、つぷっと入れてしまう。
「大丈夫か?」
「ん!なんか・・・気持ち悪い・・・けど…。」
「痛くないか?」
「痛くは…、んんっ…無い…かも。」
潤滑油の効果で痛みは全く感じない。その代りに、強い異物感と、内臓を直に触られているような気持ち悪さに、幸村は眉根をひそめる。
「幸村、駄目そうなら、すぐ止めるから。」
そろそろと中を探るように指は動く。
1本目が自由に動き出したので、2本目を追加する。ゆるゆると内部を傷つけないように、繊細な手つきで、指の腹で体温より熱い弾力ある内壁を擦る。
クッと指を折って、更に奥を刺激してみる。
「あっ…なに・・・んあっっ!そこ・・・っ。」
「え、ここか?」
「ふああっ!」幸村は一段と大きな声を出して、ぎゅっとシーツを掴んで悶える。
気を良くした三成は、見つけたポイントを中心に攻めていく。
「だっ、だめっ・・・おかしくなっ・・・あっ…ひああっ…。」
体を火照らしながら、小刻みに震え、いやいやと何度も頭を振って身をよじる。
ぐちゅぐちゅと、内部を蠢く指も、スムーズに動き出した。
増やした指3本で割り開くように、幸村の内側を刺激する。
「ふあ…も、だっ…だめ…だめぇっっ。」
先ほどまで萎えていた幸村自身も、再び硬くなって、物欲しげに液をトロリと零している。
「もう、大丈夫か?」
幸村の内部から指を抜き取って、熱に浮かされたような顔で倒れ込んだ幸村に、軽く今日何度目かのキスをして。
枕元に置いてあったゴムの個包装を歯で噛み切り、中身を出して、チャックを開けて取り出した自分に、嵌めようとして。
「…あ。」
手慣れたふりして、実は行為自体が初めてで、コンドームを上手く装着出来ない。焦りが増して、ますますもたもたしてしまう。
「せんぱ…い。」
自分に背を向けている三成に、幸村は小さく声をかける。
「俺、そのままでも…、むしろ・・・そのままな方がいい、かも。」
「え?」
「はやく・・・俺の中…っ、来て下さっ…、おねがい・・・。」
その目元を赤くして泣きそうな表情で、途切れ途切れの甘い声で、おねだりされて。
「ごめん。」
三成は小さく呟くと、そのまま幸村の下の蕾に、爆発しそうな自身を宛がい、ゆっくりと腰を進めてゆく。先端をぐっと入れてしまうだけで、眩暈がするほどの気持ち良さで、三成は数回頭を振る。奥まで一気に強引に入れてしまいそうになるのをぐっと抑え、徐々に慎重に入れてゆく。
「あッ…せんぱ…。」
「大丈夫か、痛くない?」
「くるし…、けど…だいじょ…ぶ…。」
全部根元まで入れてしまうと、一度、幸村が落ち着くまで、じっとする。
中で、どくどくと脈打つそれに、幸村は心臓を高ぶらせた。
「幸村…。」
汗ばんできた額に貼りついた前髪を、三成は手でさっと払った。
「せんぱ…いっ…。」
突然、幸村が大きな目を潤ませて、ぽろぽろと泣き始めた。ぎゅっと三成の首元に両腕で抱きついてくる。
「ど、どうした??痛いのか?もうやめるか?」
そんないきなりの幸村の涙に、三成は狼狽え、心配げに顔を寄せて、それを舌で舐め取ってゆく。
「ちが…、なんか…嬉しくて…、嬉しすぎて。」
「幸村…。」
「本当に、俺なんかで、良かったのかなって思って…。」
「馬鹿…、幸村じゃないと、駄目なんだって、言ってる。」
奥で深く繋がったままで、三成はまだ泣きじゃくる幸村を強くかき抱く。
「もう、動いて大丈夫か?」
コツン、と、額に額をぶつけた。おでこ全開の幸村は、やっぱり、幼く見えてますます可愛いくて、愛おしかった。
「だいじょおぶ…。」
舌足らずに言った幸村の唇を奪って、自分の口内へ誘うように舌を吸い上げた。
それと同時に、三成自身は、ゆるゆると、幸村の内部で動き出す。
「あ…んんっ…あ…。」
濡らした瞳を閉じた幸村は、振動に揺られながら、小さく甘く声を漏らす。
「も少し奥へ…入れるぞ。」
幸村の片方のふくらはぎを肩に上げて、角度を変えて奥へぐっと体を進める。
「んあっ、ふあ…。」
さっき存分に慣らされた内壁が、三成のそれに絡みついてくる。幸村は、喉を反らせて、喘ぎ始める。最奥から徐々に広がってゆく、密かな熱に浮かされるかのごとく。
「あ…っ!んあっ…っあんっ…あ…おくっ…あたっ…ああんっ…。」
声が変わった。甘ったるい、媚びるような喘ぎ声に変貌する。
「あ…んっふぁ…んんっ…あっ…!」
きゅうと内部で全体を締め付けられて、たがが外れてしまった三成も動きを速める。
「幸村…。」
抉るように、最奥へ何度も何度も打ち付けてゆく。
内部で感じ始めて、信じられないくらいに気持ち良すぎて、その怖いくらいの快感に、何も知らない幸村は頭を真っ白にする。さらわれないように、三成の首にぎゅっと巻きつく。
「も、だ、めっ…なんかっ…だめっで…ああっ!」
幸村は、甘ったるい喘ぎ声で悲鳴のごとく啼くと、爪を立てて三成の背中にしがみつき、一気に絶頂まで上り詰めた。
それとほぼ同時に、最奥へ温かい液が注ぎ込まれた。
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