[携帯モード] [URL送信]
444
「…っ……」

ゼロは俺の顔を見ることが出来ないくらいに、体を固くし怯えきっている。

ぎゅっと閉じられた瞳が痛々しくて、胸が苦しくなる。

「ゼロ」

ベッドに上がり、ゼロの頬に触れるとゼロの体が大きく揺れた。

「ゼロ、目を開けて」

ゼロの顔の輪郭に指の背を滑らせるようにして、優しく撫でる。

俺の言葉に反応し、恐る恐る目を開けるゼロの瞳にははっきりと恐怖が浮かんでいた。

「俺が怖い…?」

ゼロの額や目尻、頬に触れるだけのキスを送りながらそう尋ねると、ゼロは俺の胸元を掴み、握り締めた手に力を込める。

「こわく…ねぇ」

「嘘つき」

「っ、違う…お前は怖くない!お前が怖いんじゃない…」

「ねぇゼロ、ここには俺しか居ないよ」

「当たり前だろ、だからここに連れて来たんだろ?」

まだよくわかっていないゼロにもどかしさを感じながら、俺はゼロの額に自分の額を押し当てる。

「そうだよ、ゼロが安心出来るように二人きりになりたかったんだ。ゼロ、もう大丈夫だよ。俺以外誰も見てない」

「な…に言ってんだよ」

ゼロの瞳の奥に僅かに見えた動揺が、俺の心を温める。

「もう頑張らなくてもいいんだよゼロ」

俺のその言葉を聞くと、ゼロは顔を歪め、俺を睨みつけた。

「何で…そんなに優しくするんだよっ!
馬鹿な奴だって笑えばいいだろ…」

「笑えないよ。だってゼロ泣いてるもん」

「泣いてねぇ」

「泣いてるよ。助けてって聞こえる」

「やめろよ…これ以上みっともない所、お前に見られたくないんだよ」

「どうして?」

俺のその問いに口を閉ざしてしまったゼロの唇にキスをする。

「俺は見たいよ。ゼロの弱い所。ゼロが涙でぐちゃぐちゃになってる所が見たい。気持ちよ過ぎて泣いてるゼロが見たい。恥ずかし過ぎて、耐えられなくて泣いてるゼロとか、もっと…って俺にねだる所とか。ハイジ俺を無茶苦茶にして、とか、やらしいこととか、沢山言わせたりしたいなぁ…」

まだまだ言い出したらきりがないなぁと思っていると、ゼロの顔がいつの間にか真っ赤になっていた。

「覚悟してたけど…、やっぱりお前へ…変態だろっ!!何で泣き顔ばっかりなんだよ!」

「あれ?何でだろ?何かゼロが泣いてる所を見ると体が熱くなって、ブレーキが壊れちゃう感じがして大変なんだぁ」

どう思う?と聞くと知らねぇよっ!!と返ってきた。



BackNext

45/100ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!