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食堂で夕食を食べながら、俺と兄ちゃんはフック船長に今後の事を話した。

今からノアの箱船に行き、ノアのおじさんと話をすること。

その後俺は図書室で小百合と会うこと。

ワンワンとシンにも立ち会ってくれるようにお願いすると言うこと。

フック船長とゼロとベリーズは、困った顔と心配そうな顔をごちゃまぜにしたような顔をしていた。

そんな中兄ちゃんだけは普段と変わらない様子だった。

兄ちゃんは俺がいつも迷惑かけているせいで、きっと免疫がついている。

だから心配するよりもどうやって乗り切るか、この問題をどう処理するかを考えている。


「俺はお前に行って欲しくないし、それが俺の為って言われても嬉しくない。
 だってそうだろ?俺はその代わりにお前を失うのかよ」

ゼロは泣き出しそうに目元を赤くして必死に俺を止めようとしてくれる。

「俺は居なくならないよ。帰るのは遅くなるかもしれないけど、ちゃんと帰るから。
 
それにこれはゼロの為って言うよりは自分の為だから、ゼロは責任を感じる必要なんてない。
 
さっきシンから話を聞くまでは俺、ノアのおじさんの事嫌いになるかもしれないって思ってた。

だけどシンの話を聞いてノアのおじさんを好きなままでいれそうだし、おじさん達と喧嘩する気
なんてもうない。

だって罰ならフック船長から十分に受けてるし。これ以上ノアのおじさんの大事なものを奪う気はないよ俺」

俺がそう言うとゼロはふいっと顔を俺から背けた。

「勝手にしろよ。どうせ俺が何言っても行くんだろ。帰って来なかったら俺は屋上から飛び降りる」

「やだよ!何考えてんだよ!!駄目そんなの絶対俺が許さない!!」

椅子から立ち上がり、そう俺が強く訴えるとゼロの目元が緩んだ。

「だったら生きて無事で帰って来いよ。そうすれば俺も死なずに済むから助かるぜ。
 悪いけど、俺はお前が居る限り死ぬ気何かさらさらないんだからな」

何でゼロが俺が死んじゃうんじゃないかっていつも心配するのか、よくわからない。

俺多分他の人より丈夫だし。何より兄ちゃんがいるし。

そうだな。兄ちゃんが死ぬかもしれなくて、俺が死ねば助かるって言われたら喜んで死ぬけど。

ゼロだったら、俺が居なくなると死んじゃうらしいから一緒に心中しようかな。

でもおそらくそう言うことはまず起きないだろうけど。

兄ちゃんがいつも最悪の事態を想定して先回りして、危険なものを俺の知らない内に排除しているから。

俺も勘鋭い方だし、危険な空気は誰よりも早く察知できる。

だから何かあったら兄ちゃんに相談して2人で解決すればいい。

俺と兄ちゃんは今までそうして来た。

だから今回もいつもと同じ。

俺達の周りには危険しかなかった。だから今の方がおかしいんだ。

こんな夢みたいな幸せな生活。

できたらずっと続いて欲しいな。

だけど多分終わりは必ず来る。











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あきゅろす。
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