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「ノアさん、今の全部コイツの口から出任せっすよ。Dark holeを壊滅させただかなんだか知らねぇけどなぁ、テメェみてぇな腰抜けに何が出来るってんだよ?あぁ?」
怒りが未だおさまっていないのか腕を前で組んだままテーブルを乱暴に蹴り上げる白髪の男にベリーズが小さく悲鳴をあげた。
他の囚人達とは異なる反応を示す小百合と言う男に半ば感心しているとノアが噴き出すように盛大に笑い始めた。
テーブルを激しく叩きながら腹を抱えて笑い続けるノアに俺は反応に困ってしまう。
…笑わせるような事を言ったつもりはなかったんだけどな。
寧ろ大真面目に答えたんだが。
ノアの反応にただただ困惑している俺をよそに、ノアは小百合と言う男に視線を向けると言い聞かせるように話始めた。
「俺はお前のその、馬鹿なんだかそうじゃねぇのかよくわからねぇ所を気に入ってる。
だがなぁ、お前はもう少し観察力を身につけた方がいい」
小百合と言う男はノアに気に入っていると言われ、照れたように視線をさまよわせる。
「…言ってる意味がよくわからないんすけど。つーか観察しようにもソレじゃわかれって言う方が無理っすよ」
複雑な顔で俺の顔を見つめ男が顎で示すソレが何なのか、言われなくても直ぐに理解出来た。
…嫌な予感がする。
小百合と言う男のその発言によってノアの関心が別のものにすり替わったのがわかった。
「…それもそうだなぁ。なぁラクハ、お前は頑(かたく)なに素顔を見せようとしねぇらしいじゃねぇか。
見せてくれよ、リズとフック船長には見せてやったんだろ?」
「…見せたくて見せた訳じゃねぇ。それに前にも言っただろ、俺は…俺を構成している全ての物が嫌いなんだよ。
ハイジとは血が繋がってないんだ、妙な期待を俺に向けるのはやめろ」
眉を寄せ冷ややかにそう返す俺を見てノアは嫌な笑みを浮かべながら4本目の煙草を取り出すと口にくわえた。
「そんなに嫌なのか?素顔を晒すのが」
「あぁ」
「何をしても考えが変わらねぇくらいに、…そのバンダナと眼鏡を外す気はねぇのか?」
「…あぁ」
煙草に火をつけながら確認するように俺に言葉を投げかけるノアに、俺はノアがこれから何を言い出すのかを瞬時に悟った。
「お前の話飲んでやってもいいぜ?
…そのバンダナと眼鏡を外したらな」
吐き出す煙を俺に向けながらノアはそう言って俺を嘲笑った。
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