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小説
その13
 僅かでもちゃぷちゃぷと動くたびに、水面が波線を描く。
 政宗は年季の入った鉄製の五右衛門風呂に入り肩まで浸かってしまうと、幸村を背後から抱きしめるような体制で招き入れる。その温度は適温で、あまりの気持ちよさに鼻歌まで飛び出している。政宗は、汗で濡れる前髪を煩わしげにかき上げた。
「ほら、ちゃんと温まれよ。」
「某、子供じゃありませぬ。」
「俺の子供みたいなもんだろ。」
 とか、ゆったりした口調で言いながらも、実際は、政宗の指は幸村の成長しすぎた胸の感触を楽しむみたいに揉み続けている。
「…んん、政宗殿…、ふあっ…あっ!…。」
「何?」
 くりくりと、幸村の性感帯である乳首を、捏ね繰りまわしたり摘まみあげたりして、容赦無く追い上げてゆく。
「あんっ!…もお…、やあっ…。」
 幸村の尾てい骨あたりに、さっきから硬いものが突き刺さるように当たっていて。
「もお、あっ…、いっ、入れて下され…っ。」
 泣き出しそうに幸村は顔を真っ赤にして、懇願するかのごとく、か細い声を発した。
「オーケイ。」
 ニヤリと口の端を引き上げ不敵に笑ってみせる政宗は、幸村の、湯で上気した体を湯船から上げると、自分の前に立たせる。自分の眼前にきている、若々しくきゅっと上向きに上がった双丘の弾力を確かめるように何度も鷲掴みして。
「ふあ…、政宗殿っ…、んあ…。」
 強請るように甘美な声で呼ばれて、望み通り、肩幅ほど足を広げた幸村の、愛液を太ももまで滴らせる、ぱっくりと花開く秘部に手を伸ばし探る。
「んんっ!」
 そこは熟した林檎のごとく赤く染まり、温度も待ち望んでいたのか高くなっている。
「ここ、入れるの、俺が初めてなのか?」
「ひああっ!…ふあっ…んんっ!」
 ぐちゅっと三本の指が付け根まで容易に埋め込まれる。その刺激にも、幸村は泣き声に近い感極まった声を上げる。ぎゅっと縋るように風呂の端を持った手には血管が浮いている。
「ひんっ!ふあっ…、んんーっ!」
 コクンコクンと熱に浮かされたように、幸村は何度も縦に首を振る。
「そっか。」
 ひどく嬉しそうに破顔したその政宗の顔は、もう意識を快感に支配されている幸村には見えなかったが。
「入れるぞ。」
 物欲しげに突き出すように出した幸村の尻を両手で固定して、愛液を滴らせながらひくひくと蠢く秘部の入り口に、先走りを滲ませた自身を添えると、政宗はそのまま腰を進め、ずるりとでっぱりから埋めてゆく。
「はっ…はいってっ!…ひあっ!…あんんっ!…。」
 後ろから侵されて、体も心も政宗でいっぱいにされていく感覚に、幸村は身悶えながらしびれる。
「あ…ああっ、ああああっっ。」
 お腹いっぱいに、熱く固いもので埋め尽くされて。
「ま、まさむねっどのおっ…、こ、…っんな格好…ああっ、いやあ…っ。」
「…何で、恥ずかしいか?まあ、あんたの可愛いところ、丸見えだけどな。」
「ちが…っ、これっじゃあ…政宗、殿の顔っがっ…見えな…ひんんっ!」
 切なげに息を乱しながら、目元を真っ赤に染めた幸村は、切れ切れに声を発する。
「っ…。」
 その言葉がガツンと来てしまった政宗は、体内に埋め込んだままのそれを、ドクンと一回り以上大きくしてしまった。
「ふああっ…、んんっ!」
 一度一気に抜いてしまうと、その刺激でさえ息を飲む幸村をクルンと1回転させて、湯船に浸かった自分の膝の上に腰を下ろさせる。
「このまま、ここに座れ。」
「ん…。」
 幸村の秘部は自分から形を変えて政宗を包み込み、奥へ奥へと誘ってゆく。
 敏感な内壁をズズッと擦られて、小刻みに揺れる幸村は、涙を流しながら喉を反らして喘ぐ。
「ふあ…、んあっ…、あっ、ひんっ!…やらあっ。」
「…は、入った…。」
「まっ、まだっ、動かさないで…くっ…だ…、んああっ!」
 政宗の首に巻きつくように腕を回した幸村は、自分の体重の重さでみっちりと政宗を内部へ根元まで飲み込んでしまっていた。
 腰を緩やかに動かされて、耐え切れず背を逆エビに反らした幸村は、切なげにひっきりなしに声を漏らす。
「お、奥にいっ…、あたっ、…ひあっ!あああっ、もおっ!」
「き、きつ…。」
 振動でブルンブルン揺れる胸を掴み、乳首をレロレロと尖らせた舌で刺激しながら、同時に、下からズンッと突き上げる。
「んああっ!…、だ、だめえ…、あはっ、どうじに…しちゃっ…、らめええっ…。」
「…くっ…。」
「んああっ!ひんっ!…こっ、壊れるうっ…ふああんっ。」
 ズンズン激しく何度も何度も子宮に届きそうなほどの最奥を突かれ、幸村は泣き叫ぶように喘ぐしか出来ない。
「ひああああああーっっっ。」
 頭の芯まで真っ白にして、一気に頂点まで上り詰めた幸村は、その内部にドクンドクンと大量の白濁した液を受け止めながら、意識を飛ばしていた。
 

★★★
 真っ白に雪化粧されていく城下を見下ろしながら、家康は憂い顔で物思いに耽っていた。
(政宗と一緒なら大丈夫だな。)
 配下の者から二人が無事に逃げたとの報告を聞いて、安堵の息を零す。
―――!
 されど、音を立てず近付いてきていた殺気を背後に感じて、表情が一変する。
「三成。やっぱり来たか。」
「家康、貴様っっ。」
 俊敏に避けた家康の身代わりに、傍にあった花瓶がスパンと真っ二つになった。
「お前らしい手荒い挨拶だな。」
 この花瓶実際は高いんだぞ、とぼやきながら、苦笑を零す家康は、悔しげに睨んでくる侵入者に気軽な口調で声をかける。
 しかしその反対に、三成は臨戦態勢に入っている。
「三成、お前にしては、後手後手に回っているな。」
「何度も私の邪魔をするとは…、貴様っ。」
 三成は、ぎりぎりと血を出しそうに激しく歯を食いしばりながら、氷点下の眼に更に殺気を滲ませて、家康の名を恨めし気に呼ぶ。刀の柄を持つ手に、あまりの腹立たしさに血管が浮いている。
「何故私の邪魔ばかりする!秀吉様の件、私の大事なものばかり、奪おうとするのだっっ、家康っ。」
「こんなやり方じゃあ駄目だ、三成。」
 二人の会話は交わることなく平行線のまま。
 そんな状況に、家康はやりきれない寂しさを滲ませる。
「わかってくれ、三成…。」
 下ろした拳に力を込めて、絞り出すように名を呼ぶけれど。
「幸村は、私のものだ。10年前のあの日から、決まっている。もうすぐ、誓いの日がやってくるのだ…。」
「誓いの、日…。」
 その自信満々な三成の不敵な微笑に、ぼそぼそと口の中でその言葉を復唱した家康は、ぞくりと、湧きあがった戦慄に背筋を凍らせた。


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あきゅろす。
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