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―side EDOAN―
「ありがとうございますフック船長」
「あぁ。次からは絡まれねぇように気をつけろよ?」
いつものパトロールからの帰り道、水色の渡り廊下を渡りながら俺は人知れず軽いため息を吐く。
はたして俺のやっていることは本当にアイツラを救っているんだろうか。
いや、俺のやっていることはあくまで偽善であり、自分の弱さを隠す為にしているってことは充分にわかっている。
だが目の前で殴られている仲間がいて、助けることは偽善だからと言って何もせずに素通り出来るかと言ったら、それは絶対に俺にはできない。
だけどそれは所詮は偽善であって。
常にそんな考えがエンドレスで頭の中をさ迷い続け俺を苦しめる。
「船長お疲れ様です!」
「あぁ。何か変わったことはなかったか?」
「いえ!特に何も起きていません!」
「そうか、それはよかった」
ネバーランドの入口でベリーズといつものやり取りを行い、俺は自分の房へと足を速める。
今日は正直、副所長にもいびられたし、チェシャ猫を交えての厄介な喧嘩の仲裁を片付けて来た後で早く横になりたかった。
重い足を引きずるように自分の房に戻り、何も考えずベッドに倒れこむと、顔の上に布が降ってきた。
何だよこれ?と腕でその布を掴みとると、隙間からクララの姿が見えた。
冷静に辺りを見渡してみると、ちょうどクララがベッドに腰を下ろし、洗濯物を畳んでいた所だったらしく。
どうやら俺はクララが畳んだ洗濯物の山に体ごと突っ込んでしまったらしいということが理解できた。
その証拠にクララの眉間に深いシワが寄っている。
「あ、悪いっ」
慌てて起き上がり、ぐちゃぐちゃにしてしまった洗濯物を畳みなおそうとすると、クララにベッドに強制的に沈められた。
「いいから寝てろ」
そう言って、黙々と洗濯物を畳み始めるクララに感動していると、見覚えのあるものが視界に入った。
「なぁクララ…それって俺の囚人服か?」
今まさにクララが手に持っているくたびれた囚人服を見てぼんやりとそう尋ねると、クララは不思議そうに俺を見つめ返した。
「俺のがこんなにボロボロな訳ねぇだろ」
当たり前のことを聞くな、と言うように。
何もなかったように俺の洗濯物を綺麗に畳み、片付けてくれるクララをその後思いっ切り抱きしめたのは言うまでもない。
END
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