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小説
その12
 しばらくすると粉雪は本降りに変わってきてぼたん雪になって、斜め横に降ってくるそれで完全なる視界不良になってきた。外気に晒され体温を奪われてきた体は、寒さを通り越して痺れるような痛みを覚えてくる。末端はやがて感覚を無くすのだろう。 
体当たりしてくる雪とともに、横に流れる暗闇。
それを突き破る勢いで、猛々しく馬は4本の足を休めることなく走り続ける。
 幸村は、その一定速の振動と、黒に塗りつぶされただけだった世界に映える雪の灰色、後ろから覆い被さっている政宗の体温だけを感じていた。
「ん。」
 不意に何かに気付いた政宗は馬の速度を抑える。そして。
「あれ、家じゃねえか?ちょっと見てくるから、あんたは馬と一緒にここで待ってろ。」
「え?」
 確かに、眉根を潜め両目を凝らすと、眼前を遮る猛烈な雪の大群の隙間から、ぽつんと寂しく建つ一軒家が垣間見える。言うが早いか政宗は、馬上から颯爽と飛び降り、敵に備え腰にある刀の柄部分に手を添えつつ家の方へ向かってゆく。
 誰にも汚されていない純潔の雪を一歩一歩踏みしめ進んでいた政宗は、思い出したのか振り向きざま、暴風に掻き消されまいと大声で幸村に告げる。
「馬の後ろに隠れて、何があっても動くんじゃねえぞ。」
「…そ、某も行きまっっうわっ。」
 と、幸村が一呼吸置いて声を発した瞬間、幸村の言葉は埋もれて聞こえなくなった。
 しばらくして、家の中を偵察し終えた政宗は、膝元まである雪をざくざく掻き分け付けつつこちらに戻ってくる。
「誰もいねえ空き家みてえけど使えそう…って、あれ、幸村、どこに…いったんだよっ。」
 馬はそこで大人しくしているのに、幸村は忽然と消えている。チッと舌打ちしつつ、誰かに連れ去られたのかと政宗は、らしくなく慌てた声で幸村を呼びながら、松明の灯りで周囲を照らしキョロキョロと360度一周、周囲を確認する。
「某は、こ…ここに…。」
「ah…。」
 思わぬ場所、それは足元から、か細い声がして、そこに視線を落とした政宗は、ふうーっと肺に残る出し切るくらい大きく、息を一つ吐き出した。
「おいおい、なんで雪に埋まってんだよ…。」
 背を折った政宗は手を差し伸べて、雪の中から幸村を救出する。
「馬から降りた途端、雪に足を取られて転んでしまった…かたじけない…。」
 雪の上でうずくまってしまった、そんな恐縮しまくりの幸村に対し、苦笑いを含みつつ政宗は安心半分呆半分の複雑極まりない声を出すしかない。
「幸村…、あんた本当に戦場とは別人なのな。どこまでとろいんだよ。」
「…うう。」
 からかわれていると分かっても、転んで雪に嵌るという、あまりの失態を見せてしまったことに反論出来ない幸村は、もうぐうの根も出ないのか俯いてしまう。
「あーあ、せっかくの晴れ着な着物も髪の毛も濡れてるじゃねえか。さっさと中に入って温まらないと風邪ひくぞ。」
 幸村の肩や頭にかかった綿雪を甲斐甲斐しく撫でるように掌で払い終えると、今度は転ばないようにと手を奪うふうに取って、逆の手で手綱を引きながら、真っ暗な人気が無い家に向かってズンズン進む。
 心強い広い背を追いながら、幸村は想う。
(…政宗殿は、他の女性にもこんな優しく接するのだろうか…。)
 ツキンと鋭く痛みが走った胸に気付かないふりをしながら、家の前に辿り着くと藁ぶき屋根を見上げた。
「ここ、本当に使って良いのでござるか?」
「ああ、構わねえんじゃねえの?」
