2
「クララ」
「何だ」
夕食後のひと時。
パトロールが終わった後に、ベッドの端に腰を下ろし読書に勤しむクララを横から眺め、クララの読書を邪魔するのが日課になりつつある。
「今日は絡まれたりしなかったか?」
「別にお前が心配するようなことは何も起きてねぇよ。絡まれるのはいつもの事だ。それに何故か俺が殺してぇな、と思うと俺から離れて行く」
「お前の場合冗談じゃなくマジだからな」
「思うだけなら俺の勝手だろ」
当然の権利だと言いたげにさらりとそう答えるクララが、あまりにもクララらしくて笑みがこぼれる。
本のページを規則的にめくっていきながら俺の話も逃さずに聞いてくれるクララは本当に器用な奴だと思う。
肩肘をつき、適当な会話をしながらクララの背中を見つめていると、変な気分になってくる。
すぐ側にあるクララの腰に腕を回し背中に顔を埋めると、クララの体が強張った。
暫く何も言わずそのままクララの腰を緩く抱きしめていると、クララが先に口を開いた。
「後2ページだけ読ませてくれ」
何でもないように吐き出された言葉の意味を理解し、顔が緩む。
今のがクララの精一杯のイエスであることを俺は知ってる。
「何でわかったんだ?」
俺がそう尋ねると、クララは少し間を置いて口を開いた。
「…触り方が露骨だ」
クララが躊躇うように本を閉じるのと同時に、俺はクララの体をシーツに沈めた。
床に本が落ちる音を聞きながら、俺はクララの体の上に乗り上げる。
「そんなに露骨か?」
「お前今日、気分が落ち込んでるだろ。何かあったのか」
笑いながら、問い掛けた筈の言葉はクララによって消されてしまった。
「お前には何でもわかるんだな」
クララには敵わない。そう思いながら返事を返すと、クララに引き寄せられ額に口づけられた。
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