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「ちょっと嫌なことがあってな。クララに甘えたくなった」

クララの頬に触れ首筋に口づけると、クララの体が揺れる。

クララは戸惑うように目を伏せると、まるでどんなことがあっても俺が居るから大丈夫だと言うように、優しく俺の頬に触れた。

「お前の為なら、俺に出来ることならなんだってしてやるよ」

クララのその言葉を聞いて、胸が熱くなった。

本当は肌を合わせることが怖くて怖くて仕方がねぇのに。

懸命に恐怖に堪え、俺の為に体を開いてくれているというだけで、申し訳ないと思うって言うのに。

それなのに、こいつは少しでも多くの俺の望みを叶えるために、いつも俺のことを思ってくれている。

クララの愛情はいつものポーカーフェイスで隠されているが、ふとした瞬間にその深さを思いしらされる。

ハイジがクララを絶対的に信じている理由が、クララのことが大好きで大好きで堪らないと言う気持ちが嫌でもわかる。

でも、だからこそ不安になる。

もしも、この息苦しい程の愛情を失ってしまったら。

そのことを考えると怖くて、不安で不安で仕方がない。

俺はクララの左手を絡めとって口づける。

「なぁクララ、お前は」

俺のことどれくらい好きなんだ?

本当に、俺だけなのか?

本当は、俺が居なくても生きていけるんじゃないのか?

溢れ出てしまいそうな女々しい感情を寸前で押さえ付けて口を閉じると、クララが困ったように視線をさ迷わせた。

「俺が…お前に大人しく組み敷かれている内は、お前は不安になる必要はねぇんだよ」

「無理…してんじゃないのか?」

俺が思わずそう言うと、クララは顔をしかめた。

「勘違いするなよ。俺は別に…お前に強要されてこんなことをしている訳じゃねぇ。全て俺が望んでしていることだ」

「そうか」

「あぁ」

「俺愛されてるんだな」

「…あぁ。俺がお前無しではもう生きていけないようにしたのはお前だろ。お前が俺から離れて行くその時には、お前の息の根を止めて永遠に俺だけのものにしようと思うくらいには俺はお前のことが好きなんだよ」

お前にはわからねぇだろうけど、と何かを諦めたように言葉を吐き出すクララを見て、俺は思わず吹き出した。


俺を怪訝そうな顔で見上げてくるクララに、俺はありったけの愛を込めて口づけた。



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