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「えっ?ちょ、ゼロ?!何してるんですか!寝てないと駄目じゃないですか!」

声がする方へ視線を移すと、入口付近でとても驚いた顔をしているベリーズの姿があった。

「ハイジさんも!ゼロに無理させないでくださいよ!」

おろおろしているベリーズには悪いけど、そのお願いは聞けそうにない。

「無理も何も、ゼロは大丈夫なんだよベリーズ」

ポンポンとベリーズの肩を叩きながらそう言い切ると、ベリーズは大きな目を丸くした。

「俺達ネバーランドに戻って今から二人で戦ってくるから、暫く二人っきりにしてて。兄ちゃんにこの事を伝えてもらえる?きっと心配してるから」

キョトンとしているベリーズにそう伝え、ゼロの体を支えて立ち去ろうとするとベリーズに呼び止められた。

「は、ハイジさんっ!戦うって一体何をする気なんですか?!」

ベリーズのその問いに、ゼロの目元が赤く染まる。

「俺がゼロを浄化するの」

にっこりと笑ってそう言うと、直ぐに言葉の意味を理解したのかベリーズの顔が赤くなった。

「えっあ、そ、そうですかっ!それじゃあ…その、ゼロをよろしくお願いします!クララさんにはしっかりと伝えておきますので!」

なぜか俺に敬礼するベリーズに、思わず俺も敬礼を返す。

「フック船長にも、ゼロはもう大丈夫だって伝えて?小百合達には絶対に負けないって。俺がゼロを元気にするから心配しないでって」

「わかりました!ゼロのこと、好きにしていいですから、何をしてもいいですからっ、ゼロをお願いします!!」

ベリーズの声が僅かに震えていたのは、動揺していたからだったのか、それとも強い願いが込められていたからなのか。

両方かもしれないと思いながら俺達は医務室を出た。

気がつけばもう遅い時間になっていたのか、廊下やロビーにいる人達の数が少なくなっていた。

ネバーランドまでの道のり、他の人とすれ違う度に体を固くし、俺の体に顔を押し付けるゼロを見ていられなくて、俺は足を早めた。

水色の渡り廊下に差し掛かると、ゼロの体から力が取れた。

だけど、ネバーランドの入口までくるとゼロの足が止まった。

ゼロが怯えているのは明らかで、俺に緊張しているのも明らかだった。

「っわ、何…っ」

俺は覚悟を決めてゼロを抱き上げると、俺達の房へ入りゼロをベッドの上に降ろした。






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