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「まぁまぁ?」

馬鹿にしたような口振りでそう言うワンワンに、俺は今の俺様なワンワンとさっきのワンワンを頭の中で照らし合わせてみた。

涙を流しながら貪欲に快感を得ようとしていたワンワン。

快楽に酔いしれ、熱っぽい眼差しで俺にもっと激しくしろだの、限界寸前なのに中々イかせてくれなかったりと、注文の多いワンワンだったけど。

俺がその度にワンワンの言う通りに忠実に行動すると、うっとりとした顔で俺の背中に腕を回し、嬉しそうに微笑みながら俺の頬にキスしてくれて、腰を捩らせていたワンワン。


あんなにもノリノリだったのにまぁまぁなの?俺。

「…何だその目は」

「いや、別に。俺の周りには言葉よりも態度の方が素直な人が多いなぁって思ってさ。

俺もすっげぇ気持ち良かったよ。あんなの初めてだ、ワンワンってやっぱり凄いね」

不満そうな顔をするワンワンに微笑みながらそう言うと、ワンワンは舌打ちをして顔を逸らした。

気恥ずかしさからなのか俺と目を合わせてくれないワンワンに、真顔で可愛い、と言うと破壊力抜群の右足が飛んできた。

「お前に言われても嬉しかねぇよ。つーか生意気に避けてんじゃねぇ」

「避けるよ、ワンワンの蹴り結構体に響くんだから。それに今日は楽な日だから体力を回復しなくちゃ、兄ちゃんに怒られるもん」

俺がそう呟いてワンワンのお腹にぐりぐりと額を押し付けて遊んでいると、何かを思い出したようにワンワンは小さく声を上げた。

「あー…もうこんな時間か。そろそろパーティーも終わるな」

淡いピンク色の、文字盤が大きい腕時計を確認した後、ワンワンは煙草を机に押し当て火をもみ消した。

「えー?!もうそんな時間なの?…楽しい時間は直ぐに過ぎちゃうんだって事、俺ここに来て初めて知ったぁー」

溜め息をついて渋々体を起こす俺を見て、ワンワンは少し困ったように眉を動かす。

「気が向いたらまた遊んでやるよ」

「っ!!本当に?!えへへ〜嬉しいなぁ〜わー!わ〜」

嬉しくてふわふわニコニコにやにやしていると、ワンワンは体を起こして呆れたように息を吐いた。





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あきゅろす。
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