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小百合に順番が回って来た頃にエドアンは戻って来た。

呻き声や啜り泣く声を聞き、状況を把握したのかエドアンは少しの間口を閉じ目を伏せていた。

「遅かったな」

小百合の顔を掴みどうしてやろうかと考えながらそう言うと、エドアンは俺の元へと近寄ってきた。

「ゼロの体を綺麗にしてやったりしていたからな。ハイジはもう大丈夫なんだろ?」

エドアンは俺の肩に腕を置き、俺同様小百合の顔を覗き込む。

エドアンが現れたことで俺から逃れられると思ったのか、小百合の表情に明るさが戻った。

「取り敢えず、冷静になってから決断しろとは言った。だが、ハイジがどういう答えを出すかはわからねぇ」

俺がそう答えるとエドアンはそうか、と小さく返事を返した。

「何も言わねぇのか。止めねぇなら続けるぜ」

エドアンは止めるなり、何らかのアクションを起こすと予想していた俺の考えは外れ、エドアンは何かを考えるように遠くを見つめている。

「これが二度や三度目なら止めてる。だが今回で六度目だ。ゼロの事に関してはうんざりする程ノアに忠告して来た。
仮に今回の事がノアの命令じゃなかったとしても、あんな状態のゼロを突き付けられて流石の俺でももう無理だ」

エドアンは自分を責めているようであり、途方に暮れているようでもあった。

「俺はゼロの事でこいつらを痛めつけてる訳じゃねぇ。俺がしているのはあくまでハイジに手を出したことへの制裁だ。ゼロの件はお前がけりをつけるんだろ」

俺がそう言うと、エドアンは目元を手で覆った。

「あぁ、わかってる。これは俺の問題だ。何が起こったのかをまず把握しねぇとな」

そう呟いて床に丸くなっている囚人達の元へと行こうとするエドアンを呼び止める。

「多分そいつら話せねぇと思うぜ」

俺がそう言うとエドアンは顔をしかめた。

「お前何やったんだ」

「別に何もしてねぇよ。骨をへし折って、もう二度とハイジに変な気を起こさねぇように忠告しただけだ」

「お前はノアに喧嘩を吹っ掛けるのに躊躇いがねぇんだな」

少し困った顔をしてそう零すエドアンに俺ははっきりと言い返す。

「喧嘩を吹っ掛けられたのはノアじゃねぇ。俺だ。例え俺がこいつらに手を出したことで事が大きくなるならなればいい。その時はあらゆる手段を使ってわからせてやる。自分の犯した罪の重さをな」



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