 さも他人事のように言ってのけながら、立てつけの悪いのか玄関の引き戸を壊す勢いで力づくでガタガタと乱暴に開けている。
 辺りを灯す松明の灯りの元、見えてきた中は玄関横に台所、中は六畳ほどの畳敷きの部屋、そして仄暗い奥に五右衛門風呂が見えている。簡素な造りだったが、人が生活するには十分の家だった。
「城から出てくるまで全然徳川の兵に会わなかったな…。家康め、わざと逃がしたんだな。あいつ、ホントに何を考えているんだか。あーと、この囲炉裏、使えそうだな。」
 ぶつくさボヤキながら、自分の着物に降り積もる雪を雑に払った政宗は、さっさと部屋の中へ上り込むと、携えてきた松明から、部屋の中央に存在感を持って有る囲炉裏へ火を移しおこしている。
「あんた、何突っ立ってんだよ。さっさと戸を閉めろよ。風が入ってくるだろうが。」
 そして、何を躊躇しているのか、入り口の戸にへばりついて離れない幸村を、少し苛立ちを込めて促す。
「は、はいっ。」
  呼ばれて声を上ずらせて返事をした幸村はパタパタと駆け寄ってくると、借りてきた猫のように大人しくちょこんと政宗の横に正座で座る。
 そして無意識だろうか、幸村は自分の肩を抱くようにクロスした手で、何度も上下に摩っている。そんな幸村の様子に敏感に気付いた政宗は、突然、幸村の帯に手をかけてきた。
「ちょ…ま、政宗殿…っ、あの…っ。」
 その前触れのない行動に、狼狽えた幸村は政宗の両手を制そうとする。
「着物が濡れてるから、脱がすだけだろうが。」
 その邪魔な幸村の手を払いのけ、そして、冷たさで固さが増した帯の結び目を悴んだ指先で何とか弛ませる。
「はっ…破廉恥いっ…。」
 顔を火が噴くほど真っ赤にして抵抗する幸村の帯を外し終えて引き抜いてその辺に放ると、続いて、着物の合わせ目を掴んで、両側に大雑把に開いてしまう。そして、とうとう肌が透けてしまっている肌襦袢まで取り除いてしまった。
「何が破廉恥なんだよ、ほら、じっとしろって。」
「ひゃ…っ。」
 有無を言わさず、水分を含んで重くなった着物を剥ぎ取られ、生まれたままの姿になった幸村は、クロスした両手で胸を隠そうとしていたが、掌からは桃みたいな瑞々しい胸がはみ出てしまっている。
「これ、かけてろ。」
 そして、政宗は自分が着ていた上掛けを脱ぐと、代わりに幸村の肩に乱暴にかけてしまった。そして目の前の裸同然の、胸もお尻も丸出しの羞恥に下唇を噛み締める幸村には目もくれず、政宗は腰を上げて、そこらに散らばっている幸村の着ていた着物やらを拾い上げ、乾かそうとそれらを壁に括りつけていた。
「こうやってみるとぐっしょりだな。肌も冷え切ってる。このままじゃあ本当に風邪ひきそうだな、しゃーねえ、風呂沸かしてくるから、囲炉裏の炎で温まってろよ。」
「あ、それは某が…。」慌てて片膝を立て、立ち上がろうとする幸村を手で制する。
「いいって。あんたが風邪ひいた方が俺の仕事が増えるからな。」
 ぽんぽんと幸村の頭を、まるで子供をあやすみたいに撫でて、そのまま奥へ消えてゆく。
 憎まれ口を叩くが、口調は酷く優しい。
「…っ。」
 その甘い雰囲気にやられた幸村は顔を真っ赤にして、政宗の上掛けに背を丸めて包まる。
 目の前でメラメラ踊るように燃える炎を見ながら、体育座りの幸村は、じっと考え込んだ。
(よくよく考えたらこの状況…。)
 山奥の一軒家に二人きり。しかも自分の今の半裸の恰好。これから、どうなってしまうのか。
「今、な、何を某は…っ。」
―――破廉恥なのは、自分だっ。
