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「…何見てんだそこのクソチビ。俺が針と糸を持ってんのが…そんなに面白ぇか?」

物珍しそうにワンの手元を見ていたベリーズは、いきなりワンに声をかけられ小さな奇声を発する。

「そ…っそそそんな滅相もありませんっ器用だなぁって素晴らしい針さばきに見とれていただけですよ!!」

腕を掴まれた俺にもその振動が伝わってきそうなくらいに体を震わせるベリーズの、あからさまに怯えた態度を見てワンの目はつり上がる。

「てめぇのお世辞はわざとらしいんだよ。あ゛ー、マジでムカつくぜ」

ハイジとはあまりにも違い過ぎる喧嘩越しの態度で睨みつけてくるワンのその言葉を聞いて、ベリーズはショックを受けたように胸を押さえ口を大きく開いた。

「そんな…あんまりです…っ、僕が一体あなたに何をしたって言うんですかっ!?」

「あ゛ーっ?!その口今すぐ縫い付けんぞクソチビ。あれだけ俺に何度も熱烈な告白して来ておいて忘れたとは言わねぇよなぁ?」

俺は2人の険悪な雰囲気に止めるべきかと考えたが、三度もぶつかっておきながらすっかり忘れきっているベリーズも問題だと思い、仲裁するべきかどうか頭を捻る。


ワンはベリーズのリアクションに、より一層嫌悪感を顔に滲ませると机に身を乗り出しベリーズの顎を右手で乱暴に掴んだ。

ワンの被っているピンクと黒が混同したキャップのつばがベリーズの額に当たる。

ベリーズは至近距離で睨みつけられ、流石に自分の犯した過ちを思い出したのか顔を青ざめるとワンから顔を背けた。

「まっまさか、忘れる訳ないじゃないですか。三度もワンさんの背中にはお世話になりましたから。その節は僕の不注意で本当に申し訳ありませんでした。

あの、それと一応誤解のないように言っておきますが僕はワンさんに愛の告白をしたつもりは…」


ベリーズが最後まで言い切る前にワンがベリーズの顔を無理矢理自分の方に向かせ黙らせる。

「そうか、じゃぁやっぱりあれは俺に喧嘩を売ってたんだな?クソチビの分際で、この俺に」

「いえっ違いますよ!!決して喧嘩を売るつもりは…それに出来れば僕はふわふわで可愛い女の子の方が…」

「あ゛ー?何だって?聞こえねぇなぁ…?」

「すみません、あなたの事を愛してます。全ては愛故なんです。なのでどうか許してください」

粘りを見せていたベリーズだったが、ついにワンの威圧感に屈し、開き直った笑顔を浮かべてそう即答した。




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