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ーside RAKUHAー


「今夜、おそらくは消灯時間が過ぎた辺りにアリスの森の囚人がここに乗り込んで来るらしい」

図書室からネバーランドへと戻った俺は、早速あと数時間後に起こる予定の出来事を皆に簡単に説明する。

「何でそんなに落ち着いてんだよっ。…そうかお前ら新入りだからまだ知らねぇんだな。チェシャ猫の恐ろしさとアリスの森の奴らのイかれ具合を」

「だが変じゃねぇか?普通はこう言う場合ノアの箱船やエデンの連中が競うように俺達に手を出して来るってのに。今無傷で居るのが不思議だぜ」

「馬鹿か、さっき食堂でこの眼鏡が、いや…天使がノアを脅してたのを見てなかったのかよ?
小百合にナイフ突きつけるし、ハイジはノアん所の奴投げ飛ばしちまうし…お前ら何者なんだよ?」

様々なリアクションをするネバーランドの囚人達に曖昧な返事を返しながら、俺は横目でハイジの様子を確認する。

「ねーシン、中に入ろうよー。ねぇってばぁ」

「…お前なぁ、普通に考えて敵の陣地に入りてぇと思うか?」

ハイジはネバーランドの入り口の前で座り込み、佇んでいるシン・アベルに中へと入るように何度も催促している。

シン・アベルは俺達の成り行きを見届けるつもりなのかノアの所に帰る素振りは見られない。

駄々をこねるハイジにうんざりしているシン・アベルを少し気の毒に思いながらも、ハイジから緊張や恐怖心が感じられない事に1人安堵した。

今日こいつらが無事に1日を終えられるかどうかはハイジにかかっている。

なるべく早くチェシャ猫から解放されたいとは思うが、あのチェシャ猫のふざけた話し方を考えるとかなり困難だと思える。

「…チェシャ猫に拷問されるのとノアん所の連中に輪姦されるのと、お前ならどっちがマシだ?」

「…どっちにしたって地獄には変わりはねぇだろ。まぁチェシャ猫に殺される方が、少なくとも男では居られるか。まぁ…あのサイコ野郎の“遊び”に付き合う勇気があればの話だけどな」


皆の顔色や態度からは、怯えや絶望が痛い位に突き刺さってくる。

俺はそんな情けない姿を晒すネバーランドの囚人達を冷静に観察しながら小さく舌打ちをした。






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