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「すっげぇ気持ちいい事?」
思わず聞き返してしまった俺をワンワンは悪い顔をして上から見下ろす。
「お前童貞だろ?」
「どうていって何?」
「…つまり、女に跨って突っ込んだ事がねぇって事だ」
俺の世界に存在する女の人は、俺が小さかった頃に病気で死んでしまった血の繋がった母さんと、2番目の悪魔のような血の繋がっていない母さんしかいない。
「じゃあ俺どうてい。そんな自殺行為をする程俺馬鹿じゃないよ」
俺が真顔でハッキリとそう答えるとワンワンは不思議そうに眉を動かした。
「何だ?怖いのか?」
「あ、いや…えっと、その、そうじゃないんだけど…」
ズボンを降ろそうとするワンワンの手を上から抑えつけると、ワンワンは動きを止めた。
「何だよ、気になんだろ?ハッキリ言えよ」
「うん…いや、ここ明るいし、俺顔以外汚い模様だらけで本当に見られたもんじゃないから…その、」
はっきりしない俺にワンワンがイライラしてきているのがわかって、俺は慌ててどうにかしようと辺りを見渡す。
…あっ、いい事思いついた。
「ワンワンっ、細長い布ない?」
「…細長い布?何に使うんだよ」
早く事を始めたいのか、ワンワンは嫌そうな顔をしながらも俺から一度体を離すと、適当な布を探し出して俺の方に放ってくれた。
「ワンワンちょっとじっとしててね」
俺は戻って来たワンワンを自分の方に引き寄せ、訳のわからないと言った顔をしているワンワンの顔を固定する。
「よしっ、これでオッケー!問題解決!」
ワンワンに渡された黒い布でワンワンの目元をしっかりと覆い、俺はホッと息を撫で下ろす。
これならワンワン何にも見えないから安心だ。
「…お前…、童貞の癖にまたなんつーマニアックな…。お前がそう言う趣味だとは思わなかったぜ。つか普通逆じゃね?」
「…え?何が?あ、終わるまで絶対取ったら駄目だからねっ!」
「…ちょっとからかってやるだけのつもりだったんだけどな俺は。まさか目隠しプレイをする事になるとは…まぁお前なら無害だから別にいいけど」
ワンワンは眉を寄せてぶつぶつと小言をいいながら、確かめるように俺の体に手を滑らせた。
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