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シンとゼロの間に挟まれている今の状況を面白く思いながら、ゼロと楽しく動物図鑑を観賞していると横から強い視線を感じた。

「どうかした?あ、シンもリス好きなんだ?」

「小動物は好きじゃねぇ。つかそれドブねずみだろ。…兄貴はタチの悪いサイボーグみてぇだから落ち着いてんのもわかるが、お前のその危機感の無さはおかしくねぇか?」

「何が?」

本から顔を離さずに俺はシンに続きを促す。

「何がって…お前、フック船長の居ねぇネバーランドにアリスの森のイカレた連中が今夜乗り込んで来るんだろ?確かにお前の兄貴がただ者じゃねぇって事はわかったぜ?だがそんな頼りになる兄貴は1対1でチェシャ猫の相手をしなきゃならねぇ」

「みたいだね」

「それがどう言う事かわかってんのか?」

怒ってるのか心配しているのかわからない顔で俺を問い詰めるシンに俺は頭の中で簡単に状況を整理する。

「つまり猫さん以外の人達を俺達だけでどうにかしなきゃ駄目って事でしょ?」

ページを捲りながらさらりとそう答えるとシンは驚いたような顔をした。

「…わかっててそんなに落ち着いてんのかよ。何か勝算でもあるのか?」

シンのその質問にゼロも興味があるのか両サイドから2人は俺の顔に強い視線を送ってくる。

「勝算はわからないけど、少なくとも今日死なない自信はあるよ俺」

胸を叩き、自信満々にそう言う俺に2人は同時に顔をしかめた。

「…まぁ確かにラクハはしっかりしてるし肝もすわってるからな。それに普通に怖ぇし。だからお前が安心してんのもわからなくもねぇけど…。それにしたって気を抜き過ぎだろ」

ゼロは遠くにいる兄ちゃんを見ながら呆れたように溜め息をもらす。

ゼロに続くようにシンも口を開く。

「その自信は一体どこから来てんだ?簡単に勝てると思ってんのか?ワンに」

そう言えばさっきワンワン、俺とやり合うの楽しみにしてるって言ってたっけ。

「簡単に勝てるとは思ってないけど負ける気もねぇもん俺。へへ、何か今日楽しい事が多くて嬉しいなぁ。ワンワン強そうだったから俺も頑張らなきゃっ!楽しみだなぁ、早く時間がたたないかなぁ」

そう言ってわくわくと胸を躍らせながら頬を緩ませる俺を見てシンはそうかよ、と投げやりな相づちをうった。


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