 一つの答えに行き着いた幸村は、間髪入れずブンブンと首を左右に振る。頬を染めた朱は、首にまで色が増殖している。冷たい指先で何とか頬の熱を拭い去ろうとしているが、てんで追いつかず。
(それに、それに自分は、家康殿の城で、何を言ってしまったのか。)
 あの時は必死で感情のまま突っ走って告げてしまったけれど…、かなり恥ずかしいことを口走ってしまった気がする。
「おい。少しは温まったのか?」
「うわああっ…。」
 いつの間に戻ってきていたのか、突然幸村の後ろ頭ら辺で声をかけてきた政宗に、叫び声をあげた幸村は、ビクンと大げさに肩を前後に震わし、床から数p飛び上がる。
 人を幽霊みたいに、と目を眇めながら、すすで汚れた手を綿布で拭いつつ政宗は、幸村の横へどっかりと腰を下ろし胡坐をかく。
「薪があったからそれで風呂沸かしってっけど、まだちょっと時間かかりそうだな…って、なんで、あんたそんなに離れてくんだよ。」
 もぞもぞと蠢くしゃくとり虫のごとく、ゆっくりゆっくり距離を取ろうとする幸村に、不審げに眉間に皺を寄せながら、政宗は見咎め、幸村の羽織る蒼い着物の裾をガシッと掴んだ。
「…別に某、何も。」
 どこかあっちの方向へ向いてしまった幸村は、そう言いながらも腰は不自然に浮いてしまっている。
「おい、別にじゃねえだろ。」
「あのっ、あまり、近くに来ないで下されっ…某、何だか…、心臓が…もたなっ…。」
 わざわざ距離を取って中腰になる幸村の手を取って、わざとなのか政宗の方からますます距離を縮める。その時、真剣な政宗の目と目が合ってしまった。
 それは吸い込まれそうな漆黒な目。
 思わず幸村は、ひゅっと息を飲んだ。
「どうした、あんた、顔赤いぞ。」
 1人体温を上げて頬を染めているのがバレてしまったことに、羞恥心が風前の灯な幸村は、ますます肌の朱を色濃くしてゆく。
 逃げないようにか、両手首をきつく拘束するかのごとく持たれた幸村は、ぎゅっと目を閉じて息も絶え絶えに辛そうに声を絞り出す。
「だ、駄目でござるっ…、政宗殿が近くにくると、某、心臓が壊れそうになるのでっっ…離して下され…っっ。」
「は?」
 一瞬「は」の口のまま一時停止してしまった政宗だったが、その言葉の意味を噛み砕いた途端、照れたように目元を掌で隠す。
「馬鹿、そんな可愛いこと言うんじゃねえって…。」
 たまらず政宗は、幸村の手首を強く引いて自分の方へ倒す。幸村はあっけなく政宗の腕の中に飛び込む形になり、そのまま、その胸に頬を寄せた状態に固定された。布越しに、政宗の鼓動がトクトクと耳を打つ。それも、少し早まっている気がした。
「俺だって、すげえドキドキしてんだよ。」
 すぐ間近で発せられる政宗の声に、また心臓がキュンと音を立てて一回り位縮まった。
「俺の理性がもたないだろ。」
「政宗殿…。」
 寒さなのか恥ずかしさなのか、ずっと小刻みに震え続けている幸村の背を、ゆったりとした仕草で撫でた政宗は。
「寒いのか、ほら、もっと寄れって、俺が温めてやるから。」
「政宗殿…。」
 幸村の剥き出しの華奢な、されど女性特有の丸みを帯びた肩をぎゅぎゅっと抱き寄せて、幸村の額に頬を寄せて、はあと感慨深げに息を吐いた政宗は、そして。
「…あんた、なんでそんなに可愛いんだよ。」
 チュッと啄む軽い音を立てて、火照った頬に、柔らかい耳たぶにと、熱い唇を滑らせる。
「好きだ、幸村…。愛してる。」
 鼓膜のすぐ傍で、その良い声で政宗が甘く囁く。
「他の誰にもやりたくねえ。このまま奥州に連れて帰りてえ。」
「まっ、政宗殿…。」
(そんなの、誰にも渡したくないのは、自分だって同じ。政宗殿が、他の女性にそんな顔をしているかと思うと・・・胸の真ん中あたりが、苦しくなる。)
