[携帯モード] [URL送信]
521
「…それに、なんで小百合がそんなに俺の事が嫌いなのか気になるし、小百合と少し話ができればいいなとも思ってるよ」

ハイジが何かを考えるように遠くを見つめながらそう言うと、ノアが困ったように息を吐いた。

「それはあまり期待しない方がいいかもな。あいつはあんまり自分の事を話したがらねえし、ちょっと特殊な奴でな。したいことの真逆なことをしたり、絶対やるなって言ったことほどしちまうようなちょっと困った奴でな。今回お前と喧嘩することで何か変わればいいんだが…どうだかな」

ノアは諦めの混ざった物言いでハイジにそう言葉を返しタバコを咥え火をつけた。

「…そっか。まあでもやってみるよ。出来たら平和に解決した方が絶対いいもんね。ゼロに謝って反省してくれるなら俺も一発殴るくらいで我慢するんだけど…小百合と話してると俺イライラするんだよなあ…」

頬杖をついてそうハイジがぼやくと、ノア、シン、リアムと言う男は同じような顔をした。

「安心しろハイジ。それはお前だけじゃねえ。馴れてる俺でも1日1回はあいつにぶちキレてる」

シンがため息をつきながらそう言うと、1回じゃねえだろお前、とリアムという男が口を挟んだ。

「…そう言うわけで、うちでも結構な問題児だからそこも加味してもらえるとありがたいがな。しかし、もっとぶちギレてるもんだと思ってたが…冷静じゃねえか」

意外だ、と言いたげな顔でノアは煙を吐き出しながらハイジを見つめる。

「そう?俺、結構怒ってるよ。だけど、ゼロは小百合が怖いだけで怒ってないし、何でかわからないけど俺の方を心配してる。だから小百合の件は出来るだけ早く終わらせて早くゼロの側に居てあげたいんだ。
早く小百合のこと忘れさせてあげたい」

「なんだハイジ、お前ゼロとくっついたのか?じゃあまあ…小百合をゆるせねえのも無理はねえな」

興味深そうな、面白がってるような顔でノアはそう言うと腕につけている時計を確認した。

「そうだよ!ゼロはもう俺のだからノアのおじさんゼロにイタズラしたらだめだよ?俺だったらいくらでもイタズラしてもいいからさー。お願いおじさん」

ハイジが甘えた口調でそう言うと、ノアは諦めたようにため息をついた。

「…わかったわかった。俺的にはお前が相手してくれるんなら別にかまわねえが、お前…いくらでもって…嫌じゃねえのか?ラクハに怒られるんじゃねーか?俺と仲良くしてると」

ノアがからかうようにハイジにそう尋ねると、ハイジは俺の方を見た。

「兄ちゃん、俺がノアのおじさんと仲良くしたら怒る…?」

おそるおそる俺を見上げてくるハイジにどうしたものかと思っていると、ハイジを含めた全員が俺の方に視線を向けた。

「…そうだな。俺はお前と違って信用してねえから出来ることならリスクのある奴とお前を接触させたくはねえけど、お前にはお前の人間関係がある。お前が関わりたい奴と関わっていけばいい。シンがお前にとって害悪ではねえのはわかったし、お前がシンのことが大好きなのも理解してる。お前がいつのまにかチェシャ猫とワンと仲良くなってることを考えると…今更ノアの箱船の囚人と仲良くするなって言うのも妙な話だしな」

俺がそう言うと、ハイジは俺に飛び付いた。

「ありがとう兄ちゃん!」

「…ただし、ノアがお前が嫌がることをせずに、お前がノアをスプラッタにしねえならの話だけどな」

そうハイジに返すとノアとリアムという男の表情が固まった。

「そんなことしねーもん!!ね!おじさん?」

「何も俺に得がねえからな。生憎俺はお前らお子ちゃま達と違って経験豊富だからわざわざ相手を痛め付けねえでも楽しみ方を知ってんだよ」

ノアは呆れたように、馬鹿にしたようにそうぼやく。

「…信じるなとは言わねえが警戒はしろ。お前に何かあったら、お前の大事なシンが大変な事になるってことを忘れるなよ」

俺のその発言を聞いてシンの顔がひきつる。

「兄ちゃん、もしかしてまだ根に持ってるの?歓迎パーティーのこと。わかった!兄ちゃんにシンが殺されないように俺頑張る…!」

「…ノアさん。俺こいつらの為に結構頑張ってると思うんすけどこの扱いって何なんすかね」

「…まあそう拗ねるなシン。弄られる程度にはこいつらに好かれてるってことだろ」

「冗談に聞こえねーんすけど」

ノアがシンの頭を撫でながら宥めてやっている様子を見て、ノアの箱船でのノアの立ち位置はトップというよりも父親的なものなのではないかと思った。






BackNext

22/100ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!