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「ハイジが気にするなって言うなら気にする必要はねぇんだろ。

黙ってればわからねぇのにわざわざ俺に話に来るなんて変わってるな」


「そんなの当然だろ。黙ってるなんて俺には出来ねぇよ」

顔をしかめながら怪訝そうに俺の顔を見上げるゼロに複雑な感情を抱いた。

ゼロは俺に全てを打ち明けた事ですっきりしたのか顔の力を抜いて小さく息を吐くと、今度はしげしげと俺の顔を眺め始めた。


「俺の顔に何かついてるのか?」

不思議に思い俺がそう尋ねるとゼロは気まずそうに目を泳がせる。

「…やっぱりその姿じゃねぇと落ち着かねぇな」

「…悪かったな、さっきは不快な物を見せちまって。安心しろ、もう素顔にはならねぇから」

ゼロの口振りからやはりさっき、大浴場で嫌な思いをさせてしまったのかと申し訳無く思っているとそんな俺の様子を見てゼロはぎこちなく首を横に振った。


「か…勘違いすんなよ、別に不快な思いなんかしてねぇし。っつーかこっちの方こそ貴重なものを見せて貰ったっつーか、何かご利益ありそうっつーか…」

ご利益…?

…俺とはまず結び付かない言葉だな。

いまいちゼロの発する言葉の意味がピンと来ず俺は首を捻る。

「何か緊張する…」

独り言のようにそうぼやき照れたように目元を赤らめるゼロに益々理解不能になり、俺は答えを出すのを止め理解しようとする事を諦めた。









「…遅かったな」

刑務所内の照明が落とされ、皆が寝静まりネバーランドに静寂が訪れた頃にエドアンは戻って来た。

「…悪いな、起こしたか」

エドアンは俺が起きていたと言う事に小さな驚きを見せ、すまなさそうに眉を下げる。


「まだ落ちてはなかった」


ベッドに横たわったまま毛布を捲って少し体を横に移しスペースを広げる俺の様子を見て体の緊張を解くようにエドアンは小さく息を吐いた。

エドアンは静かにベッドに腰を降ろすと俺の顔を上から見下ろす。


「中々うまくはいかねぇな」


苦笑いしながら零したエドアンのその言葉に、かなりの重さが含まれているように俺は感じた。




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あきゅろす。
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