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ワンはベリーズのその言葉を聞いて気が済んだのか、ベリーズから手を離すと再びもとの体勢に戻り作業を再開する。
「始めからそう言やぁいいんだよ。つーか俺お前みてぇな奴全く持って興味ねぇから近づいてくんなよ。クソチビの分際で俺が手に入ると思ってんじゃねぇよ」
ベリーズを鼻で笑い、そう言い捨てるワンにベリーズは崩れ落ちた。
「ワンワンモテモテだぁ」
「あー?ネズミに好かれたって嬉しかねぇよ」
「ネズミ可愛いと思うけどなぁ俺…」
「あぁ…やるせない…っ、どうしようもないくらいにやるせない…っ!」
ハイジとワンの会話に紛れるようにしてコンクリートの床を拳で何度も叩きながら、ワンに聞こえないボリュームで愚痴をもらすベリーズを見て、ベリーズとワンの相性の悪さを実感する。
「試合が終わるまでにはハイジを返して欲しい」
ハイジとワンのやり取りを見て長居は無用だと思い、そう口にするとワンは呆れたような顔で俺を見上げた。
「…過保護な兄貴だな。門限があるのかよ」
「出来る限り危険を避けたいんでな」
俺がそう答えるとワンはわかったよ、っと投げやりに言葉を投げ返した。
ワンのその言葉を確認し、俺はベリーズを床から引き剥がす。
ゼロにも声をかけようとしたが、俺は声をかける事を躊躇してしまう。
ハイジと会話を楽しんでいるワンを見つめるゼロの眼差しが、普段のゼロとは別人に思わせる。
もどかしい感情を抑え込むようにしてワンを見つめるゼロの視線に気づいたのか、ワンはゼロの方を見て不思議そうに顔をしかめた。
「何だよ、お前も俺に愛の告白か?勘弁しろよ、ノアに妬まれるのはごめんだぜ」
ワンはからかうようにゼロに声をかける。
挑発するような言葉を投げかけられ、普段のゼロの様子から考えると直ぐに言い返しそうなものだったが、ゼロは何も言葉を返さずに俺達を置いて図書室を出て行った。
「何だよ?ノアん所の連中ならわかるが、アイツに何かした覚えがまるでねぇんだけど俺」
訳がわからないと言った顔でワンはハイジに不満をこぼす。
ハイジはワンとゼロの出て行った方向を交互に見つめながら困ったように眉を下げた。
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