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「…あり得ねぇだろ…、何で俺がこんな目に…何で俺がいかれたカメレオン野郎なんだよ…。つかなんでアリスの森の奴らは朝っぱらから俺の命を狙ってくるんだ?中身が俺だってばれたのか?一瞬マジでジャングルに放り込まれたのかと思ったぜ」
「んで、起きたら隣のベッドに小百合が居てよ?おもしれーから寝込みを襲ってやったら顔真っ赤にしてブチギレんだよアイツ。あれはなかなか愉快だったぜ?」
俺は牛乳を飲みながらシンとワンワンの話に相槌をうつ。
よくわかんないけど朝起きたら2人の中身が入れ替わってたんだって。
朝、兄ちゃん達と食堂に来て、朝食の乗ったトレーを持っていつものテーブルに行こうとしたらシンに…いや、シンの姿をしたワンワンに強引に別のテーブルへと連れて行かれた。
3人でテーブルを囲んで食事している姿は珍しいのか周りからの視線が少し痛い。
確かに良く話して、ワンワンが持つ独特の色気を垂れ流しているシンは珍しいかもしれないけど。
「何かいつもと全然違うね」
俺がそう言うと、シンの姿をしたワンワンは自慢気に鼻を鳴らした。
「当たり前だっつーの。中身が俺なんだぜ?俺のイケメンオーラはシンの凶悪面を上回るんだよ。本当は色々着せ替えしたかったんだけどコイツがうるせぇんだよ」
シンの姿をしたワンワンはそうぼやいて恨めしそうにワンワンの姿をしたシンを見つめる。
シンはワンワンの訴えに、俺の体に何かしやがったら切り刻んでやる、と凄い形相でワンワンの方を睨みつけている。
凶悪オーラのワンワンガラ悪いなぁ、とぼんやりと思いながら俺はパンとブルーベリーを交互に口に入れる。
「はっ、まさかこんなふざけた色の服を身につけるはめになるとは夢にも思わなかったぜ。…悪夢だ」
「当然だろ。普通の格好してる俺なんて俺じゃねぇ。俺はいつもクールでいたいんだよ。今日もキュートでクールだろ?」
「うん。ピンク似合ってるよ?ポンポン可愛いし俺今日の服好きだけどな」
ポンポンのついた黒いニット帽と肌色に近いピンクのレザージャケットを着たシンにそう言葉をかけると、嬉しくねぇんだよっ、と怒られた。
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