261 そう言えば畑の土を掘り返していた人がこれ使ってたっけ。 くるくるとシャベルを回転させ使い心地を確かめる。 これはいいものを拾ったかもしれない。 兄ちゃんから言われているのは、危険人物を15人中7人やっつける事。 この7人にはワンワンは含まれていない。 兄ちゃんはワンワンを警戒して俺が疲れないように人数を減らしてくれたんだと思う。 だけど。 俺がネバーランドを見渡すかぎり、こんな事を言うのもあれなんだけど、始まって30分、ウサギチームがおされてる。 って言うか、ライオンさん達に対抗出来てない。 何よりも先にワンワンを抜いた残り12人の危険人物を片付けないと、全滅する。 「ベリーズ、ゼロ、予定変更!」 突然そう告げる俺に2人は怪訝そうな顔で俺を見つめてくる。 どうして俺だと疑いの目をするの、2人共。 兄ちゃんとの違いは何。 俺は軽いショックを受けながらも、ワンワンを抜いたターゲットを7人から14人に変更することを2人に告げる。 「馬鹿かお前、今の状況をわかって言ってるのかよ?無鉄砲にも程があるっ、ワンが居るんだぞ?!」 「だけどやらなきゃ負けちゃいそうだもん。俺は勝ちたいんだよゼロ」 俺が頑張れば済む問題ならいくらでも頑張るよ俺。 「もう様子見はやめ。まぁ見てて」 俺はゼロにそう言うと息を軽く吸いこんだ。 「俺の近くに居るウサギさーん!頭下げて!」 そう叫ぶやいなや、俺は持っていた巨大なスコップを両手で大きく振りかぶってスウィングした。 想像してみよう。人が密集する場所で俺と同じくらいの大きさの頑丈なスコップを力一杯振るとどうなるのか。 「わあぉ、スッゲェ。…けど何だか俺一人ぼっち」 俺を中心にして、360度円を描くように視界から人が居なくなった事で俺は取り残された気持ちになった。 「ハイジおっ…おお前なっ、俺達を殺す気かっ」 目を大きく見開き、何故か怒っている様子のゼロは震える右手の人差し指を俺に向ける。 「まさかぁ違うよ、俺は2人の反射神経を信じてるんだよ。ほら、ベリーズ起きて。この調子でさくっとやっちゃおう!!」 俺は床にブリッジした状態で硬直しているベリーズを引っ張り起こし、巨大なスコップを両手で回転させ道を開けていく。 フルテンションの俺とは違いテンションの低い2人を急かしながら、俺は心の中で祈った。 俺がターゲットを全員片付けるまでどうか、どうかワンワンに出会いませんように。 BackNext [戻る] |