316 その瞬間ゼロの顔はみるみる赤く染まり怯えたように体を固くした。 ベッドに組み敷かれ、口を塞がれている状況に身の危険を感じたのか、ゼロは暴れ、俺の体を押しのけようとする。 「やめ…っ…」 俺をやめさせる為に僅かに開かれた口を舌でこじ開ける。 舌が触れ合う度に体を震わせ、戸惑ったように目を泳がせるゼロを見て体が熱くなっていく。 何度も角度を変えて深く短いキスを繰り返すとゼロの抵抗が小さくなっていった。 息を止めていたのか、息を乱れさせながら涙目で睨みつけてくるゼロを見て思う事は1つしかない。 俺今までこんなに可愛いくて心に突き刺さるヤキモチやかれたことない。 どうしよう。体が回復するよりも先に別の所が元気になってきちゃったよ。 「……何…笑ってんだよっ」 「だってあんなに可愛い我が儘言われたの俺生まれて初めてだし。 そんなに嫌だったの?俺がシンやワンワンにキスしてゼロにしないの」 ゼロの赤くなった目元を指で優しく拭いながらそう尋ねるとゼロは俺から顔を背けて唇を噛み締めた。 「ゼロ…?」 「違うっ、俺はホモじゃねぇ」 「うん…?わかってるよ?」 俺は腕で顔を隠そうとするゼロの腕を掴んでもう一度軽くゼロにキスをする。 「キスして欲しいんなら言ってくれればいつでもするよ?」 「そうじゃねぇ。いらねぇよそんなもん」 「じゃぁ何が嫌だったの?あ、シンやワンワンとキスするのが嫌だった?ゼロがそんなに嫌ならもうしないよ」 「違うっ、やめなくていい。…そんな事する必要ねぇよ。お前を縛る権利俺にはねぇから」 ゼロのその言葉に俺は首を傾げる。 「それはそうかもしれないけど…泣く程嫌だったんでしょ?」 俺がそう言うとゼロの目に再び涙が浮かんでくる。 一体俺はどうすればいいの。 誰か教えて。 って言うかその前に。 溜め息をついてゼロから体を離す俺を見てゼロは俺が怒っていると勘違いしたらしく。 「ごめん、俺っホントに訳わかんねぇよな」 ゼロは大粒の涙を大量に零しながら必死に俺に謝罪する。 いや、うん、別に俺は凄く困ってはいるし頭の中滅茶苦茶だけど全然怒ってなんてねぇし。 どうも今日はゼロと噛み合わない。 BackNext [戻る] |