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「俺はハイジが笑えているならそれでいい。

ハイジの為ならこんな命捨てた所で惜しくはない。
それに俺は戻れねぇだろから別に構わねぇんだよ」


「戻れねぇ訳ねぇだろ。ハイジが戻れてお前が戻れねぇなんてあるかよ」

「俺とハイジとでは根本的に違う。俺とハイジを同じように考えるなよ」


抜け殻が見えていたのはいつ頃までだったのか、それすら思い出せない。

どんなに壁が増えようが足枷が増えようが俺は戻ろうなんて考えもしなかった。

本体である自分にナイフを突き刺す事に夢中だったからな。

殺しても殺しても再生する本体を、再生する度にひたすら殺し続けた。


本体を殺す事で新たな別の自分を作り出し生きる事が出来るからだ。


ハイジもこの術を自力で身につけ生き延びる方法を見つけ出した。

父親に裏切られたあの日に。

俺が思うにチェシャ猫は恐らくハイジと同じだ。

スイッチの切り換えに、体の外へと飛ばされた自分の本体を殺す事に馴れていないから穏やかな時とそうじゃない時の差が激しい。


俺はなんつーか…常にスイッチ入れた状態で生きて来たから落ち着いたっつーか…

悪魔な上に、自分殺して別人生活を送って来た俺ってどうなんだ…?

まぁ今となっては別にどうでもいい話だが。

「クララ…?俺困らせる事言ったか?」

「いや、別に困ってはない。とにかく俺の事はいいんだ、抜け殻に戻ろうとした事ねぇし」

戻りたいとも思ってねぇしな、そう言ってエドアンの手を引き剥がし労働へと向かおうとする俺をエドアンは引き止める。

肩を掴まれ強引に振り向かせられた先にあったのは余裕を滲ませた笑み。

どう考えても不自然なエドアンのリアクションに疑問を抱いていると、エドアンの口から絶対に俺が思いつかない言葉が放たれた。


「俺がお前の魂を体に戻してやるよ。

そうすればお前は自分を取り戻せて笑えるようになるんだろ?」

純粋な眼差しでそう告げ、自信たっぷりに笑みを浮かべるエドアンに俺はまたしても言葉を失ってしまった。





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あきゅろす。
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