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そんな不満がありありと現れているシン・アベルを見てワンの口端が上がっていく。
「おぃおぃシン、噂の可愛い子ちゃんと手なんか繋いじゃってどうしたんだ。試合に負けて奴隷にでもさせられたのかよ」
ワンはシン・アベルの顔を下から覗き込み、にやついた笑みを浮かべる。
シン・アベルはワンのその指摘に我に返ったのか、慌ててハイジの手を振り解こうとするが、ハイジはそれを面白そうに見ているだけで手を離そうとはしない。
俺とベリーズはこのままワンの怒りが冷める事を願い、大人しく3人のやり取りを見守る。
「おぃ、いい加減に離せっ」
「何で?友達なんだからいいじゃん。ホントは嬉しい癖に無理しちゃって、耳赤いよー?シン」
ふざけてシン・アベルの腕に自分の腕を絡ませ、更に密着するハイジにシン・アベルは右手で目元を覆う。
「確かにこれじゃぁ落ちねぇ方がおかしいけどよ。残念ながら俺は日頃からロゼさん見慣れてるから外見には惑わされねぇよ」
半笑いでそう言うワンをハイジはじーっと見つめる。
「ワンワンってオシャレさんだね。その頭にしてるのすっげぇ似合うね」
目をキラキラさせてそう言うハイジにワンの目の色が変わった。
ハイジの言う頭にしてるのとは、ワンが頭に付けている黄緑色の金属製の輪っかの事だ。
左手首には紫が眩しいリストバンドのような装飾品を身に付け、
両耳には白と黒のアニマル柄の大きめの耳飾りを身に付けている。
さっき小百合と言う男を間近で見たせいもあるかもしれないが、ワンの顔立ちからは愛嬌を感じる。
目つきの悪さや立ち振る舞いから見れば典型的な生意気な悪ガキに他ならないが。
なんとも目に痛いカラフルな出で立ちをしている。
ワンはハイジのその言葉に感動したように目を光らせ、ハイジに握手を求めた。
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