222 ノアの箱船の囚人をクッションにするように床へと倒れこんだゼロは腕をさすりながらハイジに抗議する。 「俺もろともかよっ?!」 「えへへー、つい勢い余っちゃってさぁ。あっ腕大丈夫?」 「…お陰様でな。つーか早く俺の上から降りろっ。あーあぁ…見てみろ、お前がむちゃくちゃするからベリーズの魂が抜けちまってるじゃねぇか」 ゼロはそんなに怒らなくてもいいのに、と眉を下げるハイジを退かし立ち上がると、テーブルに貼りついたまま石化しているベリーズの元にかけよりベリーズの体を揺する。 「おいっ、しっかりしろ!生きてるか?」 「……僕の頭の上をハイジさんの足がかすめて…ちゃんと僕に頭ついてます…?」 「頭がついてなかったら話せねぇっつーの、どんだけ怖がりなんだよ」 ゼロは呆れたようにそうボヤくもののベリーズの無事に安心したのか表情を緩める。 「ライオンのみんな、別に素手じゃなくてもいいよ〜、俺もナイフ持ってるから。兄ちゃんに貰ったんだぁ」 ポケットから取り出したナイフを愛おしげに見つめながらそう言葉を投げかけるハイジに、周りにいる囚人が一瞬怯んだように感じられた。 「…で、アンタの結論は何なんだ?アンタは俺達にとっての敵なのか、それとも話のわかる賢い男なのか、ハッキリさせてくれ」 「もうおしまいなの?なんで誰も向かって来ないの?そんなの嫌だよ俺。つまんないじゃん、もっとちゃんと捕まえようとしてくれなきゃ困るよ。ほら、ここにウサギが4匹もいるよ〜」 ノアは小百合と言う男にナイフを突きつけたまま動かない俺と、ご機嫌な顔でナイフを投げて遊んでいるハイジを交互に見つめると深い溜め息を吐き出した。 「…降参だ、お前らがどれだけ切羽詰まってるかよーくわかったからハイジにナイフを仕舞わせろ。取引に応じて今から2日間エデンの奴らをお前らから遠ざけてやる。だから小百合を解放しろ」 ノアは投げやりな言い方でそう言い放つ。 「こいつを解放するのはアンタが俺に信頼を売ってからだ。俺はアンタの望み通り不快な思いをしてまで素顔をさらした。こいつらに危害を加えようとした事は無理矢理目を瞑るとしても、それ位はして貰わねぇとアンタを信用出来ねぇ」 腕の中に拘束する男の首にナイフを強く押し当てる俺にノアは顔をしかめ舌打ちをすると、ノアの箱船の囚人に向かって口を開いた。 BackNext [戻る] |