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「うるせぇよ。何でお前はそんなに普通なんだよ。どう言う体のつくりしてんだよお前」
眉を寄せてそう言うシン・アベルに、ハイジは一度自分の体を確かめてから肩をすくめてみせた。
「鍛えてるからじゃない?それかあれだね。生き残れるように俺の体は丈夫に進化したんだよきっと」
「人間がそうそう進化するかよ。…まぁお前なら納得出来なくもねぇけど」
怪訝そうな顔をしてシン・アベルがそう言うとハイジは面白そうに笑った。
「さっきもね、シンの事話してたんだよ?シンはスゲーって。ね?」
「はぁ…?何だよそれ」
ハイジがごく自然にベリーズに話をふると、ベリーズは緊張しながらもその節は…と違和感なく会話に加わる。
そんな仲良さげなハイジ達のやり取りを見てエドアンは驚いているのか、パンをくわえたままハイジ達を見つめ、固まっている。
シン・アベルはそんなエドアンのリアクションに気づいて気まずく思ったのか、小さく舌打ちをしてエドアンに声をかけた。
「もう出てきたのかよ。独房でもう少しゆっくりしてても良かったんだぜ?」
嫌みとしか取りようのないシン・アベルの発言を聞いて、エドアンに喧嘩を売っているんだろうか、と冷静に思っているとエドアンは俺に首を軽く左右に振って見せた。
「これはノアの箱船の囚人流の挨拶で別に俺に喧嘩を売ってる訳じゃねぇんだ、だから気にするな。寧ろこっちが普通だ」
エドアンのその解説によって、シン・アベルとハイジ達のやり取りを見てエドアンが驚いていた理由が理解出来た。
「今日は何の用だシン。ノアの使いだろ?」
エドアンが困った顔をしてそう尋ねるとシン・アベルは俺の方に向き直った。
「いや、今日はアンタじゃなくてこっちだ」
シン・アベルが顔を見せた時点で大体予想はついていたので、俺はシン・アベルに先を促す。
「今日…アンタとハイジがウチに来る事になってただろ?忘れてねぇよなぁ?」
「あぁ。約束は守る」
何故かエドアンに話しかけていた時よりも緊張しているように見えるシン・アベルを不思議に思いながら、俺は会話を続ける。
「その約束なんだが今日じゃなくて明日に変更して欲しい」
シン・アベルのその申し出は予想外のモノだったので少し驚いた。
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