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「よかった、いつものゼロだ」

思わずほっとして呟いてしまった俺を見て、ゼロは目を大きくした。

「っ…」

何か言葉を話そうとしているのはわかったが、ゼロは口を開閉させるだけで言葉を発しない。

「ゼロ?」

ゼロの瞳に自分の姿が映るくらいに、近づき詰め寄る。

「お前はずるい」

「俺の何がずるいんだよ」

ちょっとムッとしてそう聞き返すと、ゼロに涙目で睨み返された。

「こんなの…好きになるに決まってる。これ以上惚れさせて…俺をどうする気なんだよお前…」

今度は俺が言葉を失う番だった。

俺の頭の中にいくつもの疑問符が浮かび上がる。

俺何もしてないよ?

特別なことも言ってないし、格好つけてもない。

寧ろもっと頑張らなくちゃって思ってるくらいなんだけど。

一気に顔に熱が集まる。

「…何でお前が赤くなるんだよ」

「そっちこそ、何言ってるかわかってる?」

俺はもう、色々限界でゼロの上着を強引に脱がせる。

「ちょっ、ハイジ…っ」

「そんな…俺にばっかり嬉しいこと言って、そんな可愛いこと言って、俺を試してるの?」

俺はゼロの抵抗する両腕を掴み、頭上で押さえ付ける。

「ハイジっ…!」

「もう、知らねぇ。俺は兄ちゃんと違って理性なんてないからな。何か勘違いしてるようだから言っておくけど、さっきのは冗談じゃないから」

「……マジかよ」

「危ないなぁ、もう。どうしてそんなに真っ直ぐなの?何かゼロいつも忘れてるけど、俺は悪い奴なんだからね」

大まじめで言ったのに、何故かゼロは盛大に笑い出した。

「そうだな、お前は悪い奴だよ」

「うわっ、すっげぇムカつく!!今完全に馬鹿にしたでしょ!」

「してねぇって。…可愛いなお前」

あぁもう!可愛いのはゼロだって!!

俺はゼロに口づけながら、ゼロの靴を脱がせてベッドの下に放る。

そしてスウェットと下着を脱がせる。

「馬鹿っハイジ、お前…シーツしろって…!」

ゼロのその言葉を聞いて、鉄柵にシーツを掛けていなかったことを思い出す。

そうだよね、丸見えだもんね。

俺は言われた通りに、自分のベッドのシーツを引きはがし、カーテンを作る。

光が若干遮断されたことで暗さが増す。







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