220 人数は3人、足を進める方向から何をするつもりなのか俺は瞬時に悟る。 「わっ?」 いきなり後ろから拘束され驚いたように声を上げるハイジの後ろには黄色のナンバープレートの囚人が立っている。 「ひっ」 「離せっ、俺に触るな!!」 ハイジ同様それぞれノアの箱船の囚人に捕らえられるベリーズとゼロの姿をテーブル越しに視界にいれながら、俺はハイジを拘束する男に視点を合わせる。 「そこまでだ。小百合を今すぐに離すんだな、でなけりゃお前の大事な可愛い弟とこいつらが酷い目にあう事になるぜ」 そう言って俺に見せつけるようにハイジの服の下に手を侵入させ始める男に俺は小さく舌打ちをする。 …どうしてこの状況で、更に俺を怒らせるような行動を取るんだ?理解が出来ねぇ。 「ほら、早くしねぇとこいつらを裸に剥いて飢えてる野郎共の所に放り投げるぜ?」 ハイジの体を弄りながらそう言い放つ男に周りから歓喜の声があがる。 「兄ちゃーん、この人何なの?俺達を裸にするとか言ってるけど本気じゃないよね?俺の裸見てもいい事ないよ」 体をベタベタと触られ嫌そうな顔で俺にそう訴えるハイジを見て男は下卑た声をもらす。 「知ってるぜ、服の下は傷だらけ何だってなぁ。だがお前くらい可愛いけりゃ傷があろうが関係ねぇ、そのツラだけで十分楽しめるからなぁ」 「馬鹿野郎っ、ソイツには手を出すなってノアさんに言われたのを忘れたのか?」 途中、顔を青くし半ば叫びながら男を説得しようとするシン・アベルの声が響きわたったが、男は眉をひそめるだけだった。 「ノアさん、俺にはこいつがノアさんが警戒する程の奴とは到底思えないんすよね、何でそんなにこいつらを贔屓目で見るんすか?」 ハイジの首筋に顔を埋めながらそうノアに疑問を投げかける男に、俺は我慢の限界を向かえハイジに向けて口を開いた。 「ハイジ」 「なーに兄ちゃん、この人なんか嫌だよ俺」 「そいつらは敵だ。やっていい」 真顔でそう告げる俺にハイジは驚いたように目を丸めたがすぐに顔を緩ませた。 BackNext [戻る] |