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「…ゼロって本当にわかりやすいですよね。お相手はやっぱりハイジさんですか」

ベリーズは特に驚く事なくゼロにそう返事を返すと、俺とゼロの間に体を押し込み、ベンチに腰を降ろした。

「…違う…、そんなんじゃ…」

ゼロは膝の上で両方の拳を握り締め、今にも泣き出しそうなくらいに顔を歪める。

そして小さく短いため息を吐き出すと、恐る恐ると言った顔で俺の方を見た。

こう言う時…何と声をかけるべきなのか。

俺がなかなか答えを出せないでいると、ベリーズが口を挟んだ。

「認めた方が楽ですよゼロ。ゼロが認めたくない気持ち、僕にもよくわかります。けど、好きになってしまったものは仕方ないですよ。

それにリズを好きになったって言われたらそっちの道に行ってしまったのかって思いますけど、

相手はあのハイジさんですし、誰もゼロを責めたりしませんよ」

宥めるように優しい声色でゼロに話すベリーズを見て、外でのベリーズの姿を垣間見た気がした。

ベリーズのその言葉を聞いて、ゼロはベリーズに縋るような眼差しを向ける。

「認めたら…俺が俺じゃなくなるような気がして俺…」

僅かに拳を震わせ、再び視線を足下に戻すゼロを見て、ベリーズは俺の方に顔を向けた。

「クララさんからも何とか言ってくださいよ、お願いします。とても見てられません」

小声でそう訴えてくるベリーズに困惑していると、そんな俺達のやり取りに気づいてゼロが俺の方に顔を向けた。

真っ直ぐで、後ろめたいものが何もないような…そんな純粋なゼロの瞳を見て、俺にはこんな瞳をしていた時があったんだろうかと自問自答する。

「…そうだな。俺にはそう言う事はよくわからねぇが、ハイジと深く関わる事を決めたら、ハイジを過度に怒らせたり裏切るような事はしない方が身の為だ。

そして何があっても、あいつの存在を否定するような…強い拒絶はするな。お前なら大丈夫な気もするが、些細な事が命取りになる」

俺がそう言って聞かせるとゼロは強く奥歯を噛みしめた。

「…わかってる。上手く言えねぇけど…アイツ時々別人みてぇな顔する時あるから。わかってるんだ、ハイジがあぁ見えてヤバい奴だって事は…だけど俺…アイツに触れられるだけで、訳わかんなくなって、何か、有り得ねぇくらいにすっげー苦しくて泣きそうになる」






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