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「死因は自殺か?」
「多分な」
感情を出さない声色でそう返し、静かにため息を零すエドアンに医務室で医者が言っていた言葉を思い出した。
ここで死人を平等に憐れみその死を嘆くのはエドアンぐらいだと。
もしそれが本当なら当然今まで数え切れない程にエドアンは1人で嘆き悲しんできた事になる。
「…今日はもう休め。A班はハードなんだろ?」
俺は顔色の優れないエドアンにそう声をかけ毛布の中に深く体を埋め込む。
気の利いた言葉の一つでもかけるべき何だろうが俺には無理だ。
例えば目の前で誰かが死んだとして、おそらく俺は何も感じない。
ベッドが軋み、エドアンがベッドに横になる気配を背中に感じながら俺は目を閉じる。
エドアンの近くに居ると言う事は、これから先いかに自分が冷酷な人間であるかと言う事を嫌でも思い知らされると言う事で。
自分が冷酷非情な人間である事を忘れない為にはその方がいいんだろうなきっと。
そんな思いを胸に留めていると背後から腕を回され突然の出来事に俺は過剰に反応してしまう。
すぐさまエドアンに抗議し、逃れようとする俺をエドアンの言葉が静止させる。
「クララ、抱いて寝てもいいか?今日は特別夢見が悪そうなんだよなぁ」
その声色は至って普通の声色で冗談にすら聞こえたが、
俺の背中に顔を押し付け体温を奪うようにしっかりと俺を腕の中に拘束するエドアンの体が僅かに震えているような気がして、
俺はエドアンの腕を振り払う事が出来なかった。
「…俺が駄目だと言った所で俺を抱き枕にするんだろ」
そう言ってため息を吐き出す俺に、何でわかんの?と嬉しそうな声が背中越しに聞こえてくる。
「あー…楽だ」
「は?」
「お前相手だと、俺は変に気を張る必要もねぇし、先回りして考えなくてすむから俺は俺で居られる」
「…どうしてブラックリストに載るような人間相手にそんなに警戒心を無くせるんだ?チェシャ猫と寝てるようなもんなんだぜ?…考えらんねぇ」
呆れと驚きをたして2で割ったような声色でそう反論してもエドアンはそれを面白そうに笑うだけだった。
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