――――それぐらい、大好きなのだ、政宗殿のこと。
「…政宗殿っ…!」
 たまらず幸村は、ぎゅっと政宗に身を寄せ、縋るように両腕を首元に回した。
(自分だけを、好きでいて欲しいのに。)
 すると、生身の豊満な柔らかい胸が、ひしゃげるほどぐいぐい押しつけられて、それを受け止めながら、政宗は、どうすりゃいいんだよと、理性と本能の狭間で葛藤していた。
「ならば、ならば某を、このまま政宗殿のものにしてくだされっ。」
「えっ!ゆ、幸村…。」
 今度は、政宗が真丸くした目をぱちくりする番だった。
「幸村…本当に意味分かってんのかよ?」
 ごくりと唾液を飲み下しながら、それでも、まだ理性が僅かに勝っているようだった。
「某を子供扱いしないで下されっ、もう17でござる。そ、それぐらい…。」
「…本当にいいのか?」
「…いいでござる…。」
 本当はこれから行われる行為が怖いのか、幸村の声から先ほどまでの覇気は消え、語尾は尻すぼみに小さくなった。
 そんな幸村の葛藤を汲み取って、政宗は幸村の頭を穏やかに撫でながら、優しく囁く。
「怖がらなくていい、俺に任せろ。」
 政宗は、男でも惚れ惚れするほど男前な顔を寄せると、頬に両手を添えて、いつもみたく待ち望んだようにぎゅっと目を閉じた幸村の震える唇を、甘くねっとりと吸い上げた。
「んっ…。」
 畳にそっと押し倒した幸村のかちんこちんに強張る体を、愛おしげに弄り撫でながら、急かされるように着物を肌蹴ると、均整のとれたしなやかな、うっとりと目を細めてしまうほど綺麗な裸体があって。
 それを目の当たりにして、早く奥深くまで入り込んで自分のものにしてしまいたいと、燃えたぎる欲望が音を立ててせり上がってくるようだ。
「幸村…。」
 唇は何度も触れ合って離れて触れ合って、そして、お互いがお互いを貪るように深くなる。唾液と一緒に舌をちゅくちゅくと絡ませて、幸村は飲み下せない唾液を口の端から溢れさせ、鎖骨あたりまで零してしまう。
「ずっと、ずっとこうしたかった。」
 その腰のくびれに添って掌を滑らせて、その滑らかな肌の感触を堪能する。
 囲炉裏のメラメラ燃え盛る炎に照らされて、いっそう白い裸体は淫靡に政宗の目に映る。
「んっ…、ふう…、あっ…。」
 幸村は小さく遠慮がちに、感じる声を吐息と共に出す。
「幸村、あんた口づけは俺が初めてだって言ってたけど…、それ以上のエロいことも俺が初めてなわけ?」
「え、えろいこととは…?ふあ…っ。」
 何度も与えられる甘い、脳も蕩けそうなキスに、トロンと惚けた表情で、幸村はたどたどしく復唱する。
「ここ触ったり…ここ舐めたりとかされたりしたのかって…。」
 政宗は見せつけるように、片胸を鷲掴むと、赤い舌先を出してピンク色のぷっくり立ち上がる乳首をベロリと舐める。
「あんっ…、いやあ…、あっ。」
 その微かに漏れる声は、腰にくるほどに甘ったるい。
 幸村のくびれた腰は物欲しげに蠢き、もっともっととせがんでいるかのごとく思える。
 気付くと自分は全裸なのに、政宗はしっかり着物を着こんでいる。それも恥ずかしすぎて、どうにかなってしまいそうだ。
「誰とも、してねえの?」
「…そ、それは…、ひあっ…んあっ!」
 答えようと口を開いた途端、きつく乳首を吸い上げられて、背筋を一気に鋭い快感が駆け上がって、言葉は意味を持たない短い喘ぎ声に変わってしまう。
「誰かと…、したの?」
「…ふあっ、んんっ、…あっ。」
「怒んねえから、言ってみろって…。」
「ふああ…、ひんっ!…ふあっ…。」
―――否定をしないのは、肯定してるのと同じだって誰か教えてやれよ。
 嘘がつけない幸村に、政宗は憎らしげに見咎める。
「女か男か…、女の…わけねえか。なら相手は…あいつしかねえじゃんか。」
 目の前で自己主張激しい大きな2つの胸を、ぐにぐにと下から持ち上げるように揉みしだく。綺麗な指先は、敏感な、その固く立ち上がる突起をへこんでしまうほど押さえつけ、今度はきつめに形が変わるほど摘み引く。その乱暴な愛撫にも、幸村は素直にびくびくと背を跳ねさせ反応してしまう。
「…そいつのことも、俺みたいに、好きなの?」
「好き、なのは当たり前で…っ、でも、…佐助は…家族みたいなもので、ござる…っ。」
 ふーんと、気のない感じで返事した政宗だったが、心の中は嫉妬で煮えくり返りそうになっている。それが、幸村の体を蹂躙する手の動きにも、はっきりと表されていて。
「ま、政宗殿はっ?…、はんっ!…んんーっ。」
「俺?…そりゃ…まあ、あるだろ。女の1人や2人…」
 涙を目の端に溜めた幸村は、唇をわななかせて顔を背けてしまう。
「妬いてんの?」
「妬いてなど…、ああんっ…。」
「でも、俺が好きになったのは、あんただけだし。もう、あんた以外とはやらねえから。」
 頬に流れた水滴を吸い取って、そして、キスをしすぎて赤くふやけてきた唇を合わせる。
「約束。」
「ほんと?…ふあっっ、…あっ、あんっ!」
 幸村の立てた両膝に手を滑り込ませると、とうとう待ち望んだ場所に指が伸びて、幸村はより甲高い声を上げてしまった。
「ひああっ…!やらあっ…、ふあ…、んんーっ。」
 そんな声が恥ずかしすぎて、幸村は必死に自分の下唇を噛んで声を抑えようとしてる。
「声、堪えなくていいだろ。俺とあんたしかいないんだから。」
 形に添って抉るように指をスライドさせると、にちゃにちゃと粘着質な音が漏れる。
「ここ、そんなに待ち遠しかったのか?もうこんなに濡れまくってるぞ。」
「んああっ!…あっ、…そこおっ!…やらっ、んっ…やらっやらあっ…。」
 腰がビクンビクンと蠢き、はしたなく声がひっきりなしに出てしまう。甘く甲高い声が歯を食いしばっても止まらない。
 そして、ある一点を指の腹が掠めた瞬間、幸村の声色が数段変化した。
「ひんっっ…!何っ?あああっ!、…そこおっ、そこ変な…っ、あひっ!…ああんっ!!」
 政宗はその変化を見逃すはずなく、そこを重点的に攻め立てる。
 もう逃げ場がない幸村の足の付け根は、畳に縋るように変に力が入って色が変色している。
「あんっ…んあっ!…ああんっ…ふあっ、もおっ!だめ、だめえっ!……ああっ、んああっ!」
その与え続けられるきつ過ぎる刺激に、幸村は泣きそうに顔を歪めながら、嬌声を出すしか出来ない。
「ひあっ!あんっ、やらっ!…だっだめ…、だめえっ!いっちゃっ…、ひあああああーっ。」
 体を固くした幸村は、政宗の腕の中で達してしまうと、ガックリと脱力してしまった。乱れた息を整えようと肩が上下に動いている。
「あ、…風呂、湧けたかも。」
「ふえ?」
 降って湧いた拍子抜けするほど平静な声に、幸村は目を瞬かせる。
「幸村、風呂、一緒に入ろうぜ。」
「…えええ?」
 裸のまま横抱きに抱き上げられて、慌てた幸村は足をばたつかせるけれど。
 ひどく楽しげな政宗に、落とすぞと言われて、大人しく首に抱きついた。


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あきゅろす。
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