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「…何で俺を見るんだ」
5人の視線に耐えきれずそう尋ねると妙な顔をされた。
「アンタに聞かなくて誰に聞くんだよ。チェシャ猫を手懐けた最初の人類だぜアンタは。だから今スゲー事になってるぜ。みんな2日前の事をしりたがってる。どうやってアンタがあのチェシャ猫を手懐けたのかってな」
シン・アベルのその発言を聞いてハイジ達も同じ気持ちらしく、興味津々と言った顔で俺を見つめてくる。
別に俺は手懐けた覚えはねぇ。
今日絡まれないのはエドアンが側に居るからだと思っていたが、そう言う理由か。
「…チェシャ猫を手懐けた?」
ハイジ達にどう説明しようかと頭を悩ませていると、今度は目の前の病的な平和主義者の表情が曇る。
「お前まさか…、ネバーランドの奴らを守る為にチェシャ猫に抱かれたのか?!」
「…俺があんな変態とそんな事をすると思うか?」
俺がそう返すと、そうだよなぁ…とエドアンは納得したようなしていないような顔をする。
「だけどロゼが夜這いに来たのも、お前が何かをしてロゼの機嫌をよくしたのも確かなんだろ?」
若干責めるようなエドアンの口振りに、一瞬罪悪感を感じてしまったが、直ぐに思い留まった。
別に俺が罪悪感を感じる必要はどこにもない。
「よく考えろよ。俺にチェシャ猫と寝る気はなかった。だけどチェシャ猫は何故か俺を襲ってくる。俺がブラックリストに載るような囚人であり、何故チェシャ猫が昨日から医務室に居るのか」
俺がそう言うとエドアンは暫く頭を捻った後、青い顔をして俺を見つめた。
「…お前…チェシャ猫を食ったのか?」
エドアンのそのふざけた解答に苛立ちを覚えていると、急にシン・アベルが露骨に顔をしかめ、挨拶もそこそこに足早にこの場を去って行った。
そんなシン・アベルの行動に違和感を感じたが、入れ違いで現れた男の姿を見て納得した。
「よーハイジ。腹の具合はどうだ?素直にイテェって言えよオラ」
「あっワンワンおはよー。今日もカラフルだね。そう言うワンワンこそ、地味に痛いでしょソレ」
背後からハイジの頭にグリグリと拳を押し付け、笑みを浮かべながらハイジに声をかけるワンに、ハイジも楽しそうに返事を返す。
「…今日は客が多いな」
ハイジとワンが仲良く会話をしている所を見つめ、そう呟くエドアンにはシン・アベルの時同様に若干の動揺が見られた。
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