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「あらダーリン。昨日はどこに居たの?見当たらなかったけど。取りあえず嬉しいからキスしちゃおっかなー」

エドアンはキスしようとするチェシャ猫を回避してチェシャ猫から俺を引き離そうとする。

「ぶっ…ヤキモチやいてるエディ、まじうける。
そんなに大事ならもっとちゃんと縛り付けておかねぇと持ってかれちゃうよ?俺に」

チェシャ猫が何を持って行くつもりなのかは不明だったが、チェシャ猫のその言葉でエドアンが動揺したのがわかった。

「…誰にも持っていかせるつもりはねぇ」

俺の体を拘束するエドアンの腕の力が強まり、俺は反射的に胸の上にあったエドアンの腕の位置をずらす。

俺が自分の体を後ろから包み込む体温に緊張している事をエドアンに悟られたくなかった。

「ふーん。まぁ頑張りなよ。今の所俺が一歩リードしてる感じだから。

お前が居ない間に俺とラクハの距離は嘘みたいに近くなったんだよー?

それはもう死の境をさ迷うくらいに」

恍惚とした表情を俺に向けるチェシャ猫に、俺は思考を切り替えさせられる。

「…自虐的な奴だな」

「お前に言われたくねぇって。俺はお前程自分で自分を痛めつけられねぇよ。

ねぇ、バイオレンスな天使様。俺をこの前みたいに天国に行かせてよ。あの夜の事を思い出すと体がうずいて堪らねーの。発情期かな?どう思う?」

チェシャ猫は俺の上半身に指を滑らせていきながら上目遣いでふざけた事を聞いてくる。

「…知らねぇよ。勝手に発情してろ、俺には関係ねぇ。

それに俺にはお前を天国に行かせる事はどうやったって出来ねぇよ。地獄に連れて行く事は出来てもな」

上半身を這うチェシャ猫の右手を掴んでやめさせながらそう言うと、チェシャ猫は破顔した。

「うわ〜っ最低っ、もーあんまり冷たいとまたイジメちゃうよ?

…まぁでもお前の言う事は間違いではねーけど。

俺達が天国に行く事を望んじゃいけねぇよなぁ?」

チェシャ猫のその言葉を聞いて、何を当たり前の事を言ってんだコイツ、と不思議に思う。

腹を抱えて押し殺したような笑みを浮かべるチェシャ猫ははっきり言って不気味だったが、面倒なので俺は気にしない事にした。

冷たいと言いながらも嬉しそうな顔をしているチェシャ猫を見て軽く引きながら、俺はチェシャ猫に視線を送り続ける。





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あきゅろす